moto
2025-11-25 13:15:06
1088文字
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かさなる

さまささワンドロワンライお題「日直」「おでん」


事務所の窓を開け放つと、ひんやりとした朝の空気が頬を撫でていった。空気の入れ替えをしつつ、掃除機をかけ回り、ゴミを集める。吸殻の量を見て、煙草を吸いすぎているかも、と少しだけ脳裏を過ぎる。鼻歌を歌いながら窓と机も拭きあげる。調子が良いのでこのままトイレ掃除もしてしまうか。備品のストックの確認と補充を終えた左馬刻は、給湯室でシンクを磨き上げている。排水溝の隅々までピカピカに仕上げるので、汚く使うチームメンバーは誰一人いなくなった。コピー機のインクのチェック、紙の補充も完了。
 その他もろもろ、こういう細かい作業を誰がやるのかと一時揉めたので当番制にすることにした。二人組で、一日やる事リストを率先してこなしていく。学生時代の日直のようなものだと簓は思っている。黒板を消したり号令をかけたりはしないが、学校だったら、と思いを馳せる。
 学校だったら、黒板に本日の日直として、日付の下に、碧棺と白膠木の名前が並んでチョークで書かれているだろう。簓はその光景を想像してにんまりした。実際、左馬刻とは一歳差なので、同じ学年同じクラスになることはなく、いろんな意味でありえなさすぎて面白い。ありえないが、左馬刻との学生生活の想像くらいはしてもいいだろう。
「ストック切れてんのがあんな」
「見回りの時に買い出しもするかあ」
 チェックの入ったストックリストをスマホの写真に収める。ひと段落した左馬刻がコーヒーを入れている。空気の入れ替えを終えて窓を閉めていく。まだ暖房は必要ないが、朝晩は肌寒くなり、確実に冬に向かっている。そういえば、コンビニでおでんが売り始めていた。買い出しの後おでん買うのもええかも。
 買い出しの後、コンビニでおでんを買って、軒下で食べるマッドコミックダイアログのリーダー二人。
 放課後、コンビニでおでんを買って、軒下で食べる二人の男子高校生。
 簓はぱちりと目を見開いた。
「なんや、今と変わらへんな」
 自分の想像にくふくふと笑いをもらしていると、二つのマグカップを持った左馬刻が戻ってきた。
「コーヒーありがとさん。なあ左馬刻、今日、買い出しの帰りにコンビニでおでん買おや」
「おでん?もうそんな時期かよ」
「そやでー。東と西でコンビニのおでんの具ってちゃうんかな」
「ちゃうことねーだろ」
「いやいや、まず、西の方でちくわぶないからな」
「あ?まじか」
 東と西のおでん談義をしていると、チームメンバーが続々と事務所にやって来た。
「よし、はじめっか」
「せやな、起立ー!」
 簓の掛け声に、ドッと笑いが起こり、今日も賑やかな一日が始まる。