傘道
2025-11-25 00:00:00
3067文字
Public ビリイト
 

小さき贈り物、二人の色

#billighter1w
【お題投稿〈1回目〉】
お題①: ささやかで大切な
お題②: 誕生日おめでとう(🔫編)
から書きました。

ライトはルミナスクエアのベンチに座り、頭を抱えていた。
理由はもうすぐ訪れる先輩兼恋人、ビリー・キッドの誕生日である。
誕生日当日は郊外にあるライトの拠点で一緒に時間を過ごすことになっている。
そこでプレゼントを渡す予定だ。
問題はそのプレゼントである。
去年はスターライトナイトのショーが近かったため、チケットを購入してデートも兼ねて一緒に観に行った。
しかし今年はビリーの誕生日付近でスターライトナイトのショーは開催されない。
ビリーが大好きな女優、モニカが出演している映画が公開予定とネットで発表されているがそれは来年である。
ここで好きな特撮や女優関係のチケットはプレゼントの選択肢から外れた。
ならばスターライトナイトのグッズでも贈ろうと、本日発売のウエハース付きスターライトナイトカードコレクションを箱買いしようとルミナスクエアに来たのだ。
ここで問題が発生する。
駐車場にバイクを停めたライトは邪兎屋のアンビーと猫又に偶然会った。
その時に見てしまったのだ。
ちょうどライトが買おうとしていたカードコレクションが入った買い物袋を。
「ビリーが欲しがっていたから私と猫又で探して、誕生日に渡そうと思ってたの。」
アンビーが申し訳なさそうに俯きながらそう言った。
この二人に罪はない。
他に買う人がいるかもしれないことを考えつかなかった自分が悪いのだとライトは心の中で呟いた。
「ビリー、今ニコにプレゼント買ってもらってるけど会いにいく?」
もしかしたら他に欲しいもの聞けるかもと猫又が助け船を出したが、気持ちだけ受け取ってライトはその場から去った。
「どうしたもんか
ニトロフューエルなどの飲み物を贈るか?
いや、おやっさんが用意していた。
メンテナンス用のオイルを贈るか?
いや、大将がビリの字のためにってカリュドーンの子全員で贈ろうとしていた。
思いついたものは全部誰かが贈る予定のものだった。
スマホにはアキラのノックノック画面が映っていた。
何を贈る予定か聞くことにしたのだ。
返事はすぐ帰ってきた。
『実は僕とリンはもうプレゼントを贈ってるんだ』
『ファンが選ぶスターライトナイトシーズン1、ベストエピソードトップ10』
『この特集番組の上映会をプレゼント代わりにしたんだ』
『イアスがスターライトナイトのお面を作って、ビリーにプレゼントしたよ』
そういえばファンが選んだ人気のエピソード再放送の特集番組があるとウキウキしながらビリーが言っていたことをライトは思い出した。
去年のショーでテンションが高かったビリー。
上映会やショーみたいに思い出をプレゼントするのもいいかもしれない。
「何か思い出になりそうなものかいっそのことプレゼントは俺にするか?」
首に赤いリボンを巻いて、セクシーな下着でも着けてラッピングするかとライトは下着とリボンを買うために立ち上がった。
まずは赤いリボンを買いに雑貨店に向かう。
ぶらぶらと歩きながらも本当にこれでいいのか?やっぱり形に残るものがいいんじゃないかな?と葛藤する。
「ん?」
雑貨店に着いてリボンを探している最中にライトはとある作製キットを見つけた。
完成品のサンプルを見て、ライトはあることを思いついた。
形に残るプレゼントにいいかもしれない。
ライトはその作製キットを手に取った。


「お誕生日おめでとうございます、パイセン。」
玄関の扉が開かれた瞬間のライトはそう言って恋人を出迎えた。
「ありがとう、ライト。今日お前と過ごせて嬉しいぜ。」
そう言ったビリーからふんわりと香水の匂いがした。
スパイシーながらもほんのり柔らかな甘さがある匂いでビリーによく似合っている。
男らしさと優しさと陽気さがミックスした香り。
「あ、親分から香水をプレゼントにもらったんだ。そのさらに男前になるからって
惚れた?って恐る恐る聞く姿から考えつかないほど男らしさが香水によって増している。
「また惚れちゃいましたよ。香水つけてるパイセン、新鮮でかっこよくて好きです。」
「な!?今日はストレートに褒めてくれるなぁ
「今日はパイセンの誕生日っすからね。」
赤いマフラーをたなびかせながらライトはビリーをリビングまで連れて行く。
机の上にはラッピングされた箱が置いてあった。
赤いリボンで装飾されている。
ライトは箱を手に持ち、ビリーと向かい合う。
「先にこれ渡しますね。パイセン、改めて誕生日おめでとうございます。」
「おう。ありがとう、ライト!開けていいか?」
プレゼントを受け取ってご機嫌なビリーに向けてライトは静かに頷いた。
リボンが解かれ、箱をラッピングしていた紙が剥がされる。
クリスマスプレゼントを前にした子供のような輝きを帯びた黄色のアイライトが箱にあるものをとらえた。
!?これ、なんだ?すっげ綺麗だ
片手に持てるほどの大きさのガラス瓶が二つ箱の中の並んでいた。
それぞれ何かの液体で満たされている。
一つは赤、黄、白、黒の色の世界。
赤色の小さなバラ。
黄色のドライフラワーのミモザ。
白色のカスミソウ。
黒色に塗られた松ぼっくり。
四つの色が調和するかのように組み合わせられている。
もう一つは赤、オレンジレッド、緑の世界。
赤色の小さなバラとオレンジレッドの小さなバラが並んでいて、緑色のユーカリが散りばめられている。
ぷかぷかと透明な液体に浮かぶ可憐な花たち。
綺麗な世界に釘付けになっているビリーを見てライトは微笑む。
「ハーバリウムです、パイセンと俺の
!確かに俺とライトの色だ!」
赤と黄と白と黒はビリーの色。
赤とオレンジレッドと緑はライトの色。
それぞれのボディや瞳、髪の色で構成された世界だった。
「これ、もしかして手作り?」
「そうっすよ。作製キットを見つけてこれなら誰とも被らないし、それに俺とパイセンが離れていてもこれなら思い出してくれると思って
ライトは顔を逸らして言う。
ビリーは真っ赤になった耳を見つけた。
照れているのだとすぐにわかった。
郊外と新エリー都。
離れていても寄り添う二人の色の世界。
「ライト、愛してるぜ。」
こんな愛おしい後輩兼恋人が居て、幸せだ。
ビリーは黄色のアイライトを細めてそう言った。
「新エリー都に帰ったら部屋に飾って、毎日見てライトを思い出すそれが明日からの俺の日課だ。」
「パイセン
俺たちってこんな綺麗な色をして輝いていたんだとプレゼントでわかった。
小さくてささやかな大切な世界。
それはビリーが守りたい世界でもあった。



「ところでパイセン。」
ハーバリウムが入った箱の蓋を閉めて、大事にバックにしまったビリーにライトは声をかける。
「どうした?」
「実はプレゼントもう一つあるんですけど。」
「へえ!?これめちゃくちゃ嬉しかったのにまだプレゼントあるのか!?」
プレゼントを入れたバックを指さしてビリーは驚いていた。
「ありますよ、プレゼント。」
ライトは赤いマフラーを外す。
そこには首に巻かれた赤いリボンがあった。
「俺です。ラッピングはこれだけじゃないですよ?」
動揺で機械音が鳴り響く。
「ちゃあんとセクシーな赤い下着も着けて、ラッピングしてますから。」
受け取ってくれますよね?
チャンピオンは妖艶に微笑んだ。
ビリーは動揺を隠さないまま、プレゼントであるライトを受け取った。
ビリー・キッドの誕生日は始まったばかりだ。