有明
2025-11-24 01:40:19
12563文字
Public 布教用伏せ
 

『魔術師育成スローライフRPG プレシャスデイズ』基本ルルブ初読完走 & 布教用感想

ただただ長いので一本化したかったやつ
最初はFFさんに一緒に遊んでもらうために、「ルルブ購入を迷ってるひと向けのプレゼン資料」的に書こうと思ったのですが、公開する速度を優先して「とにかく読んでおもったことかきました」にしました 長いよ!覚悟しな!

 細かい数値とかは書かず、「こういうこと書いてて、有明はこう感じたよ~」「有明はとにかく遊びたいよ」を押し出しました。
 「タイマン制で師弟関係組んで、ファンタジー世界でゆる日常を楽しむ」あたりを期待してルルブ購入したので、数値的なゲームバランスとかは度外視しています。スキル欄とかエネミー欄とかのデータ系はしっかり読まないまま書いてる!
(そういうのは気にせず世界観楽しむ系かつ、気になるならその卓その卓でどうにかするゲームデザインだろと思ってる)


★基本情報

『魔術師育成スローライフRPG プレシャスデイズ』
著者:鈴吹太郎/F.E.A.R.
カバーイラスト:くろでこ
定価: 2,640円 (本体2,400円+税)
発売日:2025年11月20日
判型:B6判 ページ数:340
ISBN:9784040761787

■サイト
・KADOKAWAサイト
https://www.kadokawa.co.jp/product/322507001222/
・F.E.A.R.サイト(キャラシとかはココ)
https://www.fear.co.jp/preciousdays/index.htm

・非公式キャラシ出力ツール:温森おかゆ様(神)
https://okayu-nukumori.booth.pm/items/7676760
 ココフォリア用のコマ出力されるの有難い。ありがとうございます


■ページの内訳ざっくり
●リプレイセクション:70ページ
 キャラメイク~全7話まるまる
●プレイヤーセクション:80ページ
 ・キャラクター作成のやり方
 ・スキルデータ:36ページ
 ・アイテムデータ:15ページ
●ルールセクション:20ページ
 ・行為判定や絆効果の使い方など、「GMもPLも使うルール」のとこ
●バトルセクション:20ページ
 ・戦闘のやり方やバッドステータスなど
●ワールドセクション:15ページ
 ・世界観や歴史、メインとなる王国などの解説
●ゲームマスター用セクション:90ページ
 ・GMの心構えやシナリオの作り方:12ページ
 ・エネミーデータ:25ページ
 ・サンプルシナリオ:50ページ
●アペンディクス:10ページ
 ・各種表やルールサマリーなど


■総括
 「ハイファンタジーの世界でスローライフ」という、「このシステムでやりたいこと」を見事に表現したゲームデザイン。さすが日本のTRPG界の第一線で活動し続けたクリエイターたる鈴吹さんだぜ!!
 システムが軽いので、色んな人とそのまま遊ぶか、2PCプレイしたり~それぞれネタ出し合ってオリジナルの都市作ったり~とか卓独自で拡張する遊び方が良さそうかも。


■PCの目的
 PCは全員「魔術師の弟子(修行中の見習い)」で固定。PCの目的は「一人前の魔術師になること」で確定していて、そのためにシナリオ(日々)を重ねる。修行したり、戦闘したり、人々を助けたり、なんかNPCたちと因縁作ったり。
 なにげないかけがえのない日々を過ごすことで経験値を貯め、魔術師の格「グレード」を上げてゆく。
(グレードは「学校の学年のようなもの」らしい。 P.188)

 グレード0からお師匠様に出逢って魔術師見習い(グレード1)に上がり、キャンペーンシナリオを遊んで、グレードをひとつずつ?上げてゆくというのが基本形。
 シナリオをクリアして経験値を得てHPMPスキルなどを得て強くなり、キャンペーンの最終話にグレードアップシナリオを入れて、グレードが1上がる感じ。

 たぶん、現代的な感覚に合わせてテンポ早めに「さくさくと経験値が上がり、グレードが上がって一人前になる」イメージでシステムデザインされている。
 もっとじっくり楽しみたい場合は、経験値の量を減らしたりプールしておけばいくらでも長くできる(ような気がする。経験点減るともにゃっとするかもなので、「プレシャスデイズを長期化させる」よりも「別システムにペアをコンバートさせる」とか「NPC化させて新規師弟つくるときに伝説の魔術師枠で再登場させる」等のほうが映えるかも? ルルブには「トライアル/師匠から独立するためのイベントを起こすかは自由。ずっと師匠と旅をするならばそれも幸せなのだろう / P.279」って書いてるけど。このへんはあれこれ遊んで試したいな)。


■キャラメイク
 楽しそう!!(FEAR民の意見)
 わたしは「基本ルルブだからデータ量が少なくて選択の楽しみは低い翻ってキャラメイクや成長が楽」と感じたけど、Xの感想見てると「データ量が多い」「キャラメイクが(計算する部分があるから?)しんどい」という意見もちらほら見たので、完全ナラティブ系やCoCみたいな自分でポイント割り振ってステ決めするのに慣れてない層には敷居が高いのかも。
 ただ、「よくよく読んだら、自分がその時点で確認するべきデータの数」はかなり狭い範囲なので(自分が選んでない種族のデータとかは読む必要ないので)、恐れず読んでほしいな!のきもち!

・スキル自分で組むの自信無民のみんな~!
 「スキル組んだりデータ管理するのが下手なのでソロは詰みそう」という意見もXで見たのだけど、このシステム、「その時点で倒せるエネミーを出してもらえばいい」「戦闘厳しそうならその時点でGMに弱体化してもらえばいい」んだし、戦闘不能になっても絆効果(システム特有ギミック)で師匠が助けに来てくれるので詰むのも楽しいと思う。「なかなか頼もしくなったと思っていたが、まだまだだなァ」って笑う師匠が助けに来るイベントは何回あってもええ!!!!!!
(GM側も、ギミック難易度ミスっても「師匠が出す修行の難易度をミスった」ことにしたらドラマになるのはいいな~と思った。師匠も弟子を育てるの四苦八苦してるんだねみたいな。ミッション失敗がネガティブな卓体験になりづらそう)

・FAERユーザーの故郷
 故郷は誇大広告なんですが有明、実家がアルシャードガイアで故郷がエリンディル大陸(アリアンロッド無印)なので
 基本値わる3で能力値出す、レベルアップしたら自由にポイント割り振る、アイテム欄は右手左手頭部胴部補助防具に分かれてるなど、FEARユーザーは見慣れたキャラクターシートで、馴染みやすいと思う。
 スキル名も見慣れたものがちらほらある。エンチャントウエポン好き~。

・守護魔術、付与魔術 P.169~170
 プレシャスデイズ特有の装備品なのかな?
 これがすごくいいです。性能ではなく、「魔術師の師弟関係を構築して遊ぶプレシャスデイズの世界観を深める装備品として味わい深い」という意味で。
 「魔法陣や呪文を衣服やアイテム、肌に転写してるイメージの重量のない装備品」らしいのだけど、すごく魔術師っぽくてテンションあがる。お師匠様が魔法陣を刻んでくださったペンダントとか持ちたい。呪文をちくちく刺繍したローブ着てキャッキャと町の人とかに見せびらかしたい。
 基本ルルブなので種類は少ない(ほぼほぼ選べず、高性能のやつに買い替えてゆくだけ)なのだけど、それも上級魔術に切り替えてゆく感が出ててとても良い

・キャラメイクの自由度
 「好きな種族を使って、好きな戦闘スタイルを選んで遊べる」という意味では高いと思う。種族による適性は勿論あるけれど、経験点で各能力値を好きに上げられるので、「才能の無さを努力で補うPC」が演出できる。ナックルに魔力を纏わせて戦うエルフ!とか。
 戦闘がそこまで重視されないので「レベルに見合う強さ」を求める必要もなく、ソロシステムなのでロマンに走って迷惑をかけるパーティメンバーもいない。好きなように「おれのかんがえたさいこうにかっこいい魔術師」できるのはとてもいい。
 「ステとスキル見て確率計算して最適解を選ばなきゃ」のプレッシャーなくキャラを育成できるの、かなり良さげ。


■判定
 2d6を基本とした上方判定。判定難易度をGMが設定して、ダイス目がそれを超えてたら判定成功のやつ。
 ルルブP.177に行為の難易度表がついてるので、難易度を設定するの慣れてないユーザーも安心!
 振り直しは基本的に絆効果かな? 失敗しても可愛いドラマになるシステムなので(見習いが失敗しちゃうの可愛い)、判定まわりは気にしなくていいと思う。


■スキル
 選んだ種族やスタイル(他システムでいう職業。「杖?剣?肉体強化?などどうやって魔法を使うのか」を選ぶ)によって使えるスキルが違うため、自分の選んだスタイルの範囲で、レベルアップするごとにスキルを選んで覚えてゆく形式。
 日々の中で魔法をどんどん覚えていく感じが見習いがレベルアップしてる感が出て良さそう。

・スキル選択制システムだけど難しくない
 ぱっと確認した感じ、基本ルルブなのでスキル数は多くない。一般スキル15個 + 各スタイル15個で合計30個かな? 一般スキルは戦闘には使わないスキルも含む。
 PCのグレードによって覚えられるスキルに制限がかかる(取得条件に「グレード3以上」とかがある)ため、慣れないうちは選択肢が少なく、PLが慣れてゆくごとに選ぶ楽しみが増えてゆくのはいいなーと思う。
 スキル選ぶのに慣れてないと「最終的には30個も見て厳選しなきゃいけないの!?」ってなるかもしれないけれど、「PCにやらせて似合いそうなのどれだろ?」で選んだらいいと思う。わたし《ハウスワーク》取得したいです(家事を上手くやれるスキルらしい)。

・スキルの取り方
 「いろんなスキルをあれこれ組み合わせる」ではなく「ひとつのスキルをグレードアップさせてゆく」形式なので(強いスキルの取得条件が「グレード●以上、《スキル名》取得していること」が多い。一本道のスキルツリー解放型みたいな)、面白いと感じるユーザーとやらされゲーだと萎えるユーザーに分かれるかなあと思った。わたしは正直後者です。組み合わせをあれこれ考える楽しみが無い。
 ただ、装備と同じく、「固定された道をどんどん強くなる」形なので、わかりやすいと言えばわかりやすい。スキル選択性ゲームの「最適解を考える」あたりに苦手要素があるユーザーはわかりやすくて嬉しいのかもしれない?

・スタイル(戦型)による差異
 これはね~ほぼ無いかな
 いや、ある、あるんだけどわかりにくい。ソロで戦うシステムのため、攻撃、回復、ダメージ軽減など基本となるスキルは必要になるため、どのスタイルであろうとこれらは備わっている。なので、ぱっとスキルリストを見た感想が「どれでも同じじゃん」になっちゃう。
 実際に比較すると、「シューターだけは中距離から魔法撃てる!至近距離攻撃手段しか無いエネミーとの戦闘では強いな!」とか「他者回復とバフ掛けできるのセイクリファーだけなんだ魔族に攻め込まれた町の医院で治療するシナリオとか、最前線に突っ込んでってお師匠様を支えるシナリオとか絶対映える」とかいろいろあるのだけど、初見ではわかりにくい! あとこのへん楽しいのどちらかというとシナリオメイクするGM側じゃない!?
 PLは、育成そのものというよりも、「《ランページマックス》で暴走状態になります。腕が変形し、血が噴き出します」とか演出を楽しむ感じなのかも? そういう意味でも、やはり「データ面より好きなスキル取りなよ」がいいかもー。


■戦闘
 戦闘終了条件までコスト管理をしながら判定を繰り返すタイプ。ただ、リプレイ読む感じコスト切れで何もできなくなる!ほど追いつめられること早々無さそう?

・バトルシナリオはプレイ時間長め
 他が「1シナリオに判定は1~3回程度」とかそういうレベルなので、戦闘シナリオは他に比べて長引きがちだと思う。また、一対一なので、地形とかバッドステータスとかギミックを駆使しない限り単調にもなりがち。そのため、キャンペーンに1,2回あれば充分かな?これはもう卓メンバーの好みだと思う。

・特色
 位置関係は「至近・短距離・中距離・遠距離」の4段階(遠距離は「戦線離脱してます」を示す概念なので実質3段階)で運用。
 攻撃(能動側アクション)はダイスを振って判定、回避は固定値で対抗。回避ダイス振らないんだ?と意外だったのだけど、戦闘が泥沼化しないようにかな。
 戦うのはソロなので、「多人数に囲まれる」状況は「敵は一体、ただ周りのとりまきのぶん、コアエネミーが強化される」で表現してるのスマートだな~と思った。(開発中に「敵の数が多いと殴られまくることになってプレイ感が微妙」となったっぽい。それはそう!気付いてくれてよかった!)

・ただの感想
 FEAR民は慣れた形式なのでわたしは理解理解!で読み終えた。
 戦闘ルールってどのシステムでもやってみないと分からないしやってみたらそこそこ回せるので、「遊びながら覚える」でいいんじゃないかな。位置関係がどうこうとかバッドステータスとかの要素は慣れるまでガン無視でもいいし。
 (スキルは戦闘向きのものが多いし、盛り上がるのでキャンペーンにメリハリつけやすいので、楽しめるに越したことはないけれど)どうしても戦闘管理が苦手かも~となったら、戦闘をしないシナリオを遊べばいいしなスローライフしようぜ!というあたりも気楽。


■世界観
 「魔王の蘇りに備えて魔術師を育成する」「一つの王国のいろんな土地を巡って魔術師は修行する」というシンプルなファンタジー世界。

・ふんわりファンタジーを楽しめる
 「魔王軍と300年戦ってて、そうして一致団結してたので、異種族とも馴染んでる」「王政だが、貴族の半分は先の戦争による成り上がり」などの設定が強く押し出されているため、ファンタジーっぽさを味わえる身分制度はあるものの、差別は少なめ。
 魔術師にしても、「定住せず旅を続ける魔術師という存在はアウトサイダーである」は明言しつつ、「戦争において第一線で戦い、人々を守り、復興に尽力する姿を見知っているため、人々は『身近な賢者』として魔術師たちを歓待する」など、いい感じに「しがらみはないが大事にされる」身軽なポジションとして設定してくれている。このあたりの軽いファンタジーを楽しむための匙加減がFAERはめちゃくちゃ上手いので、さすがとなった。
 時代設定としては中世ヨーロッパっぽい感じだが、失われた古代魔法王国がどうも現代っぽい感じ(飛行機やメールが発達してたっぽい文章がある)だったり、公式NPCに「現代日本からの転生者である魔術師」がいたりするので、頑張ってなろう系というか「ハイファンタジーに馴染んでないPLでも遊びやすく」しようとしてる工夫が見受けられる。
 王国を諸国漫遊して~みたいな、全体的にドラクエ系っぽい印象なので、やっぱりその雰囲気感も「いつものFEAR」感ある。

・戦火の爪痕
 「PCの成長物語 / P.234」「スローライフ」を謳いつつ、大前提としてPCは「魔王軍と戦うために魔術師として育成」される。また、世界観としては、「300年続いた戦争がつい10年前に集結し、現在、復興途中」。そのため、世界観ページのどこ読んでも、ほのかに戦争の匂いがする。あの世界は戦後であり、卓開始時点では「戦前」に移行している。
 ただまあ、このへんは「ドラクエだってFFだって強大な敵と戦うことは最終目標だしなあ」レベルの話だし、だからこそ「スローライフ」「プレシャスデイズ(かけがえのない日々)」という対極の楽しみ方が活きるのだろうとも思う。ので、「公式が用意したそれらの素材を卓メンバーでどう調理してどう味わう?」みたいな話なのかなー?
 今のご時世は、「戦争」が対岸の火事ではなく中の人の地続きのリアルなので、世界観に忠実であろうとしすぎるとエンタメとして楽しめなくなるひともいると思う。「同卓者が楽しめる匙加減」は配慮して遊びたいね。


・ミッドランド王国
 舞台となる王国。基本ルルブに紹介されてるのは、この「魔王の拠点の隣であり、戦争を終わらせた国」である王国。
 王国の地図と主要都市8つ、主要NPCが載ってるため、「ミッドランド王国を主な舞台にしつつ遊ぶ」のが基本形になる。
 ただ、大陸は他にも続いてるし、他にも王国があることは示唆されてるので、周辺国を作って遊ぶのももちろんできると思う。
 わたしはちまちました遊び方が好きなので、「王国内でだいたいこのへんに位置してる小さな村」とか作ってめちゃくちゃ細かく掘り下げたい。作中一年間その村に滞在して楽しんだりしたい。名物NPCモブいっしょに作ろうよぉ!!

 すごいどうでもいいんだけど、世界地図の旧王都、「海を挟んで魔王たちの領域に面してる」ので、「ドラゴンとか海の魔物とかがいるファンタジー世界観でこんな場所を王都にするなよ!!」となった。今の王都、ちゃんと奥まった場所に作られてる。えらい。(「だから利便性は低く発展しづらい」とあって、それもそう!となった)


■システムデザインや特色

・バトルとスローライフ
 PCたちは魔術師として育成されるけど、バトルシナリオ重視で「最前線に出る攻撃魔術の使い手」になるのもいいし、スローライフシナリオ重視で「市井に溶け込み、復興に力を貸したり後進育成に従事する魔術師となる」こともできる。PCの成長の方向性が卓メンバーに委ねられており、それらすべてが「かけがえのない日々」であるというのはすごくいいな、と思う。『プレシャスデイズ』では、戦わない選択肢も尊重されている。
(スキルはバトル用のものが大半なので、「自衛の手段は得つつ兵士ではなく他の生き方を決める」感じになるとは思う)


・1シナリオ30分
 リプレイパート読む感じ、「WEB小説の1話が1シナリオ」「他シナリオの1シーンが1シナリオ換算」という印象。
 基本的には連続性のあるキャンペーンシナリオとして遊んだほうがシステムの味わいが出る気がするので、ほのぼの3分アニメほど一話完結ではなく今の流行に例えるならミルキーサブウェイが近い?(一話で1話題を主題にして、ちゃんと3分でオチまでついてるけど全体を通してひとつの物語)

 例えば「お師匠様に弟子入りし、家の扉を開ける」「自室を掃除して、自分の城だー!と喜ぶ」「お師匠様と初めて食卓を囲む!」「一人で眠れないぃ」とか、日々の小さなイベントひとつひとつを「シナリオ」としてカウントしている。
 「ミニシナリオを重ねてレベルアップ」と考えると、キャラクターに焦点当てて考えたらテンポ感は早め。
(公式の想定としては「1グレード上がるまでが1年間くらい」らしい。もちろん、1日で一人前まで駆け上がったり、いろいろ楽しんで!とも書いてるけど。 P.189)
 いろんなシナリオ形態があるのだろうけど、何気ない日常パートを積み重ねて魔法を覚えて、キャンペーン最終話で戦闘したり人々を助けたりすると、「日々の暮らしが魔術師としての修練になっている」構図が描きやすいんだと思う。このへんのメリハリのつけ方はシナリオ作成ページにも載ってる。


・絆効果 P.190~191
 キャラシにクリアしたシナリオタイトルを記載して、それが「メモリー」というシナリオ内で効果のある概念になるのだけど、これが秀逸。
 メモリーは、ピンチの際には「絆効果」として判定振り直しとかダメージキャンセルとか色々使用できる。「師匠と作ったアップルパイ」とか、ほんとうになにげない記憶、過ごした日々の思い出が、ここぞというときのPCの力になる。
 1シナリオを細切れにして『日々を積み重ねる』印象づけた効果がここに集約されてる。「スローライフRPG」というゲームデザインとしてものすごく秀逸。大好き。


・師匠(GMPC)
 これはねえ!ルルブを読む限りは「GMPCっていうかNPCっすね!」とは感じた!
 師匠にはデータは無く、活躍するタイミングはシステムでは設定されていない。
(たぶん絆効果《師匠の介入》のみじゃないかな? これも、基本的には最終手段というか、デウスエクスマキナ的に「師匠が来たからぜんぶ解決しました!」処理なので、師匠かっこいいターンの演出としては使いづらい気がする)

 わたしは「師匠と弟子という一対一の特別な関係性」RPを楽しみたい期待も大きく持っていたのだけど、システムから打ち出されてるのは「PCのソロシを彩る保護者モブポジション」の印象。
 サンプルシナリオで想定されてる会話例もさっくりなので、「師匠と弟子の絆」を演出するのが完全にRP依存。そういう意味では、同卓者相性にかなり左右されそう。

 シナリオを作るのがかんたんなシステムなので、同卓メンバーで同意が取れるなら、「師匠」を中心に据えてキャンペーン組んだら良いのだと思う。
 「コミュ障師匠と一緒に食卓を囲め!」から始まって、少しずつ対等な関係性になってゆき、最終的にパートナー関係に落ち着いたりとかしたい。師匠への恋心だけで頑張る弟子やりたい。願望出たな。
(プレシャスデイズはパーソナルデータで「未来」欄があり、「その未来を目指す or その未来を回避するために頑張る」みたいなキャラクター造形やシナリオ作成のフックにしやすい欄があります。そこに「師匠の相棒:あなたは独立ではなく師匠のそばにいたい」という欄もあるため、製作側も「PCとGMPCの関係性に焦点をあてて遊ぶ層もいるだろう」は想定してると思う)


■リプレイ

・内訳
 たっぷり70ページ取って、コンストラクション(サンプルキャラ使わずに自分で作る形式)でキャラメイクして、お師匠様(GMのNPC)との出逢いで一話、魔術師としての階級がひとつ上がるまでのキャンペーン6話をしっかり描いている。こういう風に遊ぶゲームなんだながわかりやすい。
 「1シナリオ30分」を謳うさくさくシステムなので、例えば×6話のキャンペーンでもかかる時間は180分。「その短さでキャンペーンシナリオとは?」は文章だけで読んでもピンとこないので、リプレイ読んで「なるほどね!」するターン大事な気がする。


・読み物というよりは参考書
 ノリが落ち着いてて淡々としてるので、読みやすいけど面白いと感じるかは人による。「このゲームをスタンダードに遊ぶとこういう感じです」の見本代わりになるように!を意識したのだと思う。
 ので、もし、リプレイ読んで「なんか盛り上がりに欠けてて面白く見えないな」と思っても、「あえてそういう書き方してるんだな」とポジティブに読み替えてほしいなと思った。
(正直、エンタメ性は低い!でもそのぶんルール理解には役立つ!)
 ルールセクション読んで、「ん?これ何?」ってなったとき、リプレイで該当箇所を読めばわかるの、すごく良い。まさに見本。

 キャラメイクしてるのをリプレイで読んで、「キャラメイクをGMと一緒にやるといいゲームかもしれないな」と感じた。
 キャラメイクしてるときのおしゃべり「えっライフパス○○なの!?どういうこと!?」「このアイテムってどういう形状にする?」みたいな雑談がそのままシナリオ作成に役立ちそう。
 PCキャラメイクするのと同時並行で「この弟子PCに似合いつつPLのヘキにも合う師匠はコレだー!」を詰めれば、「こういうイベントありそう~!」と盛り上がり、その萌え語りがそのままシナリオにできるんじゃないかなあ。


■サンプルシナリオ

・ひととおり遊んだら『プレシャスデイズ』丸わかり
 ファーストシナリオ:王城で師匠と出逢おう!、スローライフシナリオ:火を熾そう!、クエストシナリオ:巨大な岩石を砕こう!、キャンペーンシナリオ6本:ライバルを倒そう!とおおまかに4編が収録されており、サンプルシナリオを完走すれば『プレシャスデイズ』で公式がやりたかったことがぜんぶ体感できるつくりになってる。すごい。
 GM目線としても、「ああ、こういう感じでシナリオメイクすればいいのか」がわかりやすい。とくにキャンペーンシナリオは、「ラストバトルの直前に、師匠と対話するだけのスローライフ型シナリオを入れて、キャンペーンクライマックスに向けてPCのテンションを調整する」とか、こうやってメリハリつけるんだ!が参考になった。


・演出面とGMの力量
 「師匠はGMが作り、師弟関係はその卓によって違う」「バトル演出、世界観を味わうための描写、師匠との掛け合い等、どこに力を入れて楽しみたいかがPLによってさまざま」等の関係上、付属シナリオには細かな演出が載っていない。
 シナリオセクションに限らず、全体的に、「必要であれば加筆修正削除を行うこと」「PLの好みに合わせてマスタリングすること」みたいなのは至るところに書いてあるので、付属シナリオは「GMが膨らませること前提の骨子の部分」という位置づけなのだと思う。
 シナリオを回すにあたって必要な描写や台詞例、「こういう狙いのシーンですよの解説」はあるが、「そのまま読み上げるだけで良い」シナリオの書き方ではない。
 これ、個人的には「任せな!!」となるというか、あえてそういうふうに書いてるんですよ!がわかってたら問題ないんだけど、それが明文化されてる一文が無い(点在はしてるけど一文でしっかり説明されてないなと感じた)ので、同人CoCメインで遊んでる層はすごく戸惑うかも?
 あと、「骨子だけ」と言いつつ、ライバル関連のキャンペーンは「師匠とライバル師匠が何考えてんのか台詞例からぜんぜん読み解けなくて使いづらい」と感じたなあ。たぶん弟子の育成方針が違うんだろうなと思うのだけどうーん

・インストシナリオの選定難しい
 師匠との出会い、スローライフ、バトル、どれも『プレシャスデイズ』の大事な要素なので、インストシナリオはどれを選ぶ?が難しいな~というのは感じた。たぶん世界観に没入するという意味ではファーストシナリオ(師匠との出会い)からやればいいのだろうけれど、出会ったところで終わるのもなあ
 インストが長いよ!!は承知で、「ファースト、スローライフ、バトルの三本立て」を体験卓内容にするのがいいのかな。やってみないとわからないや。


■不満点

・師匠のデータ
 欲しいよ!!!!! わたしはGMは師匠になって弟子を導くプレイができるんだな~とニコニコしていたのだよ!!!!!!
 FEARゲーの「GMにも経験点が入る」つくりがわたしは大好きなので、GMが得た経験点を使って弟子の強化とかできるようになったら嬉しい~。弟子になんかいいアイテムを買ってあげたり、拠点を強化して弟子を常時強化したりしたい。
 「師弟関係という設定」を、システム側からデータ面で示す何かが欲しい。お師匠に守られてるんだなと弟子に思ってほしい。尊敬!されたい!!

・お遊び要素
 これは基本ルルブなので仕方ないのですが~! スローライフするなら、もっとよくわかんない一般スキルとかアイテム欲しいな。薬草採取して回復アイテム作れる!とか。いやこれはそういうシナリオ作れという話か
 変なスキルやアイテムから、それが活きるシナリオを作る!とかが面白いので、スローライフを楽しめるお遊び要素があれば嬉しかった。まあ基本ルルブなので入れる余白無かったのだと思うので仕方ない! 今後に期待!
(ただ、展開してゆくなら、スキルや種族を増やすとかよりも「魔王復活阻止のために弟子を育成」に焦点を当てて「剣士編」とかそういう展開しそうだな~とは思う? データ増えれば増えるほど敬遠する層はいるだろうし)


■こういう卓をやりたいですよねという願望
 ※「システム的に合いそう」とかではなく、0から100まで有明の個人的な願望の話をしています

・RPしっかりめキャンペーン
 師弟関係から派生して、よきモブを生んだり、村の設定を作ったりそういう地に足ついてる師弟旅を楽しみたい。それぞれが好き勝手にRPして膨らませてゆきたい。幻覚を共有したい。1キャンペーンで村ひとつを味わう的な
 わたしはテキセ民なので、夜1~2日で1シナリオやるくらいの密度がいいのかなあ?
 なので、RPの方向性や濃度が似てる同卓者と組むと楽しいかも、と思った。わたしは都市とか観光名所とか生むので、いい感じのモブを生んでほしい。仲の良い商人とか吟遊詩人とか生んでくれたらキャンペーンの随所で出すから!出すから!

・師匠と弟子の関係性に焦点を当てたキャンペーン
 シナリオのメイン舞台を「師匠の家」とか閉ざされた空間にして、シナリオを家の掃除とか師匠とゴハン!とか、「師匠を理解する」方向性にもっていったらいけそう。(PCの深掘りはRPや判定で自然とされてゆくため、シナリオ内容の中心点を「師匠」に据えて、シナリオ側から師匠の深掘りするイメージ)
 「わたしはあなたに追いつきたいのです、お師匠様」系弟子でも、「早く一人前になりたいんです、ちゃんと指導してししょー!!」系弟子でも合いそう。

・2ペア作って交互に1キャンペーンずつやってくやつ
 GMもPLも楽しめるなあ、と。
 GMとPLを入れ替えて2ペア作って、同世界観に存在してる設定例えばライバル関係とかにして、相手のシナリオに出てくるやつ。弟子同士でお師匠様自慢したり張り合ったりしたい。

・同じシナリオをGMが好き勝手に味付けしたのを回し合うやつ
 シナリオ構造そのものは同一のやつ使って、細部とかモチーフを勝手に差し替えていいよ!みたいな。おつかいシナリオならおつかいする物品を差し替えたり。
 師匠と弟子のRPによって味わいが変わるタイプのシステムだと思うので、同じシナリオ使っても新鮮に楽しめるんじゃないかなあと。

・複数PLプレイ
 これはやりたいというより「GMの過度の負担なく可能だな?」と感じた感じ。
 師匠ひとりで、複数の弟子を育成してる設定にしたら、ふつうに複数PL(複数PC)で遊べる気がする。さくさく30分では終わらなくなるだろうけれど。
 ルルブには「3人なら師匠RPするGMとその他を担当するGMとに分かれるのがおすすめ / P.241」って書いてるのだけど、PC増やしたほうが楽しい気がする。


 キャラメイクからインストするの頑張るので、誰か遊ぼう!! サンプルキャラシあるし最初はルルブなくて大丈夫だと思います!!