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お芋さん太郎
2025-11-23 14:16:22
1172文字
Public
ちいさなSS @ONEPIECE
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CM② ―海軍の英雄―
海風にはためく『正義』の二文字は、覚悟の印だ。そこがたとえ小さな島の小さな小さな港町でも、それだけは変わらない。
ぶ厚いコートを肩にかけ、コビーが部下に「わざと外して大砲を撃ってください」と指示した。
目標。人質の少女に剣を突き付け、勝ち誇ったようにゲラゲラ笑うオキアミ海賊団。船長のオキアミは三千万ベリーの賞金首だが、油断はならない。
作戦。船長を相手どるのは、この隊の指揮をとっている自分だ。少女が怪我をしてしまう前にオキアミを倒す。人質さえ保護できれば、数で制圧が可能だ。
「じゃ、あとはよろしく。ヘルメッポさん」
「あ、おい、コビー!」
「コビー大佐!」
軍艦が放つ砲弾は、あさっての方向へ。ただしそれが飛んでいるほんの数秒、オキアミたちの目線は砲弾へ向くはずだ。
コビーはそのタイミングを狙い、月歩でオキアミの真上へ。着弾と同時に、いっとう強く空を蹴り、オキアミと少女のあいだへ滑り込む。
少女は泣いて、震えていた。オキアミが掴んでいた細い肩には、どす黒い痣ができている。彼女をそっと抱き上げると、不潔な海賊から移ったのだろう、汗が煮つまったような、すえた臭いがツンと鼻をさした。
このタイミングで、やっとオキアミがコビーに気づいた。しかし時すでに遅い。
コビーのまわし蹴りが、オキアミの顔の三寸ばかりに迫り。
「ぐっへェッ!」
「船長⁉」
「人質、確保! ヘルメッポさん!」
「おういるぜ。彼女を早く。医療班、こっちだ!」
ヘルメッポはコビーが飛び出した瞬間に、制圧の号令を出していた。コビーが『やる男』だということは、彼が一番よく知っている。
怒号と叫び声、武器がぶつかる高い音、銃声。絶え間なく響くそれらは、穏かな日々を過ごしていたはずの彼女を縮こませるには十分だ。たどり着いた医療班が、腕の中にいた彼女を優しく引き寄せ、安全な場所へと促す。
少女が離れるまさにその時、彼女はコビーの指先をキュッと握り、かすれた小さな声を出す。
「ありがとう」
喧噪があたりにあふれ、きっと普通であれば聞こえないはずの声量だった。でもそれは、たしかにコビーに届いた。
コビーは少しだけ身を正して、手慣れたように敬礼をする。
「いえ、当然のことをしただけです。さあ、行って」
医療班に少女を任せる。彼女はまだ怯えていたが、合わせた目と目は未来へのエネルギーに満ちていた。コビーはもう大丈夫だと確信し、笑顔で彼女を見送った。
背後で爆音が弾ける。まだ戦いは終わっていない。緩んだ顔をすぐさま引き締め、コビーは戦場に回れ右した。
全力で駆ける。自分の『正義』を背中に掲げて。
あなたの『正義』が
世界を
海を
大切な人を守る。
さあ、いまこそ立ち上がれ!
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