お芋さん太郎
2025-11-23 14:03:57
549文字
Public ちいさなSS @ONEPIECE
 

21




 海から手が生えていた。その手の下には白い袖が続いており、ローはハッとする。
 クルーの誰かが船から落ちたのではと思い至ったのだ。敵船を沈めた直後の喧噪で、誰にも知られず落ちてしまったのなら一大事である。
「〝ROOM〟!」
 指を三本ピンと張り、同時に青の膜を広げる。青白くなっている手に能力が届き――違和感に気づく。
 周りを見ると、甲板は戦利品とそれを品定めるクルーでガヤになっていた。
 もう一度、海を見る。手はピクリとも動かず、まだそこにある。
 波にすら、揺れない。
「番号ッ!」たまらずローが叫んだ。
「1ッ!」
「2!」
「3!」
 条件反射だ。クルーたちはピンと背すじを伸ばし、べポの「1」のあとを追って順繰りに番号を言っていく。
「20!」
「21!」
 最後のクルーが言い終わった。全員いる。
 ローは能力を解き、深い息を吐いた。いまだ動かずそこにある手をギロリと睨む。
「悪ィがお前は連れていけねェ。せいぜい気の済むまで、そこで浮かんでることだ」
 帆が風を受けて船は進む。白い手は豆粒のように小さくなっていき、やがて見えなくなった。
 その後、その手はどうなったのか。知る由もない。


「なあ、誰か番号二回言ったやついる?」
「おれ言ってないけど……あれ?」