お芋さん太郎
2025-11-23 14:00:05
1170文字
Public ちいさなSS @ONEPIECE
 

暮らしを豊かにする技術




 これはナミとロビンのためである。フランキーは下半身に唯一身につけている海パンを下ろし、甲板から海に向かってケツを突き出した。

 遠い未来をすぐ隣に感じる島『エッグヘッド』で、ナミとロビンを虜にしたものがある。それは、宙に浮きながら移動できるDOMシューズでもかわいい未来服でもない。簡単おいしいメシマシーンでもなければ、ましてや天才科学者の大きな脳みそでもない。
 ウォシュレットだ。
 トイレで用を足したあとの、爽やかでみずみずしいアフターケア。あれこそまさに革命だ、と彼女たちは口々に語る。
 ぜひサニー号にも設置してほしいと要望があったものの、困ったことにフランキーはウォシュレットを体験していなかった。トイレにそんな面白いものがあるだなんて思ってもみなかったのだ。野外で致すワイルドさが今回ばかりは裏目に出た。
 フランキーはウォシュレットがどんなに良いものかを体感したかった。暮らしを豊かにするアイディアは良い体験から生まれる。ただの『ケツ洗い機』ではなく素敵な『ウォシュレット』を作るために、必要な過程なのである。

 まろいケツたぶを、そよ風がなでる。冷やかしの年下三人組がヒューヒューとはやし立てた。
「本当にいいんじゃなー?」
「おう、やってくれ!」
 海から、つまりケツの真下からジンベエの声が上がり、手を振りつつそれに答えた。同時にジンベエが海をむんずと掴む。そのまま引っ張り上げて、巨大な海の柱を打ち立てた。
「水心〝海流一本背負い〟」
 水柱はうねりながら船の方へ。ねらいはひとつ。フランキーのケツである。
 フランキーがグッとケツに力を込めた。かすかに冷たいしぶきを感じ。
「来い、ウォシュレット! ――ギャー‼」
 超重量の衝撃がフランキーのケツを襲う。ギリギリと歯を食いしばり、踏ん張って耐えるがすぐに限界だ。ジンベエの『海流一本背負い』は四皇幹部の攻撃を無効化するような強力な技である。無理もない。
「あああああ、もうダメだー‼」
「ギャー! フランキー⁉」
「大丈夫か⁉」
「飛んでったぞ、あいつ!」
 ついには耐えきれなくなり、勢いのままフランキーが吹っ飛んだ。
 彼はバイオリンを弾いていたブルックのアフロをかすめ、軽々とマストを飛び越える。
 展望室で筋トレをしていたゾロが空飛ぶ変態を目にとめ、「お?」と小さく声をもらした。
 キッチンでおやつの準備をしていたサンジが首をひねる中、フランキーは綺麗な放物線を描いて、波のかなたに着水した。
 ジンベエが海からひょっこり顔を出す。
「すまん、やりすぎた」
「いいから助けてやれよ!」
 当のナミとロビンは、ケツ丸だしでぶっ飛ぶフランキーを図書室の窓からながめ。
「なに遊んでんのよ、あいつら」
「フフ、楽しそうね」

 無情なり。