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ぐるさん
2025-11-23 00:05:05
1537文字
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11.22 ふみりかワンドロ【香り】
ふみりかワンドロライ(@ fmrk_1draw)さんの2025.11.22お題をお借りしました。
「し、し、失礼します!!」
「どうぞー
……
ってか緊張しすぎ。ウケる」
「しょうがないでしょう!!」
約束した時間通りにふみやさんの部屋を訪ねると、ふみやさんはからかい様に笑いながら扉を開けてくれる。
今日はふみやさんと「お家デート」の日だ。と言っても何か特別な事をする訳ではなく、各々好きな本を持ち寄り読むだけなのだが、私はこの時間が好きだったりする。
この家に来る前は、読書とは一人で行う行為であり、誰かと一緒に行うなんて考えもしなかったのに不思議なものだ。
「理解は何の本持ってきたの?」
「今日はこの間読んだ小説の続刊と、古本屋で見つけた本を
……
ん?」
ふみやさんに本を見せている最中、ある違和感に気がつく。
「どうかした?理解」
「いえ、その、ふみやさん、もしかして今日は香水を使用したりしていますか?」
その違和感とは、香りだった。部屋に入った時には気が付かなかったが、ふみやさんに近づくと普段とは違う香りがほんのりと漂う。
不快では無いが、そうした類の物を使用する所を今まで見た事が無かったので意外だと思った。
「香水は使ってないけど
……
あ、もしかしたらコレかも」
ふみやさんが一旦私に背を向け、テーブルの上にあった瓶を手に取る。
「それは
……
?」
「ディフューザー。今度出るやつ試供品で貰ったから、試しにつかってみようかなって」
「へぇ
……
」
「でもさっき開けたばっかりだし、キャップを開ける時に少しだけ液が指に着いたから、そのせいで匂いが俺からするのかも」
「そういう事だったんですね」
違和感の謎が解け、何となくスッキリとした気持ちで、改めてソファに腰掛ける。
するとふみやさんも隣に座って、用意していた本を手に取る。
本のページを捲る微かな音に耳をすませ、文字を追う真剣な眼差しを横目で見ながら、ふと漂ういつもと違う香りに鼻をくすぐられる。
——
思えば、この時からもう、始まっていたのかもしれない。
◇◇
「はぁー
……
」
自室のベッドで横になりながら、ふと考える。
ふみやさんの部屋にディフューザーが置かれてしばらくが経った。
強すぎず弱すぎず、適度に漂うあの香りは、私にとっていつしかふみやさんとの「逢瀬」の象徴になってしまった
……
。
でもしょうがないでしょう!あの部屋に居るとふとした瞬間にあの香りを感じてしまう!それこそ、あの部屋に長い時間居ればそれだけ覚えてしまう!
では、ひとつ屋根の下で暮らす私達がわざわざ相手の部屋で長時間過ごすタイミングとは
……
?
「わああああ!?」
思わず湧いたふしだら思考を誤魔化すように枕に顔を押し付け深呼吸をすると、慣れた自室の香りが鼻をくすぐる。
そのまま何度か深呼吸をして気を鎮めようとすると、不意に部屋のドアが勝手に開く。
「理解、いる?」
「ちょっと!人の部屋を開ける時はノックしなさいと何度も
……
」
顔を上げた瞬間、ふみやさんからあのディフューザーの香りが漂う。多分、さっきまで部屋に居たのだろう。
「理解?」
ふみやさんが私の顔を覗き込む。だが、私の身体は「逢瀬」の時を思い出し、徐々に熱を帯び始める。
「
……
」
「理解?どうかした?」
「この部屋から出ていけーーッ!!」
強引にふみやさんを部屋から引きずり出して、思い切りドアを閉める。
外から抗議の声が聞こえてくるが、今だけは無視させてもらう。
「はぁ
……
」
嗚呼せめて、一日でも早くあの香りの源が消えてくれますように、なんて考えているのがバレたら、ふみさんは何と言うのだろうか。
私
——
草薙理解の受難はまだまだ続きそうだ。
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