三毛田
2025-11-22 23:17:41
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84 084. 沈黙にひそむ言葉の数々

84日目
意外と多かったりする

……
 ベッドの縁に腰かけ、読書をする背中を見つめる。
 体力の差か、それとも知識の差か。
 丹恒は、いつもケロッとしている。
 悔しい。
「どうした。起きたのなら、パムに食事を運んでもらうが」
 背中を見つめていたら視線に気づいたようで、ふっと笑いながら俺の頬を撫でてきて。
 ズルいって思う気持ち。でも、そんなことを思う自分が嫌。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
 優しく頭を撫でられ、目を細めながら彼を見上げる。
「丹恒、疲れてないか?」
「大丈夫だ。いつも気を遣ってくれてありがとう」
 キュンってきた。すごくキュンキュンする。男前!
「丹恒が男前すぎて、下が元気になっちゃった」
 両手で顔を覆いながら告げると、苦笑しながらおでこと紙を撫でてくれた。
 そういう仕草もキュンキュンするんだよ!!
 笑みを浮かべ、無言でそういうことをするのが本当さぁ。
 丹恒は、沈黙が多い。
 そうやって余計な事を喋らないことでミステリアスに見えるし、誰にも言えない秘密を抱えた孤高の存在にも見えて。
 まあ、実際重大な秘密を抱えていたもんな。
「残念だが、俺は姫子さんの護衛だから朝食を食べたらすぐに出ないといけない」
「残念。でも、キスくらいはいいだろ?」
「仕方ないな」
 額、鼻先、瞼、頬。最後に唇。
「お前も出かけるなら、気をつけて行くように」
「はぁい」
 俺もお返しにキスをして、着替えて出ていく背中を見送って。
 丹恒と一緒にいる時の沈黙は、心地よい。
 彼の沈黙は時折様々な言葉を含んでいて。
 残念だけど、俺はその言葉をくみ取ることは出来ない。
 いつかはそれを理解できるようになれたらいいな。
「パム、おはよう」
「おはよう、穹。丹恒なら、さっさと食べて出かけたぞ。もうちょっとゆっくり食べろと言ったんじゃが」
 パムがぷりぷり怒っている。可愛い。
 丹恒がぷりぷり怒るところも見たいけれど、きっと彼はそんなことはしない。残念。
「一応出かけるって聞いた。美味しそうなご飯ありがとうな、パム」
「どういたしまして。お前は今日はどうするんじゃ?」
「いただきます。とりあえず列車の中にいる予定。部屋にこもってると思うから、一言連絡くれたらすぐに対応する」
 うん。今日もご飯が美味しい。
「丹恒と仲良く過ごすのもよいことじゃが、風紀を乱すのはやめるんじゃぞ」
「んぐっ」
 まさかそんなことを言われるとは思わず、のどに詰まらせそうになった。
「ぱ、おあ、パムすぁん!?」
「みんな知っておるぞ」
「嘘だと言ってくれ!」