三毛田
2025-11-21 19:14:00
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83 083. 愛されていると判っていても

83日目
心配になる


……
 俺よりも体温が高い人。
 風呂上がりや、こうして体を重ねた後は特に高い。
 その熱で、溶けてしまいそうな錯覚に陥る。今もそう。
 でも、彼の体温は心地よい。だからこそ、怖い。
 彼に、穹に愛されていると判っていても、いつか俺の元から去っていくのだと。
 恐れを抱く。
 それは死別かもしれないし、意見の相違から下車する可能性もある。
 この開拓という旅路は、何が起こるかわからない。
 俺だって、まさか星穹列車のナナシビトとして先輩たちと旅をするなんて、あの頃からは想像できなかったのだから。
「穹……
 名前を読んでも、反応は薄い。嬉しそうに唇を動かすだけ。
 それでいい。
 たったそれだけなのに、俺は嬉しくてたまらないから。
 程よい疲労感が勝ったのか、彼との行為で興奮していた脳が睡眠を求めてきた。
 ここは素直に睡眠をむさぼり食うのがいいだろう。
 論文は提出したし、アーカイブの整理も一段落ついたところだ。作業をしようと思えばいくらでも作業うる理由を見つけ出せるけど、たまにはゆっくりするのも悪くない。
 穹に体を預けるように力を抜き、眠る彼に一度キスをしてから目を瞑る。
「おはよう」
……ああ」
 俺が挨拶を返すと、彼は嬉しそうに笑う。
「丹恒が俺より遅いって珍しいな」
「なかなか寝付けなかったんだ」
「それもまた珍しいな。気持ちよかったから?」
 昨夜よりもちょっとだけ低い体温が乗った指が、俺の頰を撫でる。
「それもあるが、考え事をしていた」
「寝る時はちゃんと脳を休めないと駄目だぞ?」
「寝る直前までゲームをしているお前にだけは言われたくないな」
 軽く鼻を摘むと、ふぎぃ。と、おかしな悲鳴をあげて。
「ふっ」
「笑ったな? それなら、こうだ!」
 ニンマリ笑いながら、俺の脇腹をくすぐってきた。
「残念だが、くすぐりは効かない」
「ちくしょ〜! それなら、こうだ!」
 悔しそうな表情を浮かべた後、俺に飛びついてきて。それから押し倒す。
「昨夜の続きはしないぞ」
「キスだけ!」
「それなら」
 少々荒々しく唇を重ねられ。
 口付けと同時に、熱を持ち始めた手が体を撫でていく。
「ずるいぞ」
 額をグッと押して、遠ざけると挑発するような笑み。
 だが、そんな手には乗らない。
「お前がそういうことをするのならば、俺は資料室に籠るとするか」
「ぇ」
「せっかくお前と過ごそうと、やるべきことを片付けて置いたのだが……
「ヤダヤダ! 一緒に過ごす!」
「それならば、先に朝食だ」
「はーい」
 時折子供っぽくなる。