墨色
2025-11-20 20:46:47
1436文字
Public れめししお題
 

ワルモノの色

れめししお題企画「色違い」お借りしました。

髪色について話すれめしし

「なんで、黄緑だったんだ?」
 気怠そうに枕に顔を埋めていた敬一君が、顔を上げオレの方を見る。
 敬一君からピロー・トークを始めるなんて珍しい。
「似合ってなかった?」
 晨君には好評だった髪色だけど。
「似合って……いや、それは関係ねえだろ」
「似合ってるって言うんなら、また染めてもイイかも」
……やめてくれ」
 あのゲームを思い出しているのか、敬一君は少し顔を顰めた。
「それ」
「は?なんだ?」
「敬一君が、友達じゃなくてちゃんと敵と闘えるように、ワルモノの色にしたんだぞ」
「悪者の色?」
「そう。欧米だと、ライムグリーンて、不吉な色らしいんだよ。ホラーとかゲームのクリーチャーだったり、スライムとか」
 日本でスライムと言えば、国民的ゲームの愛らしいキャラがイメージされるけど、洋ゲーのスライムはドロドロで緑色がベースだ。悪魔とか天使を合体させるゲームのスライムは、しっかり洋ゲー準拠なんで、仲間にしたくない。
 なんてことは置いておいて。
「狙い通り、ちゃんといつものレイメイと分けて考えてくれてたな」
「あー……、そうなのか?確かに、あのときの雰囲気はいつものオメーと違ったしな」
「可愛いオレ相手じゃ、力を出しきれないかもしれない敬一君に向けたオレの優しさだぞ」
 なんて言いつつ、ワルモノを作り出したのは、オレ自身のためだったのかもしれない。


 魅せられたのはあの試合、但しそれはギャンブラーとしての話だ。
 ただの叶黎明としては、獅子神敬一にとっくに魅せられ、落ちていたのだから。
 敬一君は「優しさの欠片もなかっただろーが」って言うけど、十分優しかったと思うんだけどな?

 

「敬一君は染めたことないのか?」
 汗で額に張り付いた前髪に手を伸ばす。
 間接照明に照らされた金色の絹糸は十分綺麗だけど、陽に透けてキラキラと輝くのが一番好きだ。
 なんて考えながら、髪を梳いていると、
「あー……昔、にな」
 敬一君は歯切れ悪く口にした。
「黒髪にして……コンタクトも……
 浮いてしまう容姿を、どうにかしようとしたのだ。言葉にされなくとも、理由なんて簡単に想像がついた。
「そっか、オレも見てみたいな!」
 空色の瞳を隠すように、前髪を額に下ろした。
 そして、頭の中で閃く。
「今度二人で黒髪にして、制服プレイでもするか?」
 なんてナイスアイデアなんだろう。
「はっ?!何言ってんだ!?」
「敬一君、学生服は学ラン?ブレザー?」
……学ランだけど、制服なんて取ってねえぞ」
 戸惑いと驚きで目を丸くする敬一君だけど、律儀に答えてくれる。おまけに、制服の有無まで。
「オレだって制服なんて、実家にもないよ」
 って言うか、たとえ取ってあったとしても育った敬一君の体じゃ着れないだろ。
「オレはブレザーだったけど、学ランも着てみたかったし!お揃いで作るぞ!」
「はあっ?!バカなのか?」
 敬一君、顔だけじゃなくて声も出てるけど?
「敬一君の学ラン姿が見られるなら、バカでもなんでもイイけど」
 オレの左手と敬一君の右手の指を絡ませる。
「学ランの思い出、オレでいっぱいにしよう」
 上書きしよう、とは言わなかった。その記憶だって、敬一君を形作ってきたものだから。
……考えとく」
「その返事はイエスだな」
 指切りの代わりに、キスで約束しておこう。


 
「お望みとあらば、セーラー服でもイイぞ!!」
「望まねーよっ!!」