MN*B
2025-11-19 06:10:25
1847文字
Public 宗おに:二次創作
 
1801073

【宗おに】 Dead-END |一人称変換あり

END10後にゲーム主人公が攫われたパターン:デッドエンド(DEAD END)。教主様視点。
暴力流血表現あります。独自解釈強。教主様のキャラと解釈を好き勝手にやっちゃってます。
ちょっとロックというかハードボイルド系のガンギマリ主人公。デフォルトの一人称は『俺』にしてますが、主人公の性別に関しては描写してないです。
今個人的に書いてる話から設定を一部引き継いでますが、一応別人として書きました。

その人物は後ろ手で拘束されたまま膝をつかされ、その果てに顔を地面に伏せさせられて、頭を踏みつけにされていた。
私はその頭を見下ろし、足に籠めた力をほんの少しだけ緩める。

「彼を――逸を、カエしてもらってもいいですか」

小野道 逸。彼は、この人物に関わったことで〝カワって〟しまった。それはとても、とても、善くないことだ。
だから、自分が何をしたのかを理解して、二度としないように教えてあげなければ。でなければ、また同じことをしてしまうかもしれない。
それに、今の私は可愛がっていたものを横から掠め取られ、自分の手の届かない場所に置かれた気分だった。……その償いが必要だ。

「そろそろ善い返事をしてくれませんか。それがお互いのためで、何より、逸のためになるんですよ」
……

相手も最初は抵抗していたが、少し前から身動きをやめていた。もしや気絶してしまったかと様子を窺っていれば、それを否定するようにピクリと頭が動く。
水気を含んだ呼気が静かに床を這う。その度に唾液と血液がまだらに散った。
しかし、返事はない。……まだ〝足りない〟らしい。
私が足に力を籠め直そうとした時、掠れた声が言う。

……『一つ言っていいか』と訊いたら、『だめ。二つ言って』って返す女が好きだよ」
……?」

意味が分からない。痛みで馬鹿になったのかもしない。それか頭の打ちどころが悪かったか、壊れたか。
伏せられていた顔が横を向き、その表情が半分だけ見えるようになる。靴の影から、陰りの見えない瞳が、こちらを見上げていた。

「足蹴にされたくらいじゃ萎えないって言ってるんだ」

唇に垂れる血を舌でなぞり、紅が引かれる。
口の端が笑みの形に引き上げられ、そこから覗く歯すらも赤く染まっていた。

「癇癪も暴力も愛嬌の内に見えてくる。それこそ正気を失うくらい洗脳され惚れたら」

故に『お前は違う』と嗤うのだ。

「貴方はせいぜい二番目、いや、イケても三番目だから。脈ナシ、諦めてよ。は一途なんだ」
「勘違いしないでほしい。私は君なんて欲しくないよ」
「だろうね。はそんな貴方のことが手に取るように分かるよ。知ってるから」

不可解で不愉快で、私は眉を寄せた。大して言葉を交わしていない相手のことを『知っている』だなんて、それこそ〝教主〟の真似事だ。

「逸が言っていた、勧誘の時にを追い詰めるような言動……それは逸が言われたことで、全て貴方の言葉なんだ。それを聞いて、がどう思ったか。ははっ、――ああ、可哀想な人だ。って」

【蜜】を受け入れ、幸せそうに笑っていた逸。それを見て、可哀想? 違う、私のことを可哀想だと言ったのか。

「どう、当たってた? 言っとくけど、逸からは何も聞いてないよ。貴方のことなんてッ゙」

踏みつけていた足を放し、相手の顎を掬い上げるように蹴り飛ばした。ガラ空きになった胴体にそのまま前蹴りを入れれば、高い踵が相手の胸に食い込んだ。
伏せていた体勢から一転して、今度は仰向けになって転がり、息を詰まらせて芋虫のように丸まる。かと思えば咳き込み始め、血を吐いた。……それでも、ソレは喋り出す。

「痛みや執着を満たしてあげれば、それでいいのなら、はそうするよ。でも、そうじゃなかった。跪いて服従しても、それじゃだめだったんだ」

焦点のズレた目が、私を――〝俺〟を捉えて離さない。その目に涙はあれど、それは屈した証ではなかった。

「貴方も、きっとそうだ。貴方の言う家族……信徒や、逸やが貴方を慕ったところで、貴方は満たされない」

何も響かない。ただただ不快だった。

「絶対に裏切れないようにしている相手から裏切られないのは当然だから」

気分が悪かった。的外れなことを知ったような口で利かれるのは。

「貴方は孤独や不信から逃れられない。だから、当然を崩したを屈服させて、安心しようと」
「もういい」

私は無様な死に体を見下ろして、相手の遺言になる言葉を遮った。
この存在は【蜜】を与えるにも相応しくない。
そんな私の考えを読んだように、ソレはまだ口を開く。

「逸はもう染まらないよ。解き方を教えたから」

関係ない。【蜜】の前には、意思も抵抗も無意味だ。

も染められないよ。解けてないから」

そう言いながら、痛みを感じていないかのように――否。痛みすらも愛おしそうな顔をする。
……嗚呼。やはり相応しくない。