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2025-11-18 01:19:48
2617文字
Public 諸々(CP混在)
 

ケンとママの会話文

何かに昇華できそうでできないままずっとあるやつ。和解した拳とママが弟について喋ってるだけの会話文。全部捏造と私見。



……そんなこと、教わった覚えはねえぞ」

「さんざご高説垂れてくれたけど、俺はそんなん教わってねえ」
「教えていない」

「必要のないことに時間を割くのは無駄の極みだ」
「は?」
「お前は、初めて力を使った時からそれができている」

「理屈ではない。お前はそれを肌で知っていた。お前が抱えていた問題は力のブレとムラだ」
……
「だから早々に、キャパシティを広げる方向に舵を切った。常に限界ひとつ先の負荷を課して、とかく出力の増強させた。お前は器用だから、器さえ広がれば己で全てを制御できる」

「対してミカエラは私に似て、同じ強さ、同じ広さ、同じ量で力を使う丁寧さに長けていた。けれど中に踏み込む手腕に問題があった。生来の気性故に、他者の意識を分解して入り込み、再構築する事を嫌った」

「だから私がついて、一つ一つを丁寧に教えた。どうすれば脳の鍵が開き、入り込み、意識を分解して構築し、新しい種を植えた上で美しく抜け出すことができるのかを。会得すればミカエラは確実にお前よりも強くなる」

「故に、ミカエラを教えるのには時間がかかった。ミカエラは一度会得したら忘れないが、体に染み込ませるまでの時間がかかる」

「お前は父親に似て人当たりが良く、口が上手くて他者に取り入るのが上手い。賢しいともいうが、他者の意識の鍵を緩ませることにおいてミカエラより数歩先を行っていた。相手の頭の中に無遠慮に入り込んで踏み荒らすくせに、その痕跡を残さず綺麗に後片付けして出てゆく力も最初からもっていた。お前のやり方はあの黄色に近い」
……何?」

「だからあの黄色がお前を引き取ると言った時は断った」
「は!?」
「当たり前だろう、お前はちゃらんぽらんで反抗的で、私に対して生意気極まりないガキではあったが一族の嫡男だ。アレの血族はたったの一人、世界中の恨みつらみを進んで買いに行く男に渡すわけがない」
「あっ……そぉ……

……全部わかっていたとばかり」
「わかるかよんなもん、毎日毎日脳みそ握られて、吐きながら倒れたら舌打ちしてたオカアサマの考えてることなんざガキにわかるわけがねえ」
「覗けば良いだろう」
「ゴメンナサイネェ、ウチのオカアサマはガードが固くて俺みたいな出来損ないじゃあポストにチラシ投函すら出来ねえ有様でしてェ」
……成程」

「お前、だから私を嫌っていたのか」
「きら……ってか……あー」

「まぁ、俺がここまで力を使えるのも、身体がジョーブなのも、精神が頑強なのも、ガキの頃にあんたが俺を叩きのめしてくれたことが素地にある。あんたのおかげと言えなくもねえ」
「そうか」
「だから、遅きに失した感はあるけど聞けて良かったよ」
……そうか」

「トオルのアレは、どう思う」
「トオルは…………………………

「よくわからない」
「んでだよ」
「私の見立てではトオルはお前よりもキャパシティが大きく、ミカエラよりもブレなく安定した力で広範囲に影響を及ぼすことができるから、使い方を覚えさえすれば伸びるはずだ」

「しかし、トオルの力は視覚情報に特化したものだ。例えば他者がトオルを視界に入れる──その瞬間からトオルの足は対象者には見えていないのか」
「多分そうだな」
「では駅の中や街の中、ごった返す人混みの中で50メートル以上先から、トオルをトオルとして認識していない時はどう見える? 検証したことは?」
……ねえ」
「ふむ、では折りを見て試しておこう。まず東京あたりから面識がない数百人を催眠にかけて新幹線で移動させる。そしてトオルを定点から観測した時の脳の動きを」
「待て待て待てそれテロだろ捕まるぞマジで。やり方考えろ」


……仮定の話だが」

「トオルをトオルとして認識し、霞ほどでも意識を向けたものに対し、その意識の波に乗る、または打ち返すような形で催眠をかけているのではないかと思う」

「認識の方法は問わない。映画館で隣に座った、街中ですれ違った。なんでも良い。『人ごみの中の一つ』程度の認識で良いのだ。形を問わずトオルを認識したものに対してオートメーションで『無意識の意識』を埋め込んでいる」

「たったの一度でいい。『この男は下半身が透明に見える』という種さえ埋め込めば、トオルを認識した時に花開く。脳は存外単純だ。おそらくあの子は昔よりも透明化に負荷を感じないのではないか」

「なんでそう思うよ」
「あの子は成長した。力も強くなっている。一度意識に入れた時に影響を及ぼせる人数は増えている。かけ直す必要のないオートメーションの催眠だ。故に、ひとつ所にとどまればとどまるほど、今までよりも小さな労力で事を済ませられる。新しく術をかける労力が減る」
「はぁー……


「お前やミカエラがトオルの催眠を無効化する時「チャンネルを合わせる」という言い方をするだろう。これはトオルが作った『自分の下半身を透明に見せるチャンネル』が意識の中に常在している事を認識しているからだ。催眠に長けたものであれば意図的に意識をずらしてやる事で催眠を無効化することが可能、ということだろう」
「アンタはどう見えてる」
「子供に意識を変えられるほど鈍ってはいない」

「全身透明になろうと思えばなれるわけか」
「力が満ちればなれるだろうが、範囲含めた自由なオンオフまでコントロールできるのかが問題になる。私の説が正しければ、今まさにあちこちにトオルは透明だと認識しているものが溢れかえっているんだ、全て制御しようとすれば処理が煩雑になるし、不用意に行えば生活に支障が出る。検証が必要だ」
「成程ね」

……ミカエラは、なんで催眠かけるとビキニになるんだ」
「私が聞きたい。何なんだあれは。血を媒介し感染する催眠は我が血族の真骨頂ではあるが、何故同時に衣服を全て吹き飛ばしてビキニに変換することができる? 物理法則を超えているだろうが。貴様何を教えた」
「知らねえし教えてねえしそれは俺とて知りたいのよ」
「なぜ止めなかった」
「止めれたら苦労しねえんだってェ〜〜」




「あのさぁ」


「ミカエラにもちゃんと説明してやってくれよ、俺とミカエラにつけた修行のやり方が違う理由」
「あの子はお前と違って聡いから全てわかって」
「だーかーらーそういうのがダメなんだって言ってんのォ!学べ!」