2025-11-17 00:36:03
1580文字
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すみさ練習①


練習問題①一段落〜一ページで声に出して読むための語りの文を書く。

1話演習直後ヒロに迷惑をかけまくるすみくんの語り

 JSDFのTSってのはさ、いかにも”自衛隊”らしいっていうか……あんまり機敏に動きそうには見えないよな。ジョシュアツリー国立公園の亀みたいに、陣地に籠って首だけ伸ばしてこっちをみてる。防衛向きと言えば聞こえはいいが、それじゃあTSの機動力が台無しだ。プラズマリフトだって積んでるのに、わざわざ二本足で歩くところなんかほら、どうにも間が抜けて見えるだろ? 
 そう……そう、思ってたんだが。俺は出会っちまったんだよ、ヒロ。……何にって、お前だって見てただろ?! あれ、ああ、そういえばロストしてたっけ。まあそれはいいから聞いてくれ。あのパイロット……イサミ、そう、イサミ・アオだ。あいつは何もかもが違ってた。
 小隊の他のやつらは防波堤のあたりで留まってたみたいだから、きっと独断専行だったんだろうな。あの重そうな機体がたった一機で飛び出してきて、俺たちの背を追い越して駆け抜けるんだよ! モニタ越しにそれを見て、俺はもうすっかり興奮しちまってさ。自衛隊に出し抜かれたんじゃ、俺たちのメンツも丸潰れだろ? 絶対に追いついて、追い抜いて、俺の手で敵機をやって、あいつに勝ちたい! そう思ったよ。 ……はは、まあそういうなって。リョウマには確かに叱られたけど、俺は多分何度でも同じことをする。確かに戦死判定はくらったが、あのとき追い縋らなかったらきっと、あのパイロット俺のことなんかちっとも覚えちゃくれなかったぜ。あの様子じゃあ、たった一回演習で敵対しただけの相手なんて、そもそも眼中にないんだろう。名前も覚えてくれてなかったのはちょっと傷ついたけどな!
 今日は負けたが、明日は必ず勝つ。見てろよヒロ。タイマンであいつに勝って、言ってやるんだ。そろそろ俺の名前は覚えたかってね。
 
練習問題②一段落くらいで動きのある出来事を一つ、もしくは強烈な感情を抱いている人間を一人描写する。

複座で眠るさみくんと思い詰めているすみくん

 点滴のパックから伸びる管がからりと揺れ、アルミのスタンドにぶつかった。スミスははっとして顔を上げたが、寝台の上の人物はいまだ、固く目を閉じたまま動かない。舌を一つ打つとスミスは立ち上がり、いたずらな風を招き入れた窓を苛立ちまじりに閉じた。力が入りすぎて大きな音を立てたようだが、誰も気にするものはない。この部屋にはスミスと、眠る男との二人きりで、男はもう三日も目を覚さないままだ。乱暴だと小言を言うために目を覚ましてくれるのなら、窓でもなんでも壊してやりたいとスミスは思う。
 寝台のそばの小さな丸いすは、スミスが自分で持ち込んだものだ。自分もここで眠ると言えば、ニーナは当然眉を顰めた。言わなくてもわかっていると思うけどと前置いて、浅い眠りが体にもたらす悪影響をつらつらと並べ立ててみせた。そんなことは当然全て知っていた。それでもスミスは自室に戻って眠ることなどできなかった。できるわけがなかった。この、能力ばかりは高いくせに、酷く甘えたで寂しがりな男が、死も苦痛も恐れるくせに、高潔な魂を裏切ることのできない男が、目を覚ました時にそばに誰もいてやらないなんて、そんなことがあっていいはずはない。
 立ち上がった勢いで動いてしまった丸いすを引き寄せ、スミスはまた寝台の脇に腰を下ろした。腕を組み、俯くようにして目を閉じる。
 次に目を覚ました時、事態が好転している保証はどこにもない。どうせ起きるなら、彼の小言で目覚めたい。どうしてこんなところで眠っているのだとスミスを叱ってほしい。それまではいっそ、ずっと眠っていてしまいたい。夢に墜落する直前の曖昧な一瞬だけ、スミスは自分にそんな夢想を許した。