お芋さん太郎
2025-11-16 19:36:16
799文字
Public ONEPIECE
 

どうぞ、ご自愛ください。

ゾロ誕生祭2025
#コウシロウ

朝一番に仏壇に手を合わせる。
コウシロウの日課だ。

仏壇には小さな器に白いご飯をよそい、隣にはおにぎりを。
どちらからも湯気が細く立ち上がっていて、線香の煙とゆるく混ざり、あちらの世界との境界にいる心地だ。

お鈴の余韻が響く中、写真のくいなと目を合わす。
もしも彼女が生きていたら、どんな大人になったろう。
想像を巡らすのも、いつしか大切な日課となった。

読み終えた今朝の新聞をくいなに渡す。
一面には〝麦わらの一味〟の悪事……否、活躍が大々的に取り上げられていた。

「ゾロの一味は、ついに四皇になったよ。ここからが正念場……でも夢には確かに近づいてる。君との約束にも」

彼の幼少期を思い出す。
やること成すことが無茶苦茶で、優等生とはとても言えない。
体を壊すほどの厳しいトレーニングにも手を抜かず、いつもハラハラさせられた。

きっと今も、変わらず無茶苦茶な日々を過ごしているだろう。
まっすぐで曲がらぬ覚悟を持った、精神的にも強い剣士だったから。

「だけど困ったものだよ。道場の子どもたちが真似してしまうんだ。みんなそろって必死に三刀流を練習してる様子は、悪いが少し笑えてしまう」

コウシロウが頬を緩め、「君にも見せたかった」と呟いた。

たったの十数年。
彼女の人生はあまりにも短かった。
それでも確かに意味のある人生だったのだろうと、今では思う。
数年ぽっちしか一緒にいられなかったゾロが、くいなとの約束を守り続けてくれているのだから。

胸の奥に宿った熱が、目から一粒ほろりと落ちた。
眼鏡を上げて目元をぬぐい、過ぎた年月を実感する。

ごまかすように障子の外に目をやると、にわか雨に白いものが混じり始めた。
どおりで素足じゃ寒いわけだ。

時は霜月、十一日。

夢を背負った青年が、ひとつ歳を重ねる日。

そして彼の健勝に、いっそう祈りを重ねる日。



おわり