お芋さん太郎
2025-11-16 17:53:15
1154文字
Public ONEPIECE
 

いつか1/365

ロビン誕生祭2025
#サウロ

足音たてて、昼が来た。
チリンとドアベルを鳴らして入店したのは、サウロだ。

彼はいつも、店に入ってひとつ深呼吸をする。
温かくてカサカサした香ばしい匂いが、鼻の奥に広がるのが良いらしい。

「焼きたてだよ、サウロ先生」
「ちょうどよかったでよ。2つ、もらってく。ジャムは、アー……
「ブルーベリーなんてどう?」
「いいな。じゃあ、それもだ」

ちょっと皮が固めの焼きたてのパンを二つ。それとジャム。
サウロは昼になると、いつもそれらを狙って買っていく。

パン屋の店員はていねいに紙袋に入れ、小さなカップケーキをひとつオマケに入れた。
常連さんへのサービスだ。

支払いが終わったら、次は海に向かうはずだ。
1年365日、いつも同じ。これを20年以上、ずっと彼は続けている。



「カップケーキも入っとるでよ、ありがたい」

サウロは海岸に座って、パン屋の紙袋から紙ナプキンを取り出す。
砂に敷いて、その上にまだ温かいパンをひとつと、カップケーキ、人間族サイズの新聞をそばに置いた。

置いたパンには、たっぷりジャムをのせる。
自分のパンにも少しジャムをぬって、ふたつのパンで乾杯した。
ちょっとだけ考えて、カップケーキにも。

「誕生日おめでとう、ロビン」

今日は今年に入って78回目の、ロビンの誕生日だ。

 
というのもこのサウロ、毎日ロビンの誕生日を祝っている。
なぜなら20年以上前、たった数日一緒に過ごしただけの女の子の誕生日なんて、サウロが知るわけないからだ。

だからとりあえず毎日祝っておけば、いつか当たるだろうという寸法だ。
思いついたときの自分は、巨人族の長い人生の中でバツグンに冴えていたと思う。

ロビンは、子どものころから世界の悪意にさらされつつ、必死に今まで生きてきた。
オハラの学者の意思を継ぎ、本当によく生きてきたのだ。
手配書が更新され、彼女の仲間がエニエスロビーを落としたと知ったときは、両手を挙げて泣いて喜んだものだ。

そんなロビンの誕生日である。
祝ってやらねば気が済まない。

 
とはいえ、サウロはロビンが好きな食べ物なんて知らないので、いつもジャムのパンだ。
彼女はいつもこれを食べていた。
分けてくれたこともあるので、たしかな記憶だ。

本当はケーキでお祝いしたいのだが、毎日ケーキではサウロの方がまいってしまう。
だからもしまた会えたら、本当の誕生日に本当の誕生日を祝えるよう、とっておいているのだ。

彼女の愉快な仲間たちと一緒に、人間族の家より大きなケーキで祝ってあげたら、どんな顔が見られるだろう。
想像しただけで笑えてくる。

今日の新聞で、四皇のうち2人が倒されたと知った。
主犯は〝麦わら〟。

早く、会いたい。



おわり