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コタジ
2025-11-15 20:43:28
1498文字
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酔狂なもの 2
□全員出動の雑渡さんと伊作先輩その二。
次にその酔狂なものと会ったのは夜半だった。
会ったというのは少し語弊があるかもしれない。
簡単に言えば、襲撃した相手が彼だったのだ。
(
……
子供か)
小さな体躯、高い声音。
暗がりでも直ぐ様動作で若いとわかる。
『灸を据えてやれ』
主の手前、あの時は是と短く返した。だが目の前にある若い芽を見ると、男の中で少しばかり億劫な気が擡げる。子供というものを相手取るのは、気が重くなるのだ。
あからさまな囮が先へと逃がそうとしていたのは彼等なのか。はたまた別の方か。
取り敢えずは妨げられればいい。
気が乗らなくとも端から見逃すという考えは無い男は、その巨躯からは想像も出来ないほど身軽にふわりと宙に跳ね上がると、重力の赴くままに地へと降り立った。
「危ない!」
背丈のある方が咄嗟に連れを庇い、突き飛ばされた方の子供が木に激突して悲鳴を上げた。
上空から落下する勢いで容赦なく人体を踏みつければ、小柄な子供などひとたまりもなく潰れたに違いない。ただ、そこまでするつもりは男にはなかった。
あくまでもこれは脅しだ。
しかし敏感に反応した片方が、幼い方の子供を守るように突き飛ばした。勘は悪くないようだ。
(ふぅん)
幼い子供のことを気にしながら、男の攻撃をいなしている。
歳の割にはまぁまぁの腕前だ。男は全くと言っていい程本気ではなかったが、相手に少しばかり興味を持った。
「先に行けってば!」
「御免なさい!」
「
…
余所見」
援護のつもりで味方の後頭部に投石するという、冗談のような遣り取りに呆れ、青年がほっとしたように表情を緩めたところを狙って男が蹴りを入れる。
蹴り上げる前に声をかけたのは、余所見をしている余裕があるのかと意識させ、最低限の防御をさせる為だ。
対峙した時点で瞬時に力量を判断出来ただろうに。色々と甘い。
鳩尾に入ったのか青年の息は幾許か止まり、胃液を吐いてまともに背から樹木にぶつかった。
苦無を持つ右手を押さえ込み、喉仏にぴたりと棒手裏剣を当てる。
今現在、男達がいるのは雑木の中で、星明かりも届きにくい暗がりだ。だが彼等は闇夜に慣れていた。
なので青年の苦痛に歪む顔も、はっきりと見えた。
激しく動いてぶれていた人相が定まり、相手を見知らぬ子供だと認識していた男は瞠目した。
押さえつけている青年は、何時ぞやの酔狂なものだった。
(忍だとは思っていたが、まさか)
「君は
…
、忍術学園の生徒だったのか」
「え?」
男が思わず零した言葉に、意外な事を言われたのか、青年が「貴方は、」と目を瞬く。
目を丸くすると、幼さが際立った。
誰なのかと不思議そうにする青年に、男の目元が少しばかり緩んだ。
感情が表情に出過ぎである。
忍たまといえど、彼は忍に向いていないのではないだろうか。
ふわりと一飛びで後退して距離をとる。
「以前、恩を受けた者だ」
「
……
恩?」
全く分かっていない返しに、適当に気を逸らしてその場を後にした。
男に恩を仇で返す趣味は無い。
しかし、主の言い付けに背く訳にもいかない。
(さて、どうするかな)
男は一先ず部下の様子を見に行くことにした。
まさかその内の一人が、文房具にやられているとは思いもよらなかったが。
実力の差があったとしても情けない。
やれやれと態とらしく呆れてみたら、諸泉尊奈門に膨れ面になりながら脚を揃えないでくださいと返された。
士気が下がるらしい。
なんでかと言ったら陣内まで微妙な顔をしていた。
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