三毛田
2025-11-15 14:03:19
1075文字
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77 077. 目眩がするほど

77日目
眩しい人

 ふとした瞬間、眩しく感じる。
 それこそ、目眩がするほど。
 〝彼〟という存在は、自ら光を放つ恒星のようで。
 近づき過ぎれば、その熱で焼かれてしまいそうだ。
 ただ、必要以上に近づかず、彼が嫌がることをしなければ程よい暖かさをもたらしてくれる。
「丹恒!」
 嬉しそうに俺を呼ぶ声。
 人生のほとんどを冷たく暗い牢獄で過ごしていた俺には、彼の笑顔がひどく眩しく時折苦しく感じるけれど、その声だけは彼から伝わる温もりだけは、享受したいと感じている。
 そんな思考を持つとは、あの船を離れたばかりの俺からは想像できないだろう。
 自分でも、驚いているくらいだ。
「今日はなにをしたんだ?」
「なんで俺が何かをした前提なんだよ!」
 悔しそうに地団駄を踏む。
 特に助けを求めるような声色と表情ではなかったけれど、彼は光希と共にちょくちょく余計なことをしてはパムに怒られているので、思わずそんな言葉が出てしまったのだ。
「それはすまない」
 悔しそうな表情が愛らしくて、えみが溢れると穹はポカンと俺を見ていて。
「丹恒が笑った……
「俺だって笑うこともある」
 何だその言い草は。
 という言葉が出そうになったが、グッと我慢して頭を撫でてやると嬉しそうにヘニャヘニャとだらしのない笑み。
「それで?」
「丹恒に会えたから、嬉しくなった」
「用事があったんだろう?」
「丹恒に会うのが用事だったんだ」
 頭にある俺の手をそっと頬へと持っていき、頬擦りして。
 ああ、どうしてくれようか。
 手から伝わる熱で、溶けてしまいそうだ。
「丹恒?」
 俺の反応がないのが気になったのか、不思議そうに見てくる。
 自分で思っていたよりも、俺は彼のことが好きなのだ。
 改めて気付かされて、今すぐ逃げ出したい気落ちに襲われ。
「穹。手を離してくれないか」
「えー。やだ!」
「何故」
「だって、手を離したら丹恒は逃げるだろ?」
 先ほどまでとは違い、獲物を狙う肉食獣のような目を向けてくる。
 知られていた。気づかれていた。
「ほら、やっぱり」
 さあっと血の気が引いていく感覚に、手を引っ込めようとすると逃さないというようにさらに強く掴まれ。
「穹。離せ」
「やだ。俺がお前のことを好きなのは、知ってるだろ?」
「それは、知っているが……
 今更それが何だというのだろうか。
「俺の好きと丹恒の好きって多分違うから、そこから教え込んでいかないと」
 な? と、人好きのする笑顔をこちらへと向けてくるが、俺にはわかる。
 これは、狙った獲物は逃さない目だ。