三毛田
2025-11-14 22:52:32
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76 076. 指先から染み込む熱情

76日目
触れていると、寒くないという

 あれ以降も、たびたび呼び出されて手伝うことがあり。たまーに丹恒も、幽囚獄に行くときに付いてきて。
「辛くないのか?」
「この空気には慣れないが、お前がいるなら比較的平気だ」
 そんなやり取りをしていると、惚気るな。という視線が、寒鴉から向けられる。
 いやだって、ねえ? あの丹恒が自らが閉じ込められていた場所に忌避感を持たなくなっているんだもの。
「えへ。えへへ」
「別に荘厳な場所ってわけじゃないけど、ここにはまだほかにも囚人がいるから刺激しないで」
「はーい」
「ああ。心得ている」
 本当か? と、疑うような視線を繋いだ手へと向けられる。
「何が気になるんだよ」
「もう気にしないことにした。じゃあ、今日はこの書類の整理を頼みたいから、このエリアから動かないで」
「わかった」
 判官たちも最近は丹恒がいてもあまり気にしなくなってきたけれど、こうやってちょっと手を繋いだりしていると物珍しそうに見てくるのだ。
 あまりにも視線を向けられすぎると居心地が悪いのか、丹恒はそっと手を離そうとして。
「駄目」
「穹。作業を頼まれているんだ。そちらを優先する必要がある」
「でも、丹恒はもう列車の人間だ。それを、ここの人たちにも教えないと」
「それとこれとは関係ないだろう」
 はあ。と、呆れたようなため息。
 周囲の何人カモ、丹恒に同意するように頷いている。
 なんでさ。
「穹。いい子だから、早く終わらせよう。イチャイチャしたいのならば、列車に戻ってからで頼む」
「わかった。いい子だから、今は我慢する」
 俺が頷くと、周囲もなんかほっとしたように息を吐く。
 失礼だな。
「終わった?」
 頼まれていた書類の整理が終わる頃、寒鴉が戻ってきた。
「これを揃えれば終わりだ」
「ありがとう。普段から、書類の整理とかラベリングとかやってるの」
「普段は、列車のアーカイブのラベリングや整理、登録を俺ア行っている」
「どうりで手際がいいと思った。皆助かってる」
「そうか。これくらいであれば、手伝える」
「もしかしたら、頼むかも。その時はよろしく」
「ああ」
 なんか丹恒が取られそうな気がして、ぎゅっと彼に抱き着く。
「穹。話をしている最中だ」
「わかってるけど、丹恒は俺のだから」
 俺の返答に、二人はため息をついて。
「幽囚獄に居た時よりも充実してるみたいだけど、子守りが大変だったりする?」
「二人いるからな」
「子供じゃない!」
 なのが聞いていたら、彼女もきっとそう答えるだろう。
 というか、二人仲良くない?