こあらん
2025-10-21 01:02:30
6168文字
Public ロベシエ
 

放課後狂詩曲 (ロベシエ)

学パロ。年齢操作してます。でも原作通り5歳差なはず(計算かあっていたら)シエテ大学四年生、ロベリア高校三年生の設定です。ロベリアは原作みたいなシリアルキラーじゃないけど、見た目優等生だけどなんか色々やっているやんちゃ設定。

………はぁ、やっぱりこうなるよねぇ……参ったなぁ)

 教室の窓に初夏の柔らかな陽光が降り注ぎ、桜の葉も青々として風に揺られている放課後。校庭からは部活動にいそしんでいる生徒達の掛け声や、生徒達の笑い声が響き、日常の喧騒が漂う。その喧騒から遠く離れた校舎の裏手にある古びた体育倉庫の裏に、教育実習でこの高校に来たばかりの大学生──シエテはいた。
 彼は今、この状況をどうやり過ごそうかとても焦っていた。なぜなら、目の前にはこの学校の生徒ロベリアが立っていて、シエテは身動きが取れない状況だからだ。彼の右手が、シエテの背後の壁に勢いよく叩きつけられてシエテを閉じ込めるように迫る。
さて、どういう事か説明してくれないか」
………っ」
 ロベリアはにっこりと笑いながら、シエテを見つめている。表情とは裏腹に目はギラギラと光っており、声も低く、どことなく震えている。苛立ちを隠しきれていない様子だ。放課後の喧騒から切り離されたこの場所で、二人の間にだけ熱を帯びた空気が流れる。まるで別世界にいるみたいだ。
(あヤバい。凄く怒ってる。なんかしないとなぁ
 シエテは口を引きつらせながら、どう説明をしたらいいか考えあぐねていた。冷やせが背筋を伝い、頭がうまく回らず言葉が出てこない。目の前にいる恋人、ロベリアをどう宥め、なんとか落ち着かせて機嫌を取りたかった。


 そう、シエテとロベリアは年が離れてはいるが、恋人同士として付き合っている。
  新しい人との出会いは、時として予想外のことで起きる。バイトを通して親しくなった可愛い年下の友達であり、指導している剣道の生徒でもあるグランからの相談がそもそもの始まりだった。
 ある日、彼から「部活の大会で他校へ行ったら、そこである生徒に絡まれて騒動になったけど静かにさせた。それから妙に懐かれて、付きまとわれて困っている」と相談を受けた。もの凄くげっそりし、今にも魂がぬけそうなほど疲れている表情のグランに、シエテはひどく心配した。
 大切な生徒兼友達の一人であるグランには常に笑っていてほしい。だって太陽のように明るい子なのだから。グランが困っているのなら、シエテお兄さんが何とかしなければ!そう、シエテの中の世話焼き心が熱くなり、該当の人物に会うことにした。その人物こそ、ロベリアだった。
 ロベリアにガツンと一言注意を促して、もう会うことなどないと思っていた。何故か楽しそうにお小言を聞いていたロベリアは、シエテの事もひどく気に入ってしまったようだ。その後シエテにも気安く接するようになり、度々、時間が合うときに会う間柄となってしまった。
 そしてある日、ロベリアから告白された。ロベリアは以前からグランからシエテの話を聞いていて、前から興味があったようだ。だからずっと会ってみたかったらしい。

 ロベリアがシエテに興味を持った理由など、シエテにはさっぱりわからなかった。なに、冗談を言っているんだ、コイツと思いながら驚くだけだった。
 だが、グイグイいくロベリアのアピールに圧倒され、つい交際を了承してしまい、二人は恋人同士となった。 

───これは一時の気の迷いだ、若いロベリアには出会いも多い、すぐに飽きるはず
 シエテは自分にそう言い聞かせた。
 それなのに、交際はだらだらと今も続いている。      
 そして季節は巡り、春にシエテは教育実習で教師として教鞭をとることになった。しかし、思いもよらず、実習が始まる直前に実習先が突如変更されてしまったのだ。新しい場所は、なんとロベリアが通っている高校。実習先がロベリアが通う高校になったことを伝えるのは、何だか気恥ずかしい。喜ぶ姿が目に浮かぶが、その時にどう反応していいかわからない。
 どう打ち明けていいか悩んだまま、多忙な日々が続き、あっという間に実習日初日となってしまった。
 そしてシエテにとって運が悪かったのは、シエテの指導担当はロベリアがいるクラスの担任であった。

「シエテ先生、質問があるので後でいいですか?」

 そうロベリアに告げられ、シエテの心臓は焦りで跳ねる。
(ヤバい、これは絶対に怒っている
 シエテはそう思いながら、ロベリアに伝えるのを怠った過去の自分を殴りたかった。なぜ、何事も起こらないと思ったのか──自分に呆れるしかなかった。

 指導担当のそばで、生徒達に自己紹介をした時に、一瞬ロベリアと目があった。流石にシエテがその場にいるのに驚いていたのか、一瞬目を見開いていた。
 でもその時はそれだけの反応だったし、授業態度も普通だったから大丈夫かと思った。実習先は教えなかったが、シエテが教育実習を受ける事は伝えていたし、頭のいいロベリアの事だきっと状況を察してくれたはず。後できちんとフォローしたら納得してくれるだろうと、何故か楽観的に考えながら、授業をおこなった。
 しかし、その希望は授業が終わった時に打ち砕かれる。気味が悪いほど明るい声で己の名前を呼び、非常に含みのある笑顔でロベリアに話しかけられた時、シエテは痛感する。全然大丈夫じゃなかったと。 

 そして放課後、誰も見られていない間に、ロベリアに体育倉庫の裏に連れられ──今に至る。 
 それらのやり取りを誰かに見られたらと思うとヒヤヒヤするが、ロベリアは昔から人気がない場所を見つけるのが得意だがら大丈夫だと信じたい。でも、長くいればそれも時間の問題だ。誰かに見つかる前にこの状況を打破しなければそう思いながら、ロベリアを見る。ロベリアはシエテからの言葉を待ち、真剣な面持ちでシエテを見つめ返している。力強いエメラルドの瞳が、シエテの心を掴んで離さない。
「ロベリア、その
 上擦った声で恋人の名前を呼ぶシエテを、ロベリアはムスっとした顔でじろりと見つめながら詰め寄る。この視線が痛い。
オレ達は付き合っているんじゃなかったのか?隠し事をされたのがショックで今日は授業に全然身が入らなかったんだぜ?」
 ロベリアの右手は今もシエテの背後にある壁にガッチリと手を当てている。どう見ても、シエテが事情を話すまでは解放してくれそうもない。別に深い事情はなかったのだけどそう思いながら、シエテは観念して話す事にした。

「黙っていてごめんね。別に隠すつもりは無かったんだけど。俺、最初は別の高校で実習する事が決まっていたけど、大学との調整ミスでキャンセルになっちゃってね。それで、今の高校に決まったのがギリギリだったんだよ。そこから準備が忙しすぎて、他のこと考える余裕がなかったんだよね。まぁ、あと
 素直に伝えるのがなんだか照れくさくて、少し間を開けてからシエテは続けた。
「なーんか、ロベリアが通っている高校になった、って伝えるの、恥ずかしかったんだよねー。いやぁ、でもまさかロベリアのクラスが担当になるとは思わなかったよ

事情を全てロベリアに打ち明け、スッキリした気分と照れくささがないまぜになる。それを誤魔化すかのように、シエテは自分の頬をかいた。
 しかし、大した理由も無いのにロベリアに事前に連絡しなかった事で、ロベリアは傷ついたみたいだし、自分も余計な心労を負ってしまった。次は気を付けないとそうシエテは心に誓った。
 ロベリアはそんなシエテの様子を見たあと、ため息をひとつついて壁を押さえていた右手を離した。どうやら納得してくれたようだ。

……まぁ、確かに最近のシエテは忙しそうだったな。連絡したのに、なかなか返事が来なくて寂しかったんだぜ?そんなシエテが急に教室に現れたんだからね。驚きもするさ。もう、可愛い恋人に隠し事はしないでくれよ?」
「ご、ごめん
 両手を上げ、大げさに肩をすくめるロベリアに、シエテは謝りつつ安堵する。態度から見て、先程垣間見えた怒りは静まり、いつもの調子のロベリアが戻ってきた。

理由もわかったし、今はもう気にしていないさ。でも、そうだな。それでも、それなりの“お詫び”は欲しいかな。」
「えんん!!??」

 ーーよかった、取り敢えずは一件落着かなと安心した束の間、ロベリアに両手で肩を掴まれた。シエテの身体はロベリアに引かれ、シエテの唇が塞がる。
  お互いの唇が触れるだけの軽いキス。離れては再び唇が重なり、角度を変えてお互いの想いを確かめ合う。手入れされているロベリアの唇は、しっとりとして柔らかくて気持ちがいい。場所を忘れ、シエテはキスに夢中になってしまった。合間に吐息が漏れ、いつしか、ロベリアの舌が熱く求めてくる。キスをしながら、ロベリアはシエテを強く抱きしめ、その片手はシエテの背中を優しく撫でる。大切なものに触れるような愛撫であったが、その手は徐々に腰から下へ下へとおりてゆき……

ーーーーーまずい、これは、ダメだっ!!

「ち、ちょっと!!ダメだよ!何やってんの。場所とか立場とか考えろよ!」

 久しぶりの恋人のキスで、つい場所を忘れて流されてしまったシエテだったが、やっとの思いで我に返った。両手でロベリアを押して、ロベリアと距離を取る。自分とした事が、うっかり場の雰囲気に流されてしまった、情けない。先程とは違う罪悪感が、シエテの心を覆う。一方ロベリアは、久々にシエテに触れられる事ができて、見るからに上機嫌だ。悪びれた様子もなく、ロベリアは答えた。

おっと、すまない。シエテが可愛すぎて歯止め効かなくなってしまったな。それに、久しぶりのキスなんだから仕方がないじゃないか」

 全く場所やお互いの立場とか考えている様子がなく、頭がクラクラしてきた。これが、若さの勢いか。校内でのキスだけでも、見つかったらヤバいというのに、もう少し考えて行動をして欲しい。おまけに、最後は触り方もなんかいやらしかった。この調子では、ロベリアの態度などで他の人に関係がバレてしまうのではないか心配になってくる。いくら実習生とはいえ、生徒と先生との恋愛は常識的にアウトだ。実習期間の2週間を無事にやり遂げられるのか、シエテは不安で頭が痛くなってきた。そして、今のでもうひとつの懸念が出てきてしまった。これは、念の為確認しなければいけない。

「か、可愛いって。はぁぁ、何言っているんだよ。あ、あとさぁ、わかっていると思うけど。約束、忘れていないよね?ちょっと、触り方がさぁなんていうか。と、とにかく!これ以上キス以上は許さないからね!」
「ウィ、わかってるさ。オレが卒業するまでは“健全なお付き合い”、だろ?」

 “高校を卒業するまでは、深い関係にはならない”ーー学生であるロベリアと付き合う条件として、シエテは以前、ロベリアからの告白を受ける際に提示していた。ロベリアはその条件をあっさり受け入れ、今の交際が続いている。先程の触れ合いが少し際どかったが、ロベリアはきちんと覚えているようなのでまず、シエテは安堵した。

「そうそう、お前もまだ学生なんだからさぁ節度ある行動をね!グランちゃんに会う前はかなりやんちゃしていたみたいだけど。お前も受験生なんだから、ちゃんと考えて行動した方がいいと思うよ!今回みたいなのは、もうなし!わかった?」

(ーーそもそも、卒業まで関係が続くかわからないし)そう心の中でシエテは呟いた。ロベリアの性格はかなり難はあるが、顔は綺麗で整っている方だ。彼の事を気になっている生徒は多いはず。ロベリアがその気になればきっと出会いの機会はもっとあるだろう。年上で滅多に会えないシエテよりも、年齢が近い相手の方が共通の話題も多く、ずっと自然でいいはずだ。気まぐれなこの感情で、彼の大切な時間と経験を無駄にして欲しくはなかった。
 そんなシエテの心中を察したのか、ロベリアはシエテに詰め寄った。口端を上げ、いたずらっぽい表情に大人びた視線が混じる。

「ウィウィ、そんな事わかっているさ。でもシエテ、気付いていないのかい?」

再びシエテに近付いたロベリアは、シエテを片手で引っ張り近くに寄せた。そして、自分の顔を、シエテの耳の側でそっと呟いた。

「オレは今年度で卒業するんだぜ。あと9ヶ月なんてあっという間さ。キミもそろそろ心の準備を始めた方がいいと思うけど、ね
…………!」

そう言いながら、ロベリアはシエテの背中から尻を人差し指ですーっと撫でる。そして、その指はそのまま何かの行為を連想させるかのように、その双丘をゆっくりと、規則正しく押した。

「!!………まだ、“半年以上”もあるんだよ?若いんだし、新しい出会いもまだまだ沢山あるだろうし、あまり早まらない方がいいと、お兄さん思うけどね!」

 ロベリアの手を払い除け、シエテは答えた。年上のプライドにかけて、ロベリアの行動には動じていないふりをしていても、内心はかなり動揺していた。顔は茹でダコのように熱く、心臓は早鐘のように打っていた。勘弁して欲しい。ロベリアはそんなシエテの様子を見て、口端を上げて笑みを浮かべている。非常に満足げだ。さっきから振り回されていて、何だか腹立たしい。どこかできっと挽回してやる、シエテは心の中で誓う。

……さて、オレはそろそろ戻るかな。ああ、シエテ、キミはまだここにいた方がいいな。それに、一緒に戻ると怪しまれるし、今キミは凄い顔をしているからね。……くはっ、真っ赤で可愛いな、シエテ!」
……お気遣い、どーも!そうさせてもらうよ

 体育倉庫の外から何か音が聞こえたのを察したのか、ロベリアはシエテにそう告げてその場を去った。シエテはその場に一人取り残され、まるで暴風雨のように荒らされた心をなんとか宥めようとしていた。

「あぁぁ〜〜、もう、これからどうしよーー。困ったなぁ……

シエテは空を見上げながら、思わず叫ぶ。今回の教育実習の事、卒業後のロベリアとの関係のこと考える事が山積みだ。先の事を考えると頭が痛いな、とシエテは思った。



*

それにしても、驚いたな。実習とはいえ、シエテがオレの学校で働くなんて。運命的じゃないか!)

 シエテと離れた後、教室へ向かいながらロベリアは考える。期間限定とはいえ、退屈な学生生活に彩りが加えられ、賑やかな毎日になりそうだ。立場上、二人の関係を周りに伝えられないのが残念だが、まぁこれは仕方がない。むしろ、今だけしか、この“生徒と先生との禁断の恋愛関係”を体験できないのだから、存分に楽しもうじゃないか。他の人に二人の関係をバレないようにするこれは、なかなかスリリングな毎日になりそうな予感がする。
  ただ、シエテは対人関係には隙が多いから、シエテに興味を持つ生徒達からはオレが守らないといけない。シエテが他の学生に気を取られて、これ以上オレとの時間が無くなるのは我慢がならない。

「今日から2週間か。くはっ!楽しくなってきそうだな!」

そう呟きながら、小躍りしたい気持ちを抑えながらロベリアは教室へ戻っていった。