こあらん
2024-10-04 04:05:32
1463文字
Public ロベシエ
 

La lune est belle (ロベシエ)

リリンクでシエが思った以上に鈍感だったので、月が綺麗系の告白は一切気づかないまま終わりそうだな、と思って考えたロベシエ。タイトル思いつかんかったからまんまのセリフのフランス語(らしい)

「ボンソワ、シエテ!こんな時間にキミに会えるなんてくはっ、今日はなんて幸福なんだ!深夜の散歩もたまには悪くないな。」
「ロベリア。えぇ、何、お前こんな時間に何やってるの!?」

なんとなく寝付けず、気晴らしに夜の散歩でもと思い甲板を歩いていたら、密かに想いを寄せていた相手、シエテに出会った。夜の闇は深く、人々はもう寝静まっている時間帯だというのに、彼は珍しく一人で甲板に立っていてぼんやりと星空を眺めていた。いつもと様子が違いアンニュイな様子だったが、そんな事は構わずいつも通りに話しかけてみた。シエテは立場上、ずっと艇にいるわけではない、むしろいない期間の方が長い。そして、艇にいる時も、何かしら団の誰かといたり、オレの恩人である団長と手合わせしたり、頼まれ事を受けたりと忙しい事が多いので、今夜みたいに一人だけでいるという事が滅多にない。だから、二人きりになれるチャンスは逃しはしない。

 シエテと話したい事は山ほどある。シエテがいない間に団内で起きた事、恩人である団長の事そして、なによりもオレ自身の事やタワーの事。シエテにはオレの事をよく知ってほしいし、何しろ話している時の反応が面白い。オレの話を聞いて笑ってくれたり、呆れたり様々な表情をオレに見せてくれる上、面白い音を奏でてくれる。最高のアルモニーなんだ!今夜も、最初はあまり気乗りしない様子のシエテだったが、話していく内に徐々にいつもの調子に戻っていった。シエテと話すのはやはり、楽しい。 

 今夜の夜空は月も星も綺麗に煌めいている。どうやら満月のようで、月の光はいつもより一層と輝いていて、深くそして暖かくオレ達を照らしてくれている。月明かりを浴びたシエテは、いつもとは違う雰囲気で神々しくもある、月の光で髪が蒼白く光っているように見えて幻想的で美しい。だからからか、会話の内容は普段と変わらないのに、自然と違う雰囲気になっている様な気がする。そして今は二人きり、甲板にはオレとシエテ以外には誰もいない。

 これは、オレの想いを一度伝えるチャンスなのでは?いつもは二人の会話の時間を優先してしまい、告白をする、なんて事は頭になかった。初めて会った時に比べて、今は距離も随分と近くなっていて、最近ではお互いに冗談を言い合ったりもするようにもなってきている。そしてなにより次、いつ今みたいな雰囲気で二人っきりになるのかわからない。

「シエテジュテーム、月がキレイだね」 

 空の世界の人なら恐らく誰でも知っている、愛情表現だ。とある有名な小説の、告白のフレーズが評判になり広まったらしい。恐らくシエテもそのフレーズを耳にした事があるだろう。緊張をごまかすため、ウィンクをしてシエテに視線を向ける。 

「じゅ??えぇ、急に何言っているの!?……あぁ、うん、そうだね。確かに今日の月は綺麗だ

 オレの告白に対し、急に何で今そんな事を言ったのか、意味が分からない、という顔で答えた後、シエテはぼんやりと月を眺めてしまった。 

 オーララ、どうやら、オレの言葉の真意に気付かなかったみたいだ。前から、自身に対しての好意的な言葉や態度には疎い印象があったので、やはり抽象的な方法ではダメか、と思う。しかし、一世一代の告白が無かったことにされるのは気に食わない。やはり、ハッキリ言った方がよかったか、と思いオレは作戦を変える。


「キミの事が好きだっていう意味さ、シエテ」


振り返ってオレを見た空色の瞳が揺れた。