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望月 鏡翠
2025-11-13 16:17:23
914文字
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日課
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#1901 リュネストの領地で、ある日のこと
#毎日最低800文字のSSを書く/我らが王の身罷りて 二次創作
海を渡ってきたレシーの血筋は、バンデイアに根付きリュネストと名を改めた。五名家に連なる家名を得たのだ。
海の向こうからやってくる文化と資源、海産物と労働力。それらがこの国で無視できない程度の力を得たということでもある。当時の王が誰だったのか、記録を遡れば出てくるだろうが、気にしたものはしない。
その決断をしたのはいったいどんな人だったのだろう。
リュネストの血筋を、同じ国の仲間として認めてくれていたのだろうか。
海の向こうから渡ってきたものに、名をつけて一つにくくり管理できるようにしなければ、安心できなかったのだろうか。リュネストという名前は、首輪だったのかもしれない。
当時も血が流れたのだろうか。
記録を遡ったとして、本当に何を考えていたのかなど、わかりはしないだろう。
トルガのことも、他の家やレシー本国や市井には、この人柄のようには伝わってはいない。
故に、記録を紐解いたところで、本当に知りたいことはわからないだろう。そうして己の学の薄さに、理由をつけトルガは今まで、この国の歴史書を捲ることはしていなかった。
彼らは認めない。礼儀作法と知識で飾り、貴族のはやりの服を身につけたとして、社交界に椅子ができるわけではない。彼らは芸のできる猿を誉めはしても、同じテーブルにつくことを許しはしない。
故にトルガはこの国で、あえて彼らの文化にすり寄るような努力はしていなかった。疎まれるのは仕方がない。そも五名家というのが、今や玉座を狙って互いに鍔迫り合いをする間柄であり、気の置けない仲間にはなり得ない。
今や王は死に、安定の時代は終わった。
海を越えてきた外様の家柄であり、私生児。商人の出で、家柄は金で買ったようなものだと人は笑う。
しかし、それでも無視できぬほどの武力と経済力が、この領土にある。
それさえ確かであれば良い。
海を越えてきた男たちに流れる、海賊の血筋は少しも薄まっていない。北方バンデイア風に染まった家屋や衣服は、冬の寒さに耐えるための実用を追いかけた結果だ。しかし、南に下り港に降りるほど、南国のレシー風の意匠が増えてくる。
港町は今日も賑わっていた。
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