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syanpon
2025-11-13 01:25:50
3211文字
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まだ気がつかなくていいよ
やっぱりちょっと気がついてほしいかも
オトスバ
現パロ
人生は反省と後悔の連続だと思う。
大なり小なり失敗を重ねて人は成長していくものであるがナツキスバルはその失敗の頻度が人より少しだけ多く、またそれに対して自身が受け取るダメージも大きかった。
自認神童からただの人以下に引き下げられたことから始まる“間違えた”瞬間のなんとも言えない間、表情、視線、周囲の空気。それらを必要以上に感じ取ってしまいそこからまた空回りを繰り返す。
正直友達がいなかったら引きこもり一直線だったと思う。
まぁ、その友達にもやらかすのがナツキスバルという男なのだが。
「またやっちゃった
……
」
布団を頭から被りその中で胎児のように膝を抱えてスバルは1人うめく。今日のことを思い返すと動悸が酷くなり、それとは裏腹に心臓のあたりがヒヤリとする。何が人生は失敗の連続だ、スバルの人生はエラー&エラーである。機械だったら即返品。できることなら俺が俺を返品したい。
ぐるぐる、ぐるぐると頭の中で後悔がまわる。それと一緒に少ない友人、オットーの声も回る。ちなみに怖くてスマホは一階のリビングに電源を切って置いてきた。
「なんであんなことしたんだ俺は
……
」
ほんのちょっとの出来心、悪戯、甘えから生まれた距離感バグだったのだ。オットーが珍しくかけている眼鏡を外していたからスバルがそれを奪って逃げ、なかなか返さなかった。
それだけ、そんなことせずに一度返せと言われたところでさっさと返せばよかったのだ。そもそもそういうことをやらなければよかったのだ。そうしたら今こんなに後悔することもなかったのに。
『もう、うざいですって!』
「うざいって言われた
……
。俺はうざい
……
」
ぐるぐる、メソメソ。
オットーのよく通る声で言われた3文字の言葉。正直それを言われてからの記憶が全くない。ちゃんと眼鏡は返せただろうか、ごめんなさいと謝っただろうか。そもそもそういう事後対応ができないのが
……
。
「
……
見捨てられたらどうしよう」
いつか、いつか彼が可愛い恋人を作ってスバルの横から離れていく想像は何度もしたがこんな自業自得で彼の隣にいる権利を手放すことになるかもしれない。
明日、明日こそは大人しくしておこう。そうして彼が怒っていないのを確かめてもう一度ちゃんと謝ろう。
***
人生は、否。
ナツキスバルの人生は失敗と失敗の連続である。
「いい加減にしてくださいよ」
「え、え」
でなければ友人に腕を捻り上げられて睨まれるはずがないのだ。
次の日、スバルはとても反省していた。
反省していたのでなるべくオットーの視界に入らないようにしようと努力した。なのでいつも何も言わずに待ち合わせをしているがそれをせずに早く学校に1人で登校した。そこで昨日から携帯の電源を切りっぱなしなのに気がついて電源を入れるとオットーからのおびただしい数の不在着信。怖かった。めちゃくちゃ怒っている。
「今日は変なこと言わないように黙ってよ
……
」
「ナツキさん」
「
……
」
なので朝青筋をたてたオットーがスバルに話しかけてきてもぷいと顔を背けた。今思えばあそこで変な気をまわさず謝っておけばよかったのだ。後悔。
そこからスバルはオットーを避けに避けた。正直何を言っても彼の地雷を踏み抜く自信しかなかったためだ。
そしてその結果、昼休み、腕を引かれ校舎裏に連れて行かれ今その腕を捻り上げられて睨まれている。
「朝から、というか昨日の放課後からずっと僕のこと無視してますよね」
「それ、は」
「だんまりはやめてくださいよ」
「
……
」
そう言われるが何を話していいのかもわからず開いた口は空気をはむだけで閉じてしまう。こちらを非難する視線から逃げたくて目を逸らせばわざとらしくため息をつかれ、背中にヒヤリと汗が伝った。
「そういうの、うざいんですけど」
心臓を見えないナイフでスパッと切られたかと思った。冷ややかな視線、吐き捨てるような声音。痛くないように配慮されている腕を掴む手からも温度を感じない。心臓は早鐘をうっているのに切られてしまった心はどこにも血液を送ってくれない。
本当に切られたわけではないから血は流れない。
代わりに視界がじわりと滲んで歪む。
「なんで、そんな酷いこと言うんだよ
……
」
「えっ泣い
――
」
「う、うぇ、ひっ
……
」
ぱっと手を離されて自由になった腕がだらりと垂れ下がった。そのまま流れる涙を乱暴に拭って止めようとするが全く止まらない。
最悪だ。スバルもここで泣くのはお門違いだとわかっているしここで泣くのは状況をさらに悪化させるだろうこともわかっているが止まらないものは止まらない。
「うぇ、うっ、ご、ごめ
……
ひっ、ごめんなさ」
「あああ、目擦らないで」
「ううう〜」
オットーが自分のポケットからハンカチを取り出しスバルの目元にそっと押し当ててくる。その優しさが申し訳なくて、自分がどうしようもないやつでまた涙がこぼれた。
「ひっく、お、とぉ」
「はい僕ですよ」
「ともだち、やめないでぇ」
泣いているだけでは何も始まらない。ちゃんと言葉にしないといけないと思ったのだが一言目がこれだ。この世で一番スバルに呆れているのはスバル自身である。穴があったら入りたいし逃げ出したい。
なのにオットーのブレザーの袖を指先で掴むことをやめられなかったし涙を拭ってくれる優しい手つきを拒むこともできない。
「あんたはもう」
ナツキさん、と呼ぶ声は自分でも笑ってしまうくらいに甘ったるいものだった。涙に濡れて自分に縋ってくる目の前の男にはきっと伝わっていないだろうけれど。泣き虫をぎゅっと腕の中に閉じ込めてやれば腕の中の体が固まるのがおかしい。涙はブレザーに吸い込まれてしまったようでオットーにその温度が伝わってこないのが残念だ。きっと何が起こっているのかわからず目を見開いているんじゃないだろうか、ぽんぽんと幼子をあやすように左手で短い髪の毛を撫で付け、右手でもっと密着するように腰を抱え直した。
「友達やめないでって、僕から逃げてたのあんたでしょ。まったく、1人で突っ走ってどこいくつもりだったんですか」
「でも、ひっ、うざいって」
「うざいはうざかったですけどそのくらいであんたの隣を離れません」
「うざいんじゃん〜!」
「もー! だからそう言う面倒くさいところ全部ひっくるめてあんたのことを好ましく思ってるんですって! いい加減わかれ!」
密着させた距離を離してスバルの顔を覗き込んで声を張り上げる。案の定スバルは目をぱちくりさせていて目尻から涙がポロリとこぼれ落ちた。
両腕塞がってるから舐めたいけどそれやったらまた泣くだろうなこの人。別意味でなんて思いつつ今日ようやく目線があった男はそろそろと口を開く。
「友達、やめない?」
「やめません」
「まじ?」
「まじです」
「
……
よかったぁ」
スバルは花が綻ぶように笑った。
涙と鼻水でベトベトで赤くなった顔はお世辞にも綺麗とは言えないものであったがオットーにとってはその笑顔が朝露に濡れる野の花よりも一等綺麗に映る。
今度はスバルの方からオットーの腕の中に潜り込んできたのでそのまま抱き寄せた。
「オットー、俺と一生友達でいてね」
「
……
はい」
「
…………
なんで今溜めた?」
「いいえ、噛み締めていただけです」
良くも悪くも先は長いなあって。
***
「おっとぉ」
「はい」
「あのさあ、友達ってハグとかするの
……
」
「嫌なら、やめます」
「いや
……
」
「っ
――
」
「安心するからもっとして」
「あー! もう!!」
「ご、ごめん!」
「いくらでもしますよの叫びです今のは!」
「
……
へへ」
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