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moto
2025-11-12 22:48:49
1413文字
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エンターテイナー
さまささワンドロワンライお題「ダーツ」
簓から0時ぴったりにメッセージが届く。
「誕生日おめでとうさん!」
絵文字と自身の公式オリジナルスタンプがやかましく画面を舞っている。律儀なやつだ、と頬が緩む。続いて「誕生日プレゼントチャンス!」というメッセージと共に、ダーツの的が画面に現れた。スタートという文字をタップすると的が回りだし、ダーツが現れる。訳が分からないまま画面をタップすると、ダーツが的に向かい、一箇所に当たった。輝く数字が大きく映し出される。
「2番な!今度会う時持っていくな!楽しみにしときや〜!」
2番がなんなのかわからないまま簓とのやり取りは終わった。
夜の空へと煙草の煙を吐き出す。深夜だというのにパトカーの回転灯の点滅が眩しいほどだ。制服姿の警官の集団から、銃兎と理鶯が抜け出して来た。
「やれやれ、やっと終わったな」
銃兎もため息をつきながら煙草に火をつける。理鶯は左馬刻と真っ直ぐ向き合った。
「誕生日おめでとう、左馬刻」
こちらも律儀である。ハッと左馬刻は笑いをもらした。
「散々な始まりだな」
「まあ、こんなもんだろ」
「今夜はケーキを作って持っていこう」
「ああ、あんがとな」
深夜労働であったが、左馬刻の機嫌は良さそうだ、と銃兎と理鶯は顔を見合わせた。
簓と食事を済ませて部屋へ戻ると、いつの間に準備していたのか、冷蔵庫からホールのケーキを恭しく取り出してきた。「左馬刻誕生日おめでとう」プレートの周りにろうそくを立てて、バースデーソングを手を叩いて歌い、急かされて左馬刻が渋々吹き消そうとしたところを、タイミングを合わせて一緒に息を吹きかけて火を消し、簓は楽しそうに笑っている。
「はい、これ、2番のやつな」
綺麗に包装されたプレゼントを受け取り、
「あのダーツ、他に何があったんだよ」
と左馬刻が尋ねると、簓は大袈裟に首を傾げて、うーんと考えるそぶりをして、指を折っていく。
「パジェロやろ、商品券やろ、たわしやろ、簓さんのギャグ100連発券やろ
……
」
まったくもって本当かどうなのかわからない。呆れながら2番とやらの包み紙を解くと、きらきらとした箱が現れる。サンタクロースの絵、アドベントカレンダーという文字が目に入る。
「こっちがコーヒーで、こっちがチョコレートのアドベントカレンダーな」
クリスマスまでに毎日ひとつずつ開けていく。
コーヒーやったら毎日飲むやろ、と簓はにこにこしている。
「チョコレートは食べへんかったらよけといてな。俺が来た時に食べるから。ギャグ100連発まではいかへんけど、チョコの方には簓さんのギャグも一個ずつ入ってるから、毎日大笑い確定や」
「ハードル上げてんな」
簓の自信は留まるところを知らない。
「まだまだクリスマスまで毎日楽しませるで」
誕生日が終わっても今度はクリスマスまで。チョコレートは左馬刻には甘すぎるのかもしれない。でもそれがコーヒーと合うかもしれない。簓のギャグ?少し気になる。すでにひとつ目を開けるのが楽しみになっていることに気づく。
簓はどこまでも左馬刻を喜ばせようとするのだ。
「お前、スゲェな」
単純だが、心からの言葉はちゃんと伝わったようだ。簓は、お誕生日様は素直や、と声を上げて笑い、大きなひとくちでケーキを頬張った。
「左馬刻、誕生日おめでとう。クリスマスまで楽しもな」
簓のエンターテイメントはどこまでも続いていく。
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