さかな
1154文字
Public かきかけ
 

吾が愛しの虚像よ🦈🦐

陰鬱監 本編予定

 監督生は一日の最後、ひとりこそりと手鏡を覗き込む。ゴテゴテと装飾が施されたそれは重く、鈍く輝く銀が決して安いものではないと主張しているようだった。
 鏡の中には小さな女の子がいる。どんよりとした黒髪に紫の目をした、ここに馴染めなかった女の子。彼女は滲む瞳でじとりと睨み、いつだってこちらを責め立てる。

「どうして」

 どうしてもなにも。

「決めたのは君でしょう?」


吾が愛しの虚像よ



 フロイド・リーチ先輩は恐ろしい。

 一緒に食事をしたことなんて数えるほどなのに好き嫌いはいつの間にか把握されていたし、返ってきてすぐ小さく折りたたんだテストの点数を耳打ちしてくるし、オンボロ寮の裏庭でこっそり怪我の手当てをしていたポチは3日で見つかってしまった。

「小エビちゃん」

 そうして今、人気のない校舎の端の端。使われていない教室の床に臥せ見上げた先。

「なァんで教えてくんねぇの?」

 ボロボロになったこちらを見下ろす先輩が輝いて見えたのは、蹴破られたドアから差し込む西陽とそれに照らされる舞った埃が美しかっただけだと思いたい。


 悪餓鬼集う麗しのナイトレイブンカレッジにて、監督生は浮いていた。疎まれていると言ってもいいくらいに。
 陰気臭く緑かかった黒髪にどんよりと重たい前髪。不気味に色ばかりが美しい虚な紫眼。小さくひょろりとした発育の悪い体躯。魔法のない異世界出身だとかいう胡散臭い経歴。
 連む友人はいるが、それも登校初日にシャンデリアをぶち壊し退学を言い渡されたと噂の問題児2人と、入学式を台無しにした魔獣1匹。
 選ばれし才あるものだけが許されるはずの制服を魔力のMの字もないままに着ていることもそうだし、生徒たちから憧れと畏怖を捧げられている寮長ら実力者と交流があることも理由のひとつだろう。
 言ってしまえば、見目も中身も分不相応なくせのうのうと学園生活を送ってるのが気に食わない。というものであった。

 そのはずだったのに、同情の視線が増えたのはいつからだっただろう。

「おい小エビィ!」
「エビ違いです」


教室へ突如怒鳴り込んできたフロイド それに慄き身を引いていくクラスメイト
嫌なモーセだ……と思いつつ無の気持ちで流す監督生

「これ」

クソ長い御御足でガンガン進み、監督生の目の前にスマホを差し出してくるフロイド
画面にはマジカメ 表示されるは壊れかけた椅子のアイコンをした鍵アカウント ものすごく見覚えがある

「エビ違いです」
「ねぇなんでブロックすんの?」
「僕の声聞こえてます?」

なんでって、ひっそりこっそりやってる鍵垢にフォロワー数エッッグいアカウント……というか見知った先輩からフォロー申請されたらブロック一択では?