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らぎ
2025-11-12 01:04:57
814文字
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モノノ怪
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離坤ドロライ二期 第九回「青い薔薇」
吸血鬼コス、似合いそうですよね。
南蛮の
南瓜祭
ハロウィン
とやらをしてみたい。
そう言い出したのは誰だったか、今となっては分からないことだが
……
離の薬売りはここに至って発案者に感謝の念を抱きつつ、隣の男をちらりと見遣った。
斯様な騒ぎには近寄らないかと思われた離の薬売りだが、意外にも彼は宴会場に訪れていた。それは偏に坤の薬売りに誘われたからに他ならず、従って仮装と言ってもかなりおざなりなものだった。対して坤の薬売りは何処で調達したやら優美な洋装に身を包み、離の薬売りの隣で甘味を頬張っていた。黒一色ではあるがそれなりに質の良さそうな生地で仕立てられた外套と細身のスーツは彼によく似合っており、普段は頭巾に覆われた霞色の髪をかき上げたかんばせは、肌の白さと相まって石膏像のようだった。尤もその彫刻のような口唇は今しがた、五個目の栗饅頭に噛みついたところだったが。
「それにしても、意外でした」
「
……
何がですか」
もぐ、と饅頭を飲み込んだ坤の薬売りが、嫋やかに首を傾けた。
「離の方は、この手の催しに興味が無いものかと」
「ありませんよ。しかし
……
あなたの隣をわざわざ空けておくのは、癪でしょう」
小さく息を詰めた坤の薬売りを肴に祭の趣旨を無視して持ち込まれた米酒を呑んでいると、ふと彼の白い襟もとに目が惹かれた。
「おや、その
……
青い薔薇は」
青ではあるが青と言うにはやや薄い色の、薔薇の造花。特段仮装に必要ではなさそうなそれが気になって尋ねてみると、あからさまに坤の薬売りの視線が泳いだ。
「
……
言えない、のですか」
剣呑な空気を纏わせて眼を細めると、観念したように坤の薬売りは口を開いた。
「その、ですね。離の方は来ないものと思ったもので
……
代わりに、と思いまして」
今度は離の薬売りが息を詰める番だった。この男は時折、斯様に離の薬売りの心を鷲掴んでくる。離の薬売りは動揺を誤魔化すように酒を煽ると、宴を抜け出すべく坤の薬売りの手を取って席を立った。
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