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あつき
2025-11-10 22:59:43
1935文字
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キスマークについて
付き合ってるドラロナ。
キスマークをやり返したいロくんの短い話。
胸元に残る鬱血痕の数々を呆然と見つめて、前日のセックスを思い出して羞恥にロナルドは鏡の前で悶えた。
この気恥ずかしい気持ちをお前も味わえとやり返したとしても、すぐ死ぬ吸血鬼はその肌に長く痕を残さない。
行為が終わると疲労でドラルクは一旦死んでしまうことが多いので、そうなると痕なんてあっという間にリセットされてしまう。
せめてドラルクが痕を認識するくらいの時間が欲しかった。ならば死なせない為に、なるべく疲れさせないような手段を取るしか無い。
「お前、今日は動くなよ。俺が頑張るわ」
「えーやだ〜、私イケメンゴリラに犯されちゃう?」
「はあ!?ばっっかふざけんなよっっ!!大人しくしてろ!!」
予備室のマットレスの上、いつもは身を任せているが、その日は勇気を振り絞ってキスの合間にこっ恥ずかしい宣言をした。
色気のないやり取りの後、そう簡単に済むはずもなかった。
こちらの出方を伺うことにしたのか、ドラルクはそれ以上軽口を叩かなかった。
乗り上げていた男を横に転がせば、特に抵抗も示されない。こちらの体重を預けすぎるとすぐに塵と化すことは容易に想像がついたので、まずは互いに寝転んで体を触り合った。
細心の注意を払いながら手を這わせた所で、この後どうやって事を進めたらいいのかと最初から行き詰まる。普段どれほど受け身だったのかを思い知って、必死でドラルクの手つきを思い出し、記憶をなぞる。ぎこちなく舌を動かすと、くすぐったいからもう少し唇も寄せてだとか、遠慮ばかりしてないで君が良いように動いて?なんて後で思い出したら鬱血痕をつけられたときと大差ないくらい身悶えたい声に、結局は半ば誘導されたようなものだった。
どうにか死なせずにお互い果てて安堵してから、肝心の痕をつけることを忘れていたと気づく。慌てて痕を残そうと、ロナルドは首筋に吸い付いた。
「うっわ!」
途端に掴んでいた肩の手応えがなくなり、ザラリとした砂山が出来上がる。
情事の際は神経を尖らせていたのに、油断してあっさりと死なせてしまった。八つ当たりもいいとこだが、虚しくなって責任転嫁にロナルドは喚く。
「はぁぁあ!?テメー痕付ける段階で死ぬのかよぉ!!俺の努力を水の泡にしやがって!!」
「努力ぅ?はーんまたなんかひとりで暴走してるな?理由もなく積極的な君なんておかしいと思ったんだ。何を悩んでいるんだ?白状しろ」
「いや、その、だって
……
お前が俺にキスマークなんてつけるから、俺も痕を残してみたくて
……
」
「ああ、だから今日は死なせないようにしてたって訳か」
ドラルクは再生しながらケラケラと笑って、話を続けた。
「痕付けたかったら最中に付ければ死ななかったのに。私は意識して付けてないし、君だって付けられたこと後で気づいたんだろ。没頭してたら分からんのに、終わって冷静な時にいきなり吸い付かれたら死ぬわ」
「うーっ!!死なせないよう夢中だったから忘れてたんだよ!」
「あと君が動いてくれても達すること自体が疲れるし、それだけで死ぬ可能性があるから」
「じゃあ俺が頑張っても無理じゃん!!そんならお前ひとりでするのも死ぬのかよ!?」
「そういえば死なないな。ひとりだと自分本位で完結して、そこまで疲労しないから。君との行為は、君を少しでも良くしてやりたいと神経を集中させているし、感情の昂りも激しいから精神的にも力尽きて死ぬんだろうな」
ひとりでする行為とふたりでする行為は違うと大真面目に分析されると、むず痒さに腰の据わりが悪くなってロナルドは口を噤む。
「ていうか痕付けたいなら今付けたら?来るのが分かってたら死なないし、すぐ棺桶に戻って寝ればひと昼くらいは残せると思うけど」
「おおそうか
……
って違うんだよ!俺は!あの翌日に痕を見つけた時のいたたまれなさをお前にも思い知らせてやりたかったのに、それじゃ意味ないんだよ!!」
「あーーなるほど。君、翌日も私との行為を思い出して恥ずかしかったんだ?私にもそれを分かって欲しかったんだぁ?」
にやにや笑いながら可愛いねぇと頭を撫でられて、内心を言い当てられ腹が立つやら悔しいやらで、もうしばらくお前とはしないと拗ねて俯いていたのに、次の言葉に思わず顔を上げてしまう。
「君みたいにうぶな反応は私には無理でも、嬉しさでニヤケはするかもな」
「え、嬉しいのかよ」
「私を独占したいって気持ちの表れだろ?かーわいいじゃないか!」
だから付けてよ、なるべく死なないように、大事にするからさと首元を差し出す吸血鬼に、顔を赤くしながら「お前がねだるなら仕方ねえな」と強がって、ロナルドは首元に顔を埋めた。
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