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望月 鏡翠
2025-11-10 00:53:43
917文字
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日課
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#1896 羊飼いの国2
#毎日最低800文字のSSを書く
歩いているうちに陽が高く登った。
森から草地に出ると、鳥の声が減って周囲の様子がわかりやすくなる。牧草地は、家畜以外の生き物にとって暮らしやすい環境ではない。肉食動物は、家畜を害するものとして追い立てられるし、草食動物も家畜の餌を奪うものとして、あるいは病を運んでくるものとして追い立てられる。
居るのは草地に巣を作るうさぎか、草地に虫を鳥に来た小鳥くらいのものだ。
それであっても、森から離れると止まり木がないから徐々に少なくなっていくのだった。
しばらくすると、前方に別の生き物の気配を感じ取った。道沿いに歩いてくるので、人だろうと想像していたが、想像していた通り、やがて前方に男が一人現れた。
武装していないことは一目でわかる。そのことに侘助は安堵した。
「おはようございます」
声をかけると、男は足を止めた。
向こうも、見慣れぬ姿をした侘助のことが内心で気になっていたに違いない。
「ああ。おはよう。この辺りじゃ見ない格好だな」
「旅をしている。この辺りにくるのは初めてだから道を尋ねてもいいだろうか。店か宿か、どちらか場所を知っているとありがたい」
男は困ったように、頭を書いた。
「ここからじゃ、まだ街はしばらく遠いなぁ。よければ、うちに泊まって行きなよ。今から歩けば夜には着くだろうが、その様子だと山を越えてきて疲れているんだろう?」
男は親切だった。
「それはありがたい」
「道沿いに行けば、うちにつく。家内に旅人だと言ってくれれば、事情は察してくれるだろう」
男はそのまますれ違って、侘助が歩いてきた方向に去ろうとする。
「あなたはこれからどこに? そちらは山だと思うが」
旅人の道は旅人しか踏み入れることはできない。彼が歩いて行っても、この世界が地続きにあるだけだろうが、何か用事があるというのなら、仕事につながるかも知れない。
「ん? ああ、大した用事じゃない。ちょっとした散歩だ」
「散歩にしては朝が早い」
羊飼いなのだろうが、彼らは朝にたくさんの仕事があるのではないだろうか。
「星が落ちてくるのを見たんだ」
「星?」
「流れ星だ」
羊飼いは星が落ちるのを見たのだという。
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