三毛田
2025-11-09 16:20:05
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71 071. 理性に抗う本能

71日目
それでも君は簡単に流す

「うぅ……
「穹。俺なら、構わない」
「受け身すぎるだろ」
「お前が相手だからだ」
 我慢できなくてベッドに押し倒したのに、抵抗したり怒って声を荒げたりすることなく。
 優しく微笑みながら、そう告げてくる。
 丹恒は、俺に甘い。いや。出会ってしばらくは、なのに対してと同じくらい――場合によっては、それ以上に――冷たかったのに、今では信じられないくらい甘くて優しい。
 嬉しい反面、それをそのまま受け入れていいのかという葛藤もあり。
「お前の本能が誰かを求めるのならば、俺はそれを受け入れよう」
 誰かじゃなくて、お前だ。
 そう口にしたいのに、口は思うように動かなくて。
「たんこぉ」
 結局出てきたのは、情けなく名前を呼ぶ声。
「お前の好きにしろ」
 胸に顔を埋めて、額を擦り付ける。
 もうちょっと仕事をしてくれ、理性。
「穹」
「なに」
「揉むのは少々」
「駄目なんか」
 ちょっと前に見た動画で、猫が飼い主の胸を揉んでいたのを思い出し。
 それを真似て、指先で揉んでいたらちょっとためらいがちに俺の額を指で押してくる。
 彼の嫌がることはしたくないという気持ちは本当なので、渋々指を離す。
 すると、ほっとしたような表情に。
「胸を揉みさえしなければ、いいのか」
「それは、そうだが……
「じゃあ、胸借りる」
 あまり体重をかけすぎないように気をつけつつ、胸に頬を寄せて。
 丹恒の鼓動を聞いていると、段々と眠くなってきた。
 まあ、眠ってやろうと思っていたから、別にいいだろう。
「おやすみ、穹」
 酷く優しい、甘やかすような声。
 頭も撫でてくれるし、そっとリズミカルに背中も叩いてくれて。
 理性を燃やして本能のままに欲しがったのに、こんなにも優しくしてくれる。
 だから好きなのだ。
 それを再確認。
……
「ああ、起きたか」
 起きたら丹恒の胸が枕じゃなくなっていた。
 不貞腐れた顔で彼を見ると、こちらにやってきて。
「何が不満だ?」
「お前が、いなかった」
「ああ、それはすまない」
 また優しく頭を撫でられる。年下の人や、幼い子供に接するかのような態度に、ちょっとだけ不満を覚える。
「俺、そこまで子供じゃないんだけど」
「ああ、そうだな」
「思ってないだろ」
「いや。甘やかすのならば、こうするのがいいという記事を見かけたんだ」
「ふうん」
 俺はそんなに子供じゃない。もう一度、それを口にしようとしてやめた。
 なんとなくだけど、今の彼にはあまり響かないような気がしたのだ。あまりどころか、全然って感じ。
 色々辛い。