かげにん
2025-11-09 15:36:17
468文字
Public BWⅡ
 

無題(烏賊蛙SS)


 ──もう少しで完成だ。
 ゴツゴツとした岩には似合わぬ、岩壁の中に埋め込まれた沢山の基盤を見てダイバーはニマニマする。
 秘密基地・ナイアガラベース。まだ用途はあまり深く考えてないけれど、仲間を守りたい、その一心で作り上げてきた愛しい我が子だ。とっておきのアイデアを沢山詰め込んだ隠し球、まだ仲間の誰にも教えていない。ビックリするキッドの顔が頭に浮かびワクワクしてくる。
 作業が一段落ついたので新鮮な空気を吸いに洞窟の外に出る。キョロキョロと見回すと入口の隅にぽつんと置いてある小さな紙袋。

「あ、あったあった」

 外に出たもう一つの目的。中にはサクサクの固形エネルゴンクッキー。こんな可愛いもの船の物資に積んでいるわけないから手作りなのだろうか、作ってる姿を想像すると微笑ましい。

「誰にもバレてないつもりやったんけどねえ」

 察しのいいあの人だからこっちの意図を読んで気づいてないふりをしてくれてるのかもしれない。こんな差し入れを毎日置いてれば元も子もないだろうに。
 疲れた体に染み渡るのは甘味と彼の海の香り。