かげにん
2025-11-09 15:33:21
351文字
Public 流ロク
 

無題(アニメ流ロクSS)


 頭の、いやほぼ体と言うべき王冠に熱が突き刺さる。痛みすら飛ぶような強烈な一閃。
 同士討ちなんて、今まで無情に殺戮を重ねてきた自分にはお似合いな虚しい最期だろうか。
 しかし──

「逃げろっ早く!!」

 キャンサーは振り向くことなく泣きながら一目散にこの場から離れる。
 今心を埋めるのは虚しさだけではない。かすかな希望が確かにある。
 あの子が一分でも一秒でも何年でも、生きていてくれることが自分にとっての希望なのだ。
 こんな自分でも何かを愛しむことが出来るのだと彼を通じて知ることが出来た。たったそれだけでも人生に色を与えるのだ。
 きっと彼はしぶとく生き残れるだろう。勘だが──。
 せいぜい生き延びて自分が出来なかったぶんだけ世界を堪能すればいい。
 それが自分の最後の希望だ。