かげにん
2025-11-09 15:25:56
504文字
Public TMNT(2003)
 

無題(新亀SS)


「ねえサーリン、ロボットって夢を見るのかい?」

 科学者であるドナテロの素朴でシンプルな疑問。スリープモードに入った彼の目蓋の裏には何が映るのか。
 悪意もなくただ単純な興味をぶつけてくるドナテロにサーリンは溜め息をつく。

「夢なんて見ませんよ。私は人間じゃないんですから。でも真っ暗闇ってわけではないですよ」
「何か映像が映るのかい?」
「ええ、過去の記憶が断片的に流れます」
「それって……夢には入らないの?」

 知りませんよ、そう言ってサーリンは掃除が忙しいからとドナテロを追い払う。多少気が許せる相手でも触れられたくないことはある。
 過去の記憶の映像なんて、今のサーリンにとってそれは自身を苦しめる物でしかない。
 マスターと過ごした楽しい日々の映像。どれだけ望んでも会うことの叶わない彼の笑顔。
 そんなものは呪いでしかない。彼に寂しい思いをさせていると思うと、体を構成するあちこちの配線が引きちぎられたような気分になる。
 自分を慰め許してくれるような都合のいい妄想はサーリンは見られない。見られるのはただ過去の事実のみ。

 ああ、今あの子の目蓋の裏には何が映っているのだろうか。