かげにん
2025-11-09 15:20:12
1281文字
Public クロウォ
 

いたちごっこ(シャウバリSS)


 ──ここはどこだろう。
 暗い暗い、何も見えない真っ暗闇。そこに一人バリスタモンはいた。

「よう、バリスタモン」
「オ前ハ……ダークボリューモン!?」

 目の前にいるのは消えてしまったはずのもう一人の自分。

「ナンデオ前ガココニイル?」
「ここはバリスタモン、そしてダークボリューモンであったものの心の中だ。だから俺はまた現れた」
「ナンデ……オ前ハモウイナクナッタンジャナイノカ?」
「俺は消えない。例えお前が俺を否定しようが、俺は消えない」

 確かにあのときバリスタモンの精神が強くて、バリスタモンとしての自分で生きることを決めた。でも、認めたわけじゃない。
 俺も、ダークボリューモンとして生きたかった。でも駄目だった。
 でもでもでも。
 諦められない。
 俺も生きたい。
 自分の意志でいきたい。
 影はいやだ。

 ダークボリューモンの声が闇に響く。バリスタモンの頭にぐわんぐわん響く。
 無念、悲しみ、悔しさ、怒り。そんな感情が響き渡る。

「なんで俺は駄目なんだ。俺だってダークボリューモンとして生きてたかった!」
「デモデモ俺モソノ気持チハ一緒ダ!」
「そんなこと知らない!」

 いつまでも続くいたちごっこ。
 確かに自分はバリスタモンとして生きることを決めた。でもそれは、バリスタモンというものの勝手な考え?もう一人の自分はこの決定を望んでいなかった?
 なら、自分は一体どうすれば?

……おいバリスタモン!」
…………!!」

 自分の名前を呼ぶ声で目が覚める。
 そこには心配そうに自分を見つめるシャウトモンがいた。

「大丈夫かよ?うなされてたぜ?」

 どうやら自分は夢を見ていたらしい。
 でも、夢にしては生々しくて。

「ネエ、シャウトモン、俺ハ俺トシテ生キテイイノカナ?」
……!急にどうしたんだよ!」

夢 の中であった確かに存在していたもう一人の自分を思い出す。

「俺ハ、バリスタモントシテ生キテイイノカナ?ダークボリューモンモキット生キタカッタハズナノニ。俺ハソレヲ無視シテイイノカナ」
……それは俺にも分からねえよ。でもさ、俺はお前に生きててほしいと思う」
「ヘ?」
「お前の中のことは俺にはよく分からねえよ。きっとそれはお前しか解決できない問題なんだ。俺には手出しできねえよ。でもさ、俺はお前に生きててほしいと思ったんだ。お前が生きる理由、それだけじゃ駄目か?」
「シャウトモン……
「俺はお前が好きだ!だから生きててほしい。例え独りよがりな願いでもだ。だからさ、生きてていいのかなんて悲しいこと言うなよな」
「ウ……ウン、ゴメン」
「例え世界の誰もがお前を否定しても俺はお前に生きててほしい!命懸けで守ってやるよ!だからさ、安心しな!」

 そう言って手を握ってくれる。
 その言葉が、その体温がどれだけ心強いか。俺はいつも君に助けられてばかりだ。
 どの選択が正しかったのかは分からない。けど、きっと君が指し示してくれた道に間違いはないはず。
 だから、生きよう。そう決めたんだ。