syanpon
2025-11-09 01:14:46
1397文字
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一緒にまわって

オトスバ


 すう、と肺に甘ったるい水煙草の煙を取り込む。手持ち無沙汰で管をもち、ぷらぷらと揺らして遊んでいれば足音と共に煙の匂いに鉄の匂いが混じる。スバルは帰ってきた男の顔を見ることもなく、ひらひらと手を振った。
 
「おかーり」
「僕が仕事してきている間に喫煙とは良い趣味してますね」
「そんなこと言っても俺がついていったらそれはそれで邪魔とかいうくせに。変なヤク吸ってトんでないだけ優秀じゃない?」

 顔を顰めたのは悪びれもせずにへらりと笑うスバルに対してか甘ったるい煙が充満した視界の悪い室内のせいか。
 オットーが足を進めると濡れたチャンパオの裾が足にへばり付いては剥がれを繰り返す。どかりと水煙草を挟んでスバルの目の前に座る。

「うわっ、思ったより血まみれ。この部屋暗いからよくわかんなかったわ」
「そう言いながら僕の顔に煙を吹きかけるのやめてくれません? それ、僕ももらって良いですか」
「ん? いーよ。そっちの管から吸えよ」

 そう言ってスバルは壺からもう一本伸びる管を男の口元に持っていき咥えさせる。オットーは一口分吸いこんでそのままスバルの顔にお返しとばかりに吹き付けてやれば目の前の少年はわざとらしく咳き込む。

「うえっへ、やり返すなよ!」
「はじめにやったのはあんたでしょうに」

 オットーはスバルの頬を掴み噛み付くように唇を重ねた。ぬろ、と舌を滑り込ませて狭い口内で逃げる彼の舌を捕まえて絡めとり、唾液を注ぎ込む。喉仏が上下するのを確認し、一呼吸分だけ口を離してからまた舌を絡めて吸った呼吸すらも奪っていく。ん、ん、と苦しいのか嬌声なのか判別つかない声が時折スバルの口から溢れるが血を浴び乾いたオットーの髪の毛を必死に掻き抱こうと腕を伸ばす様子から続行を選択する。
 口元を汚すのがどちらの唾液なのかわからなくなった頃にオットーはようやくスバルを解放する。口元には細い銀糸が伝って千切れるがスバルの閉じることを忘れた口からは興奮によって粘ついた唾液がぼとぼとと垂れていた。

……ひとごろししてコーフンした、とか」
「生憎そういう性癖はもっていませんねえ」

 「でも」と付け足しオットーは自分が咥えた吸い口をスバルの唇に押し当てて笑う。

「吸い口にクスリなんて盛って。ナツキさん、あんたこういう僕にコーフンするんです?」

 はあ、と口からこぼれる吐息は甘さをはらんでいて何をどれだけ調合して遊んだのだろうか心臓がバクバクと音をたてて鼻血が出そうなくらい目の前が赤い。
 この男を飼うのはさっきまでのお仕事より死と隣り合わせな気がしている。

「たまには強引なのもみたいなって♡」

 暑いのだろうか、くったりと体を机に預けて笑うスバルをオットーはベッドに運ぶべく抱える。間接的に接種しただけのスバルが動けなくなってオットーが動けているのがいささか悔しい。

「動けないお前を好き放題するつもりだったのに……
「じゃあ僕は動きませんよ。あとで泣くのはあんたでしょうけど」

 無言でオットーの背中に布越しに爪を立て、肩に噛み付く。口の中に他人の血の味が広がってうえと舌を出した。

「オットー、ちゅー」
「ベッドいったらね」

 ――運ばれるスバルの細い、年相応の男性にしては小さすぎる足。そこにつけられた足枷から伸びる鎖がジャラリと揺れた。