しょうがやき
2025-11-08 23:04:01
1022文字
Public 一軍シリーズ
 

【一軍シリーズ】第10話 没

第10話の没になったものです。最初はバーベキューになる予定でした。


「みんなでバーベキューしねぇ?」


夏休み。そんな塚田の一言で、俺たちは今、海に来ている。
つくづく一軍男子たちの行動力には驚かされる。発案された次の日にはこれだった。
みんな平然としているので、この人たちはこれが平常運転らしい。
昼過ぎに海水浴場に来て、今食材を焼いている真っ最中だ。
俺はというと、早々に戦力外通告を高野から出され、大人しくテントの中で待機している。なにかした方がいいのではないかと動こうとしたが、高野に「日永が動くとあの2人がめんどくなるから」と言われたのだ。もちろん、あの2人、というのは柊斗と大和だ。
2人はバラバラに動く分には問題ないらしい。
じゃあほんとに俺のせいじゃん。
そう肩を落としている俺の隣には椎谷がいる。
こういう時率先して動きそうな椎谷なのに、なぜなのか。塚田いわく、「椎谷は100%焦がすからだめ」とのことだ。このメンバーの中ではまとめ役の椎谷だが、意外と不器用な一面もあるらしい。椎谷ほどのイケメンとなると、それも長所に見えてくるので、やっぱりイケメンってズルい。
だが、イケメンにもデメリットがあるというのを、この人たちと過ごす中で俺は学んだ。


「そこのおにーさん達、私たちと遊びません?」

「写真撮ってくださーい」

「SNSやってますか〜?」


次から次へと女の人が声をかけてくる。
テントの中という安全地帯で待機している俺と椎谷以外は、その対応に追われている。
高野が「事務所通してくださーい」とか言ってるのが聞こえるけど、いくらなんでも適当すぎない?
そんな彼らを横目に、隣にいる椎谷に話しかける。


「高野たちってモテるけど彼女いるの?」
「いないよ。高野は推し、的な感じの子が多くて高野に告白する子はあんまりいないし、塚田は逆にガチ恋が多くて、告白しないっていう暗黙のルールができてるらしいよ」


なるほど。モテ度合いがカンストするとそうなるのか。
俺が生きていても一生辿りつかない領域だろうな、などと浅はかな感想を抱く。


「椎谷は?」
「どうだと思う?」
……なんとなくだけど、いないっぽい」


椎谷は身内以外には一線を引いている感じがする。
みんなに平等に接して、それ以上でも以下でもないように立ち回っている印象だ。


「正解。今はそういうのいいかなって」


そう言って椎谷は笑う。そんな贅沢なこと、多分このイケメン達にしか言えないことだろう。