夕陽に照らされたワンダーブリッジの中心で、男女が向かい合って立ち尽くしていた。彼らの頬も空と海のように橙色に染まっている。俯いていた女は表情を引き締めて顔を上げた。男の瞳をしっかりと捉えて内に秘めた想いを口にする。男は女の言葉に笑顔で返事をした。そして、二人はゆっくりと口づけを交わした。
「わあ…すごくドキドキしたね、マスカーニャ!」
スマホロトムに釘付けになっていたリコはエンドロールが始まると共に、パッと隣のマスカーニャに目を向けた。しかしマスカーニャは興味がないと言わんばかりに大きく口を開けてあくびをしている。さらに声がして目線を動かすと、カルボウとパゴゴが知らないうちにベッドから降りて笑顔で遊んでいる。多分映画に途中で飽きちゃってたんだろうなあと少しがっかりしていると、横からテブリムがちょんちょんとリコの手をついた。テブリムはにこにこと微笑むと、目をキリッとさせて拳を握り、テブテブと言う。
「テブリムはちゃんと見てた?ロマンティックだったよね!」
テブリムはまたテブテブ!と笑顔で答えた。リコも興奮してテブリムに映画の感想を熱く語ると、テブリムも同じ熱量で語る。そんな様子を見てマスカーニャはまたあくびをした。
しばらく語り合ったところで落ち着いたリコはふと呟いた。
「私も…あんな風に告白できるかな…」
リコの頬が少し赤くなった。テブリムは笑顔でリコにその意図を伺う。
「え?ち、違うよ?今好きな人がいるってわけじゃ…」
「リコ〜今いい?」
「ふぇ!?ロイ!?ちょ、ちょっと待って!!」
慌ててリコは扉の方に向かい、前髪を少し整えてから開けた。ロイはいつも通りの笑顔で立っている。
「ど、どうしたの?」
「面白いニュース見かけたからリコにも見せたいなって。ほら見て、コダックとヤドンのドわすれ対決!」
「なにそれ…どういう勝負なの?」
「直前に教えたことをどっちの方が忘れているかで競うんだって!でも中々決まらなくて三ヶ月も結果が出てないらしいんだ!」
「それもう勝負になってないよ…ふふ」
ロマンティックな映画の余韻が笑いで吹き飛んでしまった。ほんとにロイは…と考えながらリコはお腹を抱えて笑っている。話し終わると、ロイは自分の部屋に戻っていった。リコが満足した顔で扉を閉めると、テブリムがほっぺに手を当ててニカっと笑ってみせた。その意図をリコはすぐに理解した。
「ち、違うよ…?ロイは優しいしカッコいいし面白いし一緒にいると楽しいけどそれは仲間としてでそういうのじゃないから…!!」
段々と赤くなるリコの顔を見ながらテブリムはくすくすと笑う。マスカーニャはまたあくびをして、パゴゴとカルボウはなんの話だろうという顔でリコを見ていた。真っ赤になったリコはマスカーニャのお腹に顔を埋めた。そんなリコの背中をテブリムは優しく撫でてからかったことを謝る。マスカーニャから離れたリコはテブリムを抱っこした。
「テブリム…いつか私が…ロ…好きな人に告白したいって思った時は応援してくれる?」
テブリムは満面の笑みで頷いた。するとマスカーニャがリコの頭を撫で、カルボウとパゴゴは何の話か分かっているのか否か、ベッドに登ってきてリコの背中に手を置いた。
「ふふ…みんなありがとう」
いつか、そんな日が来たら、きっと振られるのが怖くなってしまう。でも、ポケモンたちが応援してくれるから、きっと大丈夫。どんなときもポケモンが勇気をくれる。リコは安心して微笑んだ。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.