MN*B
2025-11-08 04:38:45
2443文字
Public 宗おに:二次創作
 
1780703

【宗おに】 一緒くた |一人称変換あり

今書いてる話には入れないだろうなってネタを思いついたので。変えられるのは一人称とかです。実質ネームレス。
時系列:END10後くらいのイメージ。おにいさんの名前出してます
注意:おにいさんとかゲーム主人公に独自の味付けがしてあるのと、蛇に関する話題が苦手な方は非推奨です。YesCP
ぶっちゃけ経験談ですね。結構ぎょっとされるんですよ。

ロクロロクロロクロ夏場の風呂上りには冷たいものが欲しくなる。それは部屋に冷房がついていても同じだと思う。
いつもの癖で、タオルで頭を拭いながら冷蔵庫の前に行く。は冷凍室のドアを開けながら、同じく風呂上りの彼に向けて声をかけた。

「おにいさんはアイス、……
「どうかしましたか?」
……なんでもない。髪、乾かそうよ」

冷凍室のドアを閉めて、何もなかったことにした。
それから互いに髪を乾かし合い、その間にそのことも忘れて、はまた冷蔵庫の前に居た。

「飲み物冷えてるけど、いる? ……ねえ、」

返事がないから振り返ろうとしたところで、身体が何かに当たって止まった。後ろに厚みと熱を感じる。……おにいさんだ。

「何か俺に隠してます?」

肩に手を置かれて、後ろから顔を覗きこまれる。部屋の明かりはついているのに、おにいさんで遮られ、その顔も仄暗く淀んで見えた。

「隠してますよね」
「ぃ゙っ」

おにいさんの手がの肩を掴んで食い込んだ。その手はシャツ越しでも熱いのに、力を込め過ぎて指先が白くなっている。
は視線をおにいさんのほうに戻し、訴えかける。

「痛いから放して」
「俺には言えないことですか」
「話すから」
「誤魔化さないでください」

骨が軋むほどに握り締められ、身体が強張る。痛みで食いしばりたくなるのを堪えて、は声を絞り出す。

「逸」

一瞬、彼の思考が止まったのが分かった。その隙を逃さずに畳み掛ける。

「放せ」

低い声で短く。躾けるみたいに。
しばらく目を合わせていれば、彼の中で何かが解けたみたいに手から力が抜けていく。

「落ち着いた?」
……ご、ごめんなさい。痛かったですよね」
「うん」

痛みから解放されて、は詰めていた息を吐いた。……また痣になるんだろうな。
おにいさんはといえば、さっきまでの力強さとは真逆に、たどたどしくの肩に手を沿わせて、乱した服を整えている。はその手を押さえると身体を反転させ、おにいさんと向かい合った。

がさっき、中途半端な態度を取ったせいで、おにいさんに余計なこと考えさせた。合ってる?」
……俺が悪いんです」
「話を聞け」

思わずやり返すみたいに、おにいさんの手を握り締めた。おにいさんは身体を硬直させると、目線をから逸らして彷徨わせる。その態度は明らかに痛みに対しての反応じゃない。……これじゃ話にならないな。
落ち着け、冷静になれ。と、まずは自分に言い聞かせながら、は手から力を抜いた。
そうしてから、労わるように、謝るつもりでおにいさんの手に触れ直す。おにいさんの強張った手の指一本一本を解いて、の指を絡ませていく。
爪を、関節を、指の間から手のひらまで、ゆっくりとなぞる。さすって、その肌触りやしっとりと滲む熱が混ざるのを味わうみたいに、刻み付けるみたいに、彼に分からせる。
やがて耐えきれずに、彼の唇から震える声がこぼれた。

「聞きます、聞けますから」
「大丈夫?」
「は、はい……
「本当に?」
「本当に、です。だから……

手の動きに誘われて、その肌には赤みが差している。そして、恥じらいで潤んだ瞳にが映った。

「やっと見た」

ようやく話を仕切り直したは、おにいさんと並んで、冷凍庫になっているほうのドアを開けた。
中には無造作に置かれたアイスと、一番端にはプラスチックの保存容器がポンと置かれている。

「コレがあるのを伝えてなかったなって」
「これって」
「ネズミだよ。冷凍マウス」
「ねず、み……!?」
ロクロのご飯なんだ」
「あ、あぁ……そっか。そうですよね」

おにいさんは小声で「ネズミ……」と繰り返し呟く。

「蛇を飼ってるって話になると、じゃあ何をあげてるのってよく聞かれる。けど……まあ、ね。も飼い始めの頃は同じこと思ったし、気持ちは分かるんだ」

分かるけど、今となっては怠くて面倒なやり取りの一つだ。
好奇心で聞いてきた挙句、大げさにリアクションを取られて。酷いと「気持ち悪い」とか「可哀想だ」とか、面と向かって言われる。人間だって同じように物を食べるのに。

「特に同じ冷蔵庫で保管するってのが、受け付けられない人が多いみたいで」

本当は置く場所も分けたほうがロクロのためにもいいんだけど、一人暮らし用の冷蔵庫じゃ、そうも言っていられない。
ぱっと見ただけじゃ分からないのは、単に冷凍焼けを防ぐために包装してあるからってだけだった。

「気分良くない話でしょ。それで話すか迷った挙句、言わなかった。……分かってくれた?」

おにいさんは逡巡しゅんじゅんして、曖昧に頷く。

「はい」
「やっぱり気持ち悪い?」
……

おにいさんからの返事はなかった。言葉にするのを戸惑っているみたいだった。
は冷凍室のドアを閉めて、小さく息を吐いた。解決方法はいくつかあるけど、実際だとほとんどないに等しい。

「おにいさんが嫌なら」
「俺は、」

の言葉を遮って、おにいさんが話しだす。

「俺は大丈夫です。確かに、驚きましたし……ちょっとまだ、抵抗感も……あります」

馬鹿正直にそう答えて、それでも彼は「大丈夫です」と力強く言い切った。

「それに、あちらロクロからすれば、俺が後から入り込んで来た側ですから。俺が慣れるべきだ」
「無理しなくていいよ」
「無理とか、そういうんじゃないです」

彼はのことを真っ直ぐに見つめたまま、静かに言葉を差し出した。

「慣れちゃうくらい、ここに来てもいいですか」
……

が頷くと、彼は安心した顔をして、おずおずと身体を寄せてくる。受け止めて背中に腕を回せば、同じように返ってきた。
すぐそばにとは違う体温でと同じ香りがする。

「居ていいよ」

一緒にいてもいいですかと、重ねて問われた気がして、そう呟いていた。