三毛田
2025-11-07 23:07:14
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69 069. 優しくしたいのに意地悪な気分

69日目
そういう時もあったりする

 優しくしたいと思うと同時に、困らせたいとか、照れさせたい。そんな感情が胸を占めていき。
そもそも相手に優しくしたいって、どうして思うのだろうか。
「丹恒、どうしてだろう」
「お前がその相手のことを、好いているからだろう」
「ちょっとだけ、意地悪したいのは?」
「それはわからない」
 丹恒に訊ねてみたけれど、そんな返答。
 彼にも、詳しいことはわからないのだろう。
「なんだ」
 ジッと見つめていると、何か言いたいことでもあるのかというように問いかけてきて。
「丹恒の顔って綺麗だなって」
「そうなのか?」
「うん」
 なのは可愛い。
 ヨウおじちゃんは、格好いい大人。
 姫子は美人な大人。
 パムはパム。
 そのどれにも当てはまらないのが、丹恒。
「お前は……
「ほら、俺は美少女だからな!」
 胸を張りながらドンと拳で叩くると、彼は何かがおかしかったのかクスクス笑う。
「そうか。ああ、そうだな」
 なんか納得してる。
 普段はきりっとしていて格好良くて綺麗なのに、こうして笑うと可愛い。
「可愛いと格好いいって、両立するんだな」
「お前のことか?」
「ううん。丹恒」
「俺は可愛くないぞ」
 可愛いと告げるも、すぐさま否定されてしまう。
 俺からすると、とても可愛らしいのに。
「人間の心って、複雑だな」
「そうだな」
 ここになのがいたら、『アンタたたちだって、人間でしょ!』って言われるんだろうな。
 複雑な感情を彼に抱いている理由が、恋をしているのだと気付いたのはしばらくしてからで。
 それが良いことなのか悪いことなのかはわからないけれど、確実に俺の思考を変えていった。
「好きな人に意地悪をしたいって思考を持つのは、おかしいのかな」
「おかしいかもしれないな」
 今度ははっきりと、バッサリと。潔く。
 うん。そこまではっきり言ってもらえると、こちらも助かる。
「丹恒先生」
「今度はどうした」
「ぎゅってしてくれないか?」
「それをしてところで、俺にメリットはあるのか」
「あるよ! 俺と密着することで、気持ちが落ち着く! はず!」
「はずなのか」
「だって、なのは滅多にハグしてくれないし、他のみんなも忙しそうでやっぱりしてくれない」
「仕方ないな」
 俺が腕を広げると、恐る恐る腕の中へ来てくれて。
 あー……。この、ちょっとひんやりしているのがたまらない。
 ドクドクと、心臓がうるさいくらいに高鳴っていて。
 自分の鼓動だけじゃないと気付いて耳を澄ますと、丹恒の鼓動も速いようで。
「丹恒?」
「どうした」
「緊張してる?」