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ugatuno
2025-11-21 19:00:00
1566文字
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二次小説
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その心臓は世界のかたち 19話
ブル+ジン ちょっと短めかも
眠っていたはずなのに、ふと目が覚めた。
時間の感覚がぼやけて、昼なのか夜なのかもよく分からない。
ジンペイは、ゆっくりと身を起こした。
点滴スタンドが軋む音が、妙に大きく聞こえる。
――
夕方の光が、窓のガラスに映った自分の顔を透かしていた。
「
……
んー
……
」
喉の奥がかすれていて、口を開くのも億劫だった。
——
そのとき。
「
……
起きてたんだね」
カーテンの向こうから、ふわりと現れたのは、ブルポンだった。
ベッドの横まで近づくと、そっと足音を殺すように腰をおろす。
「ブルポン。
……
なんか、久しぶりだな」
「うん。
……
コマくんも、ゴロミも、ちょっと心配してる。バケーラは“信じてるから行かねえんだど”って言ってたけど」
「
……
そっか。ありがとな」
その言葉は、かろうじて息に乗せた、素の声だった。
ブルポンは、それ以上は何も言わず、しばらくジンペイの顔を見ていた。
そして、ぽつり。
「
……
君って、誰かの心にはすごく上手に潜れるのに」
「
……
ん?」
「でも、自分の心には、ぜんぜん潜ってくれないんだね」
不意を突かれたように、ジンペイの眉がわずかに動く。
「
……
自分の内側なんて、潜ったって仕方ねーじゃん。めんどくさいし」
「うん。たぶん、君の心がいちばん
……
“危険領域”なんだろうね」
「こえーこと言うなあ」
ふたりの間に、少しだけ静寂が落ちる。
ブルポンは立ち上がりかけて、ふと振り返る。
「でも、君の中が真っ暗だったとしても
——
ちゃんと帰ってきてくれたら、それでいいから」
「
…………
」
ジンペイは、返事をしなかった。
けれど、その目は、わずかに熱を帯びていた。
「じゃあ、また来るよ」
ブルポンは、音もなく病室を後にする。
その背中が消えるまで、ジンペイはずっと目を伏せたままだった。
ブルポンが去って、病室はまた静けさに包まれる。
機械の電子音だけが、息をするように響いている。
しばらくして、ジンペイはゆっくりと体を横に倒した。
でも、眠れなかった。
——
ふと、視界の隅。
机の上に、置きっぱなしのイヤーカフが見えた。
「
…………
」
しばらく見つめたあと、ジンペイは手を伸ばした。
指先に触れる、冷たい金属の感触。
ゆっくりと手に取り、耳元まで持ち上げる。
……
そのとき。
(
……
ん?)
手が、ほんのわずかに、ぶれた。
重いわけじゃない。ただ
——
自分の身体なのに、動きにラグがあるような感覚。
ほんのコンマ数秒、思った通りに動かない。
「
………………
」
装着する直前で、手が止まった。
なんで、いまこれをつけようと思ったのか。
何かを伝えたいわけじゃない。
誰かと話したいわけでもない。
でも、そういうはっきりした理由がないと、もう動けない。
そのくせ、身体の奥で、小さく息苦しさが張りついてる気がした。
——
さっきより、ほんのちょっとだけ、呼吸が浅い。
でも、気のせいかもしれない。
……
そういうふうに、片づけた。
「
……
やっぱ、まだ早ぇか」
ぽつりとこぼれた言葉は、自嘲でも言い訳でもなかった。
ただの、確認。
確認して、認めて、それで終わり。
ジンペイはイヤーカフを静かに机に戻した。
そのまま背中をベッドに預けると、額にじんわり汗がにじんでいることに気づいた。
でも、拭かない。
動くのが少しだけ億劫だった。
点滴を替えるとき、ふと自分の手の甲が目に入った。
前よりも、骨ばって見える。
「
……
寝てるだけで、こんなになるんだな」
思わずそう呟いて、笑うふりをした。
(今日は
……
静かだな)
心臓の音を確かめてみても、いつもより穏やかに思えた。
このまま、何も起きずに朝が来たら
——
そんな期待を、ほんの少しだけ、許してしまった。
目を閉じる。
——
眠気は来ないけど、それ以上は、何もしないまま。
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