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ugatuno
2025-11-07 01:48:39
1850文字
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二次小説
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その心臓は世界のかたち 単発話数 その2
ツンデレミケ+ジン ジペがだいぶ弱気になってるかも
胸の奥が、何かに握られてるように重い。
さっきより明らかに、息が浅い。
「っ
……
く、そ
……
」
そのとき、ガタンと窓の音が響く。
風じゃない。誰か
——
「だぁっ、俺が殺すまで勝手に死ぬなっつっただろーが!!」
月明かりとともに、病室の窓からミケッティオが乱暴に姿を現した。
着地の音もでかい。足音もうるさい。
にもかかわらず、やたら自然にそこにいる。
「おい、ジンペイ! てめーふざけんなよ
……
!」
息も絶え絶えなジンペイを睨みつけて、
——
次の瞬間には、ナースコールのボタンを躊躇なく押していた。
「
……
チッ
……
マジでやべー顔してやがる
……
」
押したあとは、自分でも何をしていいのか分からず、ベッドの周りを数歩うろつく。
「死にてぇなら勝手に死ねよ
……
でも死ぬなら俺がぶっ殺してからにしろっつってんだよ、クソが
……
」
壁をドンッと小突く。
ジンペイの肩が微かに揺れた。
呼吸は浅いままだが、どうにか意識は残っているらしい。
吐き捨てるように言いながら、
でも視線はずっと、ジンペイの胸の動きと顔色を確認している。
「
……
弱ぇのにイキってんじゃねーよ
……
この俺様がせっかくヒーローごっこに付き合ってやってんだからよ
……
」
手持ちぶさたにまた数歩うろついて、もう一度だけナースコールのモニターを確認する。
その動きが、やけに落ち着きなくて、
ジンペイは視界の隅で、かすかに笑いかけて、咳き込んだ。
「っ、てめっ、笑ってんじゃねぇよバカ!」
叫んだ声が、かすかに震えていたのは、たぶん本人も気づいてない。
そしてジンペイも、追求する余裕もなかった。
看護師の足音が遠くから聞こえはじめた、そのとき。
ミケッティオはぴたりと動きを止めた。
ジンペイに背を向ける。
「
……
おい、聞こえてんだろ。
誰にも言うんじゃねーぞ。
……
俺が、こんなとこまで来たなんて」
ふわ、とカーテンが揺れる。
その隙間から、彼の姿はもう見えなかった。
月明かりの中、猫のように軽い気配だけが遠ざかっていった。
街の灯りが、ガラス越しにきらきらと瞬いている。
この高さから見下ろす景色は、まるで別世界みたいだった。
病院の屋上。
風が冷たくて、点滴の針がまだ刺さったままの腕が少し痛い。
それでも、眠れなかった。
身体がきしむように重い。
目を閉じるたびに、ざわざわと胸が落ち着かなくなる。
ベンチに座って、ぐったりと体を預ける。
「
……
さむ」
ぽつりとこぼした瞬間
——
「バカが。そんな体で、こんなとこ来んなよ」
声がした。
振り返らなくても分かる。
——
ミケッティオ。
「
……
あー
……
悪い。
屋上に来ると、なんか、ミケッティオが出そうな気がして」
「は? お前、そんなんで呼ばれてたまるかよ。
……
ケッ」
「
……
昨日は、ありがとうな」
「あ? 何の話してんだ??」
ミケッティオは相変わらず、
ガラの悪い座り方でベンチの端に腰を下ろした。
「
……
けど、来たんだろ。そっちから」
「
…………
うん」
「
……
チッ」
それきり、しばらく会話が途切れる。
冷たい夜風に髪が揺れて、
ジンペイの肩が、小さく震えているのが分かる。
「
……
なあ、ミケッティオ」
ぽつり、とジンペイが口を開いた。
「
……
俺さ、いつから、
“ちゃんとしたジンペイ”じゃなくなったんだろ」
ミケッティオは、目線を空に投げたまま、何も言わない。
「前は
……
もっと動けたし、もっと喋れたし
……
もっと、誰かを守れる人間だった気がするのにさ」
その声は、あまりにもか細くて。
もう吹けば消えそうな、そんな音だった。
「
……
なあ、ミケッティオ。俺がヒーローじゃなくなったら、みんな、がっかりするのかな」
静かに、ミケッティオが口を開いた。
「バカが」
「
……
またそれか」
「他になんて言うんだよ」
ジンペイは、かすかに笑った。
「
……
お前はさ、俺がヒーローじゃなくなっても、ここにいてくれる?」
その問いに、ミケッティオは答えない。
ただ、ふっと息を吐いて、ベンチの背に体を預けた。
そして
——
「
……
たまたま、今、ここにいたいだけだっつってんだろ。
……
ったく、勘違いすんなよな」
言いながらも、その体は、ジンペイの少しだけ近くに寄っていた。
夜風が吹き抜ける。
でも、その隣にいる重みだけが、静かにジンペイの心を支えていた。
ジンペイは、そっと目を閉じた。
「
……
うん。ありがと」
その言葉に返事はない。
ただ、同じ風に吹かれている、隣の気配があるだけだった。
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