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とはり
2025-11-06 22:06:54
3002文字
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ひめこは
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【ひめこは】羽ばたいて、純情
天使VS堕天使の組分けが嬉しかったので書いたひめこは
⚠️🐝の天使/堕天使振り分けに関してのネタバレあり⚠️
あまあまはっぴ~☆な感じではない
以下あとがき
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
5億年前に降ってきたタイトルをここで使うことになるとは なんとなく今だ!って思ったんです
タイトル候補その1 やさしくて、あまい
その2 堕天使の囁き、天使の口づけ
でした
ちょうど審判の折り返しくらいだったのでキリがいいかなと思って
間に合って良かった
また攻をいじめてるし、受の小悪魔化が止まらない 本当に楽しい
発作的にこんなん書いちゃうんだけど、なんなの? "別離フェチ"に名前変えた方がいいのでは?
『雲のベッドの上で睦み合った』ってあまりに妖精すぎるかなと悩んだけど、可愛いからいいや…………
推しカプには雲や月のベッドで睦み合っててほしいもんね
油断してるめるの隙をついて頬にキスして逃げていく堕天使こはが書きたくて書きたくて
そのキスは堕天した自分にすらまだ情を抱いてくれているめるへの愛しさと彼に対する最後の土産なんでしょうなぁ
敵地での窮地を脱するためにめるを誑かして、視線誘導までして「う・そ♡」って囁く小癪小悪魔ムーヴめちゃくちゃ楽しかった
友ビギだけに留まらず、司くんもジュンくんも堕天使サイドにいるの嬉しすぎる
年下堕天使にめちゃくちゃに心乱される年上天使さまって美味……
忘れられない色がある。空の青とそこに浮かぶ白。そして、生命の喜びを伝える福音のように美しい桜色。
「あ
……
」
見習い天使を連れて天界を案内する途中、見知った桜色を見かけて立ち止まる。毛先の跳ねた春色の髪に、忘れもしないその姿に、顔を見なくてもそれが誰だか分かってしまう。
熱い視線に気づいて振り向いた彼はこちらの姿を見つけると「あ、」と声を発するのとどちらが早いか、脱兎のごとく逃げ出した。
「待ちなさい!」
「待てっち言われて待つ奴なんかおらんっ」
羽を広げ、全力で追いかけているのに距離が縮まらない。飛び方を教えたのは自分なのにいつの間にこんな──。
体が食い破られそうな焦燥に、大きく息を吸い込んだ。
「逃げないでください!
……
っ、桜河!」
声を張り上げると彼の動きが止まって、溜め息と共にゆらりと振り返る。
「やめてや。大きな声で呼ばんといて。他の天使にまでバレてまう」
「あなたが逃げるからでしょう」
「そら、逃げるやろ。捕まったらお仕舞いやし」
「そんな、捕えるつもりなんて
……
」
釈明のために半歩近づくと、向こうもまた半歩引いた。警戒心の強い猫を相手にしているようだった。
手を伸ばしても届かない距離で、彼は昔と変わらない愛らしい相貌のまま透き通るような青の中に佇んでいる。昔は当たり前のように隣にあった景色。
その懐かしさに感化されて口を開いた記憶の箱から、眠っていた思い出たちが次々によみがえってくる。
彼が、桜河こはくという天使がHiMERUの下で見習いをしていた時のことを。前世の記憶がないと不安がっていた彼を先輩として教え導いていた日々を。どこへ行くにも後をついてきて、雛鳥のような可愛さで懐いてきた後輩の姿を。彼と雲のベッドの上で睦み合った時間を。
そして、突然彼が天界から忽然と姿を消し、堕天使の烙印を押された日のことを。
「ご無沙汰やね、HiMERUはん」
「そう、ですね。
……
本当に」
距離の埋まらないまま、ぎこちない挨拶を交わす。
「あいつらは
……
燐音はんとニキはんは元気しとるん」
「天城と椎名は相変わらず一緒にいるようですが、仔細は知りません」
昔はよく四人でつるんでいた。燐音自慢のニキの手料理を囲んで、ほとんど毎日どんちゃん騒ぎ。品位のない集まりに辟易としながらも、ニキの手料理の味のよさと、何より料理を美味しそうに頬張るこはくの横顔に惹かれてよく顔を出していた。天使としての職務を果たしながら、他愛ない日々が続いていくのだとあの頃は漠然と信じていた。
時間が経つにつれ、各々が立場を得て交流が希薄になっていったことも要因としてあるが、こはくがいなくなってからは意図的に二人のことを避けるようになっていた。
集まると思い出すから。彼の場所だけがぽっかりと空いていて、そこに不在の存在を感じてしまうから。
そういった事情をつまびらかに明かさずともこはくは察したようで、静かに目を伏せた。
「ほっか。ニキはんの料理、HiMERUはんも気に入っとったのに堪忍な。ぬしはんには迷惑かけたし、申し訳ないとは思うてるんよ」
「それならどうして、」
「ここは堅苦しくてお綺麗すぎて、わしには窮屈やった。ぬしはんには悪いけど、堕天して良かったと思ってる。今は自由気ままにやらせてもろとるよ。気の合う友だちもおるし」
こはくの口からはっきりと堕天したと聞かされて、一縷の望みがプツンと音を立てて切り落とされる。
本当は堕天なんてしていなくて、天界の隅っこでかくれんぼでもしているんじゃないかとHiMERUにしては珍しく非論理的なおとぎ話のような妄想を抱きしめていたこともあった。
見習い時代の彼は、外を飛び回るパトロールならまだしも書類仕事は面倒くさがるきらいがあったから、少し嫌になって羽を伸ばしにいったのかもしれない、そのうち戻ってくるだろうと楽観的な祈りを胸に掲げていたこともあったけれど。それも全て儚い幻だった。心にへばりついていた期待も不安も憐れな寂しさも、ぼろぼろと剥がれ落ちていく。
「HiMERUはんは何しとん?」
世間話のように、あの頃と同じ温度の声で問いかけてくる。そういう残酷さはまさに堕天使らしい。こんなにも白い羽と装束が似合っているというのに。
深い落胆に沈んだまま問いかけに答えられないでいると、ゆらゆらと体を揺らしてHiMERUの言葉を待っていたこはくは首を傾げた。
「あぁ、もしかして見習い天使の案内中? 相変わらず教育係っちやつに精を出しとるんやね。今年の見習い天使はどうなん。やっぱり素直で可愛い?」
すっと視線を移した先には、突然飛び出したHiMERUの後を訳も分からずぱたぱたと拙い羽ばたきで追ってくる見習い天使がいた。
「
……
何をしに来たのですか」
見習い天使を品定めするような湿度を感じ、背中で庇うようにして視線を遮るとこはくは苦笑した。
「そんなに警戒せんでも
……
と言いたいとこやけど、当然やね」
「近頃、事件に巻き込まれる見習い天使が増えていると聞いていましたが、まさかあなたが関与してるわけじゃありませんよね」
「その通りやとしたら? わしを捕まえて処罰する?」
関与していないと否定してほしい、そんな願いを見透かしているかのようにこはくは挑発的に肩を竦めた。
本来ならば堕天使は捕らえて審問にかけなければならない。そもそも堕天自体が重罪だ。ましてや見習い天使に関する事件にまで関わっているとなれば厳しい処罰が下るだろう。
これが他の堕天使ならばHiMERUも迷わず突き出した。けれど、今目の前にいるのはかつて愛した天使なのだ。
表情を固くするHiMERUにこはくは日だまりのような微笑みを向ける。幸福の象徴みたいな愛らしさで天を嘲笑っているというのか。
「
……
HiMERUはんは優しいなぁ。やさしくて、あまい。いつぞやに一緒に食べたハニートーストみたいや。そんなんやからわしみたいな裏切りもんに付け込まれる。わしが単身でこんなところに乗り込むわけないやろ?」
眦を緩めたこはくが、再びHiMERUの奥へと視線を送る。
しまった、と慌てて背後を振り返るが、はひはひと息を切らしながらHiMERUに追いつかんとする呑気で健気な天使がいるだけで、仲間の堕天使らしき影はひとつも見当たらなかった。
「う~そ♡」
耳元に吐息がかかり反射的に顔を向けると、こはくの顔が目と鼻の先にあった。飛び退こうと体が動く前に、頬に暖かく柔らかいものが触れる。それが何であるかを認識するより早く、彼の背中に生える羽が視界を覆って真っ暗闇に引きずり込まれた。
一瞬の後、再び視界が開ける頃にはこはくの姿は跡形もなく消えていた。
──あの子は見逃したるから、わしのことも見逃して?
まるで夜中にこっそりとお菓子をつまんでいただけかのような、軽やかな悪戯っぽさで囁く。その声に、頬に贈られた甘い熱に、たやすく絆されてしまう。何度だって誑かされてしまう。
HiMERUがかつて彼に教え、何度も施した愛情表現が彼の中にまだ残っているのだという切なさと愛おしさが、枷になってその場から動けない。
ようやく追いついた見習い天使に名前を呼ばれても、桜色の残像に囚われて返事すらできなかった。
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