ortensia
2025-11-06 14:53:33
2208文字
Public 傭リ
 

謎時空で感性が可笑しいリ達(複数)と個性的?な傭(+えま)

scp3171は詩が好き、らしいのだが…

 個性的な作品を生み出す芸術集団「リッパー」という組織がある。
 しかしこのリッパー達、自分達が芸術家であるためか、自分達の作品を販売したり出品したりするにあたって、交換条件として他の芸術品を求める。例えば詩や音楽、歌や踊り、他にも料理や衣装など、なんでも良い。
「アップルパイを焼いたの!」
「ほう。」
「成る程。」
「見た感じは悪くありませんね。」
「失敗してないでしょうね?」
「紅茶あります?」
「珈琲は?」
「味が大丈夫なら、良いんじゃありませんか?」
「どれどれ。」
 初めの絵画商人、もとい交渉人はアップルパイを焼いて、これを交換材料とするために「リッパー」に提供した。
 確かに掴みの第一印象は好感触だったはずだ、しかし。
「自信作なの!このアップルパイはママのレシピで……。」
「あ。そういうのいいんで。」
 余計な身の上話をしたせいで、アップルパイは突っ返されてしまった。
「どうしてなのー!」
 そんな事情があって第一の交渉人は出禁となり、交代を余儀なくされた。
 芸術集団「リッパー」は、自分達はお喋りなくせに人の話を聞く気はないらしい。
 あるいは、平凡な話では自分達の作品の交渉材料には相応しくないと思っているのかもしれない。
 仕方なく、第二の交渉人が派遣された。
……どうも。」
 次に「リッパー」達の前に現れた人物は、手ぶらに見えた。
「どうも。」
「おまえは?」
「見たところ手ぶらのようですが。」
「手土産もなしですか?」
「おやまあ忘れ物です?」
「お使いも出来ないんですか。」
「身軽でさぞ良いご身分なんでしょうね。」
「今回の交渉はなしということでよろしいですね。」
 じろじろと見下ろして来る「リッパー」に対し、新たな交渉人は。
「いや、まあ。好みも分からないうちから何か渡しても邪魔になるだろ。」
 交渉人の言葉に「リッパー」は詮索を一時止めた。
「まあそれもそうですね。」
「交渉材料を忘れた言い訳では?」
「考えなしなだけじゃないですかぁ?」
「それ今考えた台詞じゃなくって?」
「じゃあ次からは何か持って来てくれるんです?」
……次も来るんですか、おまえ?」
「次も来るのはおまえなんですか?」
 色々と口々に言う「リッパー」を掻き分け、交渉人は「リッパー」のアトリエを物色した。
「なんだこれ。この紅茶、随分前のものじゃないか?」
 交渉人が何か見付けたので、そちらにわらわらと「リッパー」が集まって来る。
「ああ、それ!何処に行っていたのかと……。」
「これこんなとこに置いていましたっけ?」
「え?知りませんがそんなもの。」
「そう言えば喉が渇きました。」
「そろそろお茶の時間では。」
「おまえ淹れてくださいよ。」
「そうです手ぶらで来たんですから、それくらい働いて行きなさいよ。」
 交渉人は「リッパー」にせっつかれて、紅茶を淹れることになった。
「元々古い茶葉なんだから、味の保証はしないぞ……。」
 しかし交渉人が味見をすると、やはりなんとも言えない味だったので、普段持ち歩いているマイ香辛料を取り出して、紅茶へ混ぜた。
……なんですこの不思議な感じ?」
「何か混ぜました……!?」
「薬物!?」
「魔法!?」
……でも悪くないです。」
「寧ろなんとなくクセになるような……。」
「それってヤバくありません……?」
「やっぱり劇物!?」
 騒ぎ出す「リッパー」に、違うけど、と言って香辛料の小瓶を見せる交渉人に、訝しそうな目を向ける「リッパー」達。持ち歩いているなんて、食い意地が張っているんですね。
「けれどそうですね、おまえからは変わった香りがします。」
「おまえ自身から珍しい感じがします。」
「というかおまえ、血の匂いがしますね?」
 香辛料云々というより「リッパー」にはそちらのほうが気になった。重要だった。
 本日来た交渉人は、退役軍人だった。
 そこ迄指摘されては、わざわざ隠す気もないのか、交渉人はそう言った。
 それに対して「リッパー」は興味を向けて活気付いた。賑やかに詰め寄って来る「リッパー」にせがまれて、交渉人は戦場経験を訊かれる儘に話した。
「煙の匂いもしますね。」
「火薬とかだろ。」
「爆発に巻き込まれたりするんですか?」
「寧ろ突っ込むのが目的だろ。」
「Blimey!」
「盛り上がって来た!」
「煙にまみれるなんてえっち!」
「えっち!」
……え?」
「メシマズってほんとですか?」
「基地によるだろ。」
「ご自身で料理したりするんですか?」
「まあそうだな。」
「血の味のスープとか?」
……自分の口の中が切れてたりすりゃな。」
「FOOOOO!」
「えっち!」
「えっちです!」
「えええ……?」
「ご飯がない時もあるんですか?」
「そうだな。まあ任務にもよるしな。」
「極限状態!」
「えっち!」
「おまえのお話はなかなか個性的です。」
「なかなかセクシーですよ。」
……どうして?」
 退役軍人の現交渉人には、芸術家達の趣味はさっぱりだった。
 しかし「リッパー」の芸術作品は、戦場の話を引き換えに、受け取ることが出来るという交渉を固めることが出来た。
「なんで?」
 そして受け取る芸術作品は、確かに素人の交渉人でも感じ入るものはあったが、自分の話とは結び付いていないように思えた。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。