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senaka_bone
2025-11-06 08:29:59
2153文字
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すけべ書き比べ
【SMプレイ用の部屋でX字の磔を前にした治北】
○かわいいすけべ
「違うんです、ほんまに
……
」
と治は小さな声で言い訳した。氷が溶けるときに小さく軋む音を立てる、その音よりさらに小さな声だった。
「北さんが暑いて言うから
……
ほんまに、狙ってこの部屋にしたとかやなくて
……
適当に
……
あと部屋番号の語呂がええなーって思ったから
……
」
思いつく限りの言い訳を並べ立てる治は、ひたいに汗をかいている。方便でも別に構わへんのになと北は思っていた。こういうとこに来たいんやったら来たいて正直に言うてくれてええのに。引いたりせんし、嫌いにもならんのに、と。
「ほんで、これ。どうやって遊ぶん」
「遊っ
……
んで、みたいですか」
急に爛々とした治の目が可笑しくて、吹きだしそうになる。ほら、やっぱりそうなんやん。してみたいんやろ、俺と、そういうプレイ。
○コミカルすけべ
「
……
立派やな」
壁際に置かれた巨大なXをしげしげと眺め、北はそう呟いた。
北はよく「立派やな」と言う。夏の陽射しを浴びて育った野菜にも、治が脛につくった大きな痣にも。ふ、と唇を柔らかく緩め、立派やな、とこぼす北の顔を見るのが治は好きだった。治のものを口に含む直前、その先端にキスを落としてから、立派やな、と笑うのも。
「立派
……
すか」
「ああ。今から俺、これに磔にされるんやな」
そんな興味津々な顔せんとってください、と治は内心頭を抱えた。好奇心が強いのは北の美点のひとつだが、時々強すぎて治を困らせる。普通ありえないだろう。SMプレイをしてみませんかと誘われて、二つ返事でついてくるなんて。誘う方も誘う方だが誘われる方も誘われる方だ。もちろんその根底には治への絶対的な信頼がある。それは治もわかっている。だからこそ頭を抱えるのだ。この人どんだけ俺のこと好きやねん、と。
「どうしたらええん? ここ
……
手錠みたいなんついとるな。ここに手ぇ嵌めたらええんか。ほんでこうやって両手両足縛るわけか。なるほどな。早速やろか。その前に脱いでまうか?」
「
……
もうちょい、あの、ゆっくりでお願いできません?」
俺のちんこが追いついてないんで、と正直に打ち明ける。情緒や恥じらいを求めていたわけでもないが、それにしたってあっけらかんとしている。これでは治の部屋でするのと同じだ。
○日常すけべ
なんといっても目を引くのは壁際に置かれた巨大な磔台だ。身長と同じくらいのアルファベットのXを見て、北の頭にまず浮かんだのは、神戸の海沿いにあるモニュメントだった。
ポートタワーは治との初デートの場所だ。BE KOBEのモニュメントと共に写真を撮ろうと列に並ぶ観光客を横目に通り過ぎようとしたら、俺らも撮りませんか、と緊張ぎみに打診された。あれが人生初の自撮りに挑戦した日だったかもしれない。結局北の顔も治の顔もうまくカメラに収まらず、BE KOBEのモニュメントに至っては治の頭に隠れてほとんど写っていない。それでも達成感とほんの少しの甘酸っぱさに包まれて、しばらくトークアプリの背景に設定していた。
「あー
……
やっぱ、こういうの無理ですか」
治の声ではたと我にかえる。自分たちは何をするんだったか。自撮り
……
ではない。いや、一旦自撮りを挟んでおくべきだろうか。初デート並みに緊張した顔の治を見上げて思案する。
○シリアスすけべ
餞別という話ではなかったか。
治は真っ赤な部屋を見回してゆっくりとまばたきをした。
悪趣味な色のベッドに、拷問器具のような椅子。何より目立つのは壁際に置かれた磔台だ。Xの形をしたそれには鎖が取りつけられ、両手両足を拘束するための手錠がぶら下がっている。
「治。脱いで」
北は平坦な声で命じた。いつもの穏やかな声でも、ねだるような吐息混じりの声でもなかった。
誰だろう。このひとは。
五年間付き合った相手を、治は今初めて怖いと思った。
別れる前にもう一度セックスがしたい。そう請われて頷いた。最後やから、と北の稲穂色の瞳に見つめられ、これがほんまの最後かと唇を噛み締めた。別れを切り出したのは北だ。了承の言葉以外言わせてもらえなかった。
嫌いになったわけやないで、と慰められたのが唯一の救いだった。道を分かつだけだと。これからも農家と卸先という関係は続くのだと。
北とするセックスが好きだった。抱き心地がいいからじゃない。愛を交わすのが心地よかった。この人とずーっと一緒におれたらええなあと、幼稚園に通う子供が思うようなことを本気で願うくらいには、幸せな日々だった。
「脱がへんのやったら脱がすで」
黙ったままの治に焦れたように北は促した。それでも黙り込んでいると、実力行使とばかりにベルトに手をかけられた。下を脱がされ、上のシャツもめくられる。大儀だろうに自分より上背のある治を全裸に剥いた北は、治の手首を引いて磔台の前に立たせた。
抵抗せえへんの、とその瞳に問われているようだと思った。
抵抗しませんよ、今更。したってどうにもしてくれないんでしょ。知ってます。あんた頑固やもん。俺が何言うたってどうにもならんねん。
万感の思いを込めて、治は両手を差し出した。
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