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shioyama
2024-03-10 16:34:57
2095文字
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世間のお父さんって大変
不辜のサァカス ナイフノモツレ げんみ×
HO1とTSHO2の話。
HO1とTS HO2(男→女)のSS
HO1は男のまま。NPCが出てくる。ちょっと昔の話。
「なぁジャン。一つ相談したいことがあるんだが、構わないか」
「なんだよ。改まって」
機材の撤収に勤しんでいたジャンは足を止める。今回の公演も無事に終えることができた。ステージ周りはクールダウンする演者と片づけに徹する裏方に分かれている。客の入りも平常時よりは多かったお陰か、団員たちの間には緩い空気が流れていた。
「悩んでいることがあるんだ。私一人では対処が出来んことでな」
目の前に立つレグルスの表情にはどこか真剣みが帯びている。それを見たジャンは両手に抱えていた重い資材を一旦床におろす。一人で抱えがちなレグするからの相談となると、少し骨が折れそうだ。服の裾についていたゴミを払い、レグルスを見上げる。
「どうした?金の事とかは俺よくわかんねぇぜ?そういうのはセナの方が
……
」
「年頃の娘と成人を超えた男が風呂に一緒に入るのはどう思う?」
「普通にヤベェと思う。なんだ、アルシラの事か?」
ジャンは心の中でさっきの考えたことを即座に消し飛ばした。折角の機会だと言わんばかりに日々考えていた感想を真正面からぶつけてやった。レグルスの澄ました態度が崩れ、ぐしゃぐしゃと前髪を掻きむしる。セットされた髪が崩れてゆく。
「やはりそうだよな!?いや、別に私が望んでいる訳じゃないぞ。だからその目をやめないか」
「いまアイツいくつだっけ?もういい歳だろ。一人で入れさせろよ」
「まだその辺の情緒というか、教育が済んでないのだ。というか男の私には無理じゃないか?女子団員の誰かにまた頼むしか
……
ええい、目下それより風呂の問題だ。風呂」
アルシラが小さい頃はまだよかった。幼い頃の二人の面倒を見るのは自分の役目だったから、慣れないながらに世話を焼いてやった。今となれば一人でご飯を食べられるようになったし、目を離しても転ばないようになったことを考えると、成長は素直に喜ばしい。だが、最近の彼女は明らかに第二次成長期を迎えている。褐色肌に、流れるような白髪。女子特有の箇所についても、ある場所がくびれたり、ある場所が出てきていたりと目に見えて分かるようになりつつある。年齢を考えるとそれは当然だ。だが、いよいよこの習慣をどうにかせねばならん時が来た。
「目のやり場に困るようになってきたんだ。どうにか一人で風呂に入るようにと説得した。何かいいアイデアはないか」
「普通に言えばいいじゃん。一人で入りなってよ」
「言ったさ。言ったけど
……
な。うん」
ばつの悪そうな顔をしながら咳払いをする。独眼を斜め上へ向け、遠い視線のまま過去の出来事に想いを馳せた。
「アルシラに頼まれたら断れんのだ。私はあいつのお願いには、弱い」
「そりゃ見てりゃ分かるけどよぉ。アイツのためを思ってこそだろ」
「アルシラの事嫌いになった?とか言われたらどうにもできんくなるだろ!できるのか!?できん!」
堂々と敗北宣言をする上司に向かって、ジャンは呆れたように息を吐きだした。そんな相談をしたところで、俺が解決策なんて持ってるわけがないだろ。それすらも判別できない程弱っているのか、他の人たちも匙を投げられたのか。どちらかだろう。どっちもかもしれない。
「世間の父親は何時まで娘と風呂に入るんだ?」
「知らねぇよ、なんかいいタイミングがあるだろ」
「それが見当たらないから困っているんだが?」
「胸を張るな。別に娘として見ているなら何歳でもいいんじゃね?お互いがよければ」
「だから私はよくないって言ってるじゃないか。いいわけないだろ!ええ!?倫理的に殺される気がする。周りの目も心なしか冷たいんだ」
「まぁそりゃあ
……
仕方ねえって。見られるようなことしちまってんだから
……
」
本人は本当に困っているようで、杖を齧りだしそうな勢いだ。だからといって助けにはなれそうにない。どうしたものかと悩んでいると、後ろからレグルスを呼ぶ声がする。振り返ると一人の団員が近づいてきていた。にこやかな笑み。嫌な気がする、とレグルスがつぶやきを落とした。俺もそう思う。
「おーい、アルシラが呼んでるよ。お風呂入ろうって」
「
……
」
饒舌だったレグルスが黙り込む。ついでに騒がしがった動作も静止していた。人はこうやって固まるのかとジャンは少々関心をする。無事報告が終わった団員は足取り軽くその場から去る。
「
……
で、どうするんだ?」
沈黙が漂う空間を優しく裂くように、ジャンは口を開く。数秒唇をかみしめたレグルスは観念したように大きく息を吐く。あきらめに満ちた眼差しが浮かんでいた。
「
……
風呂に行ってくる
……
」
「おう、それがいいぜ。行ってこい。頑張れよ、パパ」
去っていくレグルスの背中は、いつもより小さく見える。娘を持つ父親って大変なんだな。他人事のように考えながら機材運搬を再開する。道中、タオルを持ったアルシラと擦れ違ったが、嬉しそうに笑っていたので「これに弱いんだな」と妙に納得をするジャンだった。
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