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syanpon
2025-11-05 07:33:28
2322文字
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とっても可愛い
オトスバ
現パロ
「オットー」
ハートマークがついていそうな甘い声で名前を呼び、恋人はオットーの腕にぴとりと擦り寄って甘えてくる。触れ合った箇所からオットーよりもいくばくか高い体温がじわりとうつる。目を閉じてここが安全地帯とでもいうようにオットーに体を預けてくる姿はどう見ても可愛い。撫でたくなって半分だけ見えている額と髪の生え際に手を伸ばすとぱちん! とその手を弾かれた。
「化粧が崩れる!!!」
***
ナツキスバルと晴れて両思いになった。それは喜ばしいことだ。
ずけずけと人のパーソナルスペースに踏み込んでくるくせに愛されることには自信がなく、好意を伝える度はにかみ、下手くそな笑みを浮かべるところはとても可愛い。
友人として振る舞う時は遠慮がないのだから恋人としてももっと甘えてきてほしいのが本音である。
甘えてきてほしいオットーと恋人として甘えることに慣れていないスバル。
スバルとしても甘えたくないわけではないのだが他所から見て目つきの悪い男が優男にメロついている姿を見るのはだいぶきついものがある。多分許されるのは酒の席だけだ。まだ未成年のスバルは飲んだことがないけれど。
そうしてスバルは考えた。
「つまり俺が可愛ければいいんじゃね?」と。
そこからオットーに恋人として甘える時、スバルは女装もといナツミとして振る舞うことにしたのだ。
なにせナツミは可愛いので。
可愛い子というものは多少我儘を言ってもいいしラブラブカップルとしてくっついていても違和感がない。スバルはナツミとして思う存分オットーに甘えることができるしオットーも可愛いナツミを見ることができて一石二鳥、まさに天啓である。
今日もバッチリとウィッグとメイク、衣装を揃えてオットーの膝の真ん中に陣取る。
「オットー、あーん」
「ふ、普段はそんなことしないくせに」
「む、今の私はとっても可愛いのよ」
「はあ」
「可愛い私があーんしてるんだから大人しく口をお開けになって! なるべき!」
オットーの口の中に菓子が消えたのを確認するとスバルは満足そうに笑い、オットーの胸に背中をあずける。手持ち無沙汰になったのでそのまま彼の右手をとってそんなに変わらない手の大きさを比べて手のひらをぎゅ、ぎゅとマッサージをするように揉み込む。マッサージの心得なんてないのでフィーリングである。
「お客さんこってますねぇ」
「手のひらってこるんですか」
「んー、知りませんわ!」
「元気で適当な返事!」
「代金は後払いでしてよ」
「知らない間にサービスが契約されている。新手の詐欺?」
「美少女のマッサージを断るなんてことないでしょう? なにせ今日の私は特別可愛くてよ! こんな私からの誘いを断るなんて勿体ない!」
「代金はいくらなんですか?」そう聞いてきたオットーを下から見つめ、揉み込んでいた手のひらを恋人繋ぎに変える。そうして「キス一回」と可愛いスバルは唇を突き出し目を閉じた。
***
「オットー、お風呂先もらった。麦茶飲んでいい?」
「おかえりなさい。どうぞ冷蔵庫にありますよ」
首に無造作にタオルを引っ掛け、Tシャツに短パンというラフな格好でスバルが脱衣所から出てくる。短い髪の毛はすでに乾いているがセットしていないためぺたりと垂れ下がり、吊り上がった瞳はそのままに幾分幼い印象を抱かせた。流石に寝る前、化粧も全て落としているが湯上がりでほてった顔はほんのりと赤い。
「ナツキさん」
冷蔵庫の扉を開け、コップにお茶を入れて飲む彼に声をかけて近寄る。きょとんとした顔でぱちぱちと瞬きをしたスバルは何? と首を傾げた。オットーはほんの少し屈んでその無防備な唇を奪い、ちうと軽いリップ音を立てて離した。
「
……
」
「ナツキさん?」
「
……
」
「ナツキさーん」
「
……
」
「ナツキさん??」
ほんのり赤かったスバルの顔が首も耳も真っ赤になっている。餌をねだる鯉のように大きな口がぱくぱくと音も出さずに動いているのが可愛くてもう一度キスをすれば今度は肩が大仰に跳ねた。そのまま鼻先にも音を立ててキスをすればゴン! と冷蔵庫にスバルは強かに後頭部を打ちつけた。
「あばばばばば」
「ちょっとナツキさん、ちゅーくらいいつもしてるでしょ。なんなら今日あんたがねだってきたくらいなのに」
「い、いや! それはナツミ!!」
「ナツキさんですよね?」
「そうだけどそうじゃないの! 超可愛いナツミだからお前に甘えられるわけ
……
ん、ん〜!!!」
きゃんきゃんと騒ぐスバルの口をもう一度塞ぐ。今度は頬を挟んでしっかりと。舌を入れると泣きそうな気がしたので角度を変えて何度も軽いキスを送ると茹蛸のように真っ赤になった恋人は目を回して「意味がわからない
……
」などとのたまう。
「すみません、ナツキさんがとっても可愛らしかったのでキスしないと勿体ないと思って」
「ひょえ」
「まあ、あんたはいつ何してても可愛いんですけどね。もう少しそのままのあんたを愛でたいんですが僕は」
「はぇ」
プルプルと震えているスバルの手からコップを取り真っ赤になったその頬の熱をとるようにぴたりとつけて、テーブルに置き直す。
「甘えるのが苦手なら、代わりに僕があんたに甘えちゃいますよ。お風呂入ってくるので待っててくださいね」
真っ赤になったままのスバルにそう言い残しふわりと微笑んだオットーの顔は特別可愛い。そろそろとテーブルに置き直されたコップに麦茶を注ぎ直し、自分の頬にピタリとつける。
温度なんてものはわからなかった。
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