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モモハナ
2022-01-17 17:37:45
1889文字
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白銀の世界
1/9のワンドロのお題『雪』で書かせて頂いた話です。
大遅刻の上ワンドロでもないけど、何とか書けてよかった…!!
ほんのりですが、うるほむ要素ありです。
朝食前に手を合わせ、夭聖十訓を唱えて、寶特製のカレーを食べる。
それがいつものBAR-Fの朝の光景。
しかし、今日は一つ違いがあった。
どこか寝ぼけ眼でスプーンを握る蘭丸と専用のお皿に盛って貰ったカレーを嬉しそうに食べるバックンは何時も通りだし、またカレーか、などとぼやきつつもスプーンを手に取り食べ始めた焔と髪にカレーが付かない様に左手で耳にかけながらスプーンを進めるうるうもまたいつも通りだ。
だが、ただ一人、樹果だけはどこか落ち着かなげな様子で一口食べては後ろを振り返り外を見て、そして再びカレーを食べては外を見る、と言う動きを繰り返していた。
「樹果君、外が気になるんは分かるけど、はよ食べんとカレーが冷めてまうで」
「うぅ、わかってるよぉ。でもどうしても気になるんだもんっ!」
樹果が外を気にしている理由。それは昨夜から降り続けてる雪にあった。
BAR-Fのある都心では、雪が降る事はあるものの、積もるほどの大雪が降るのは非常に珍しい。
五人の中でも特に人間界での生活が長い寶でも、昨夜から雪が深々と降り続ける様子にこれほどの大雪は初めてだと驚いていたくらいだ。
そして止むことなく降り続けた雪はすっかり地面を覆いつくし、朝には辺り一面銀世界となっていた。
「そんなに気になるなら、とっとと朝飯食って外行ってくりゃいいだろ?」
辛さが足りないのか『TSUBOSUKO』と言うラベルの貼られた香辛料を足しながら焔が樹果に言う。
「焔、お前はまたそんなにかけて
……
。だが、焔の言う事も一理あるな。樹果、外に行くならちゃんと暖かくして行く事だ」
こんな事で風邪を引かれたら目も当てられない、と赤く染まった焔のカレーを横目で見つつうるうがそう樹果に進言する。
「わかってるよっ! ていうかさ、皆は雪があんなに積もってるのに気にならないの?」
「ワイは君らより長く人間界にいるからなぁ。雪が降るのも何度も見てるし、さして珍しいもんでもないねん」
「確かに
…
こんなに降るのは珍しいとは思うけど。でも、僕も前にシリウスと一緒に見たことあるから
…
」
「俺は寒いのは嫌いだ」
「雪なんて水蒸気が冷えて結晶化しただけのものだろう? そこまで驚くほどの事でもないと思うが
…
」
過去にも雪を見たことがある寶と蘭丸、火焔族故に極端に寒いのが嫌いな焔の意見は樹果にもわかる。
しかし、そんな三人とは全く違う意見を述べたうるうに、樹果はえぇー、と不満そうな声を上げた。
「
…
寶と蘭丸はともかく、うるうは少し現実的すぎない?」
「現実的も何も、俺は正直な意見を述べたまでだよ」
「水潤族のうるうくんらしいと言えばそうなんやけどなぁ。普通は雪ゆうたらもうちょっとテンション高くなるもんやで」
それにな、とにやにやと意味深な笑みを浮かべた寶にうるうが不快そうな顔をする。
それに敢えて気づかぬふりをして、寶は言葉を続ける。
「雪の中でのデートも案外乙なもんやで? 寒いとか何とか言っていちゃいちゃし放題やし、銀世界に染まった景色を二人で見るだけでもロマンチックでええもんやねん」
寶の言葉にほぅ、と小さく返事を返したうるうは、何を思ったのかそのまま焔の方に向き直った。
「
…
なるほど、一理あるな。焔、朝食が済んだら二人で出かけるぞ」
「あぁ? 俺寒いの嫌いだってさっき言っただろ? 何でこんな雪降ってる中、出掛けなくちゃなんねぇんだよ」
突然のうるうの提案に焔が怪訝そうな顔をして彼を見つめ返す。
余程、雪の中出掛けるのが嫌なのだろう。気乗りしない様子の焔に、うるうが間髪入れずに言葉を返す。
「ほう? この程度の寒さで火焔族は根を上げるのか? 情けないな」
「誰がんなこと
…
っ!? あぁわかった、付き合ってやるよ。だけど、用が済んだらすぐ帰るかんな」
売り言葉に買い言葉とでも言うように返事を返してきた焔に、うるうは満足げな笑みを浮かべてみせる。
それに対して、不満そうに頬を膨らませたのは樹果だった。
「えー、うるうと焔出掛けちゃうのー? 折角だから皆で遊びたかったのにー」
「じゃあ、樹果。僕と一緒に雪だるま作ろうよ」
前にテレビで見てから一度作ってみたいと思ってたんだ、とニコニコと笑顔を浮かべる蘭丸に樹果がうんっ! と元気に返事を返す。
「ほなら、俺は此処で暖か~い珈琲でも淹れて皆の事を待っとるわ」
気ぃ付けて行くんやで~、と笑顔を浮かべてそう言った寶の声をバックにうるうと焔、樹果と蘭丸はそれぞれ支度を整えて白銀の世界へと出掛けて行った。
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