三毛田
2025-11-04 15:26:23
1052文字
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66 066. ちくりと棘が刺さった指先

66日目
それすらも優しく扱ってくれる人

「うぇ〜ん。丹恒〜」
「今度は何をした」
 泣きつくと、はあ。と、ため息をついた後、作業の手を止めて。
「指先が痛いんだ」
「見せてみろ。ああ。棘が刺さっているな。だから、きちんと手袋をしろと言っていたのに」
「だってぇ~」
「それで怪我をしていたら、元も子もない」
 拗ねたように唇を尖らせるも、効果は薄く。ぶりっ子みたいに語尾を伸ばしてみても、やはり淡々としている。
 ぶりっ子喋りは疲れるから、もうやめよう。
「棘を抜くから、じっとしていろ」
「わかりました」
 逆らったら、自分でやれと言われるだろうし、そうなると簡単には抜けなくてますます痛くなるだろうことは予測できる。ので、ここは大人しくしておくのが吉。
 ピンセットなのか毛抜きなのかよくわからない器具で、俺の指先に刺さっている棘をスッと抜く。
「いてて」
「こういうのは、きちんと消毒をしないと後々痛むからな」
 液体をかけられ染みたので声を上げると、余分な液体を拭いつつそう告げて。
「ほら、処置は終えた。バムには伝えておくから、お前は休め」
 消毒液らしきものが乾くと、そっと絆創膏を貼られ。
「いや。けど」
「どうせまた注意力散漫になって、怪我をする。ならば、休んでいてもらったほうがこちらも助かる」
 戦力外通告をされてショックだが、事実ではあるので反論できない。
「ゲームも、あまりやらないように。いいな?」
「はーい」
 釘を刺されたので、大人しくパムに俺のことを伝えて戻ってきた丹恒の作業を見ることにした。
 資料室に来るたび、見ている作業。
 膨大な量のアーカイブを整理整頓したり、たまに読んだりして中身を確認したり。
『誰がアクセスしても、分かりやすくするのも仕事の内だ』
 と言っていたことを思い出す。
 俺が依頼先で集めてきた資料だって、一つ一つきちんと目を通してからアーカイブに記録していた。
 一度にたくさん持って帰ってきた時は、タイトル順に並べて彼の隣で音読したりもした。音読するのは構わないが、単語が正しいかどうかわからないからやらなくていい。と断られたのは、一冊の半分もいかないくらいで。
 丹恒って、時々よくわからないタイミングで俺に甘いんだよな。
 彼の隣で、ああやって文章を読み上げるのは駄目な事じゃないとわかったのは、よかった気が。
「他の人にも伝えておくから、今日は余計な事はせずに寝ろ。ああ。風呂に入ったら、また消毒するからここに来い。いや。俺が行った方がいいか」
「そこは丹恒の好きに」