三毛田
2025-11-03 21:54:08
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65 065. 頬を包む暖かな手

65日目
俺の手が暖かいと、君は言う

「ああ。お前の手は、暖かいな」
 彼の頬が冷たいのは、いつものことだ。
 俺と種族が違うから、余計にそう感じるのかもしれない。
 そっと重ねられた手も、もちろん冷たい。いつも触れているから何ともないけれど、不意に触られると温度差にビビる。
 まあ、不意に触られる時は、大抵俺が何かをやらかしたときだから自業自得なんだけど。
 不意に触られることはあったとしても、彼が自ら意識的に俺に触れることはなく。
 それがちょっとだけもどかしい。
「落ち着いたか?」
「それは、俺の台詞だな」
 灰緑の瞳が、こちらを見つめてくる。
 ああ、駄目だ。
 今すぐキスしたい。
「丹恒」
 指先が頬を撫で、そっと顎へと移動させ。軽く持ち上げ。
「穹?」
 彼の瞳に映る俺は、欲に濡れた顔をしていて。
 こんな表情を向けたら、彼を怖がらせてしまうとわかっているのに、止められない。
「丹恒、嫌だったら俺を思い切り殴ってくれ」
「ど、どうしたんだ」
 珍しく動揺している。
 そういうところも可愛い。可愛くて、ますます我慢が出来ない。
「丹恒、殴ってく……ぐはっ」
 言い切る前に、殴ってくれた。正直助かる。
「お前は、何がしたいんだ……
 呆れたような、そして若干の怯えを含んだ声で彼は俺を見てきて。
「本当に申し訳ないんだけど、自分で自分を止められなかったんだ」
 何を言っているんだ、こいつは。
 そんな表情浮かべ、こちらを見ている。
 うーん。自分でもどう説明したらいいのかわかっていない。
「丹恒が好きすぎて、自制が利かなかった」
「それは理由になるのか」
「なる」
 断言すると、複雑そうな表情。
 最近、よくこういう表情を見かける気がする。多分、俺のせい。
 ううん。多分じゃなくて、絶対。言い切れる。
「好きだと、キスがしたいのか?」
「俺は、そう。キスしたくなる」
「せめて許可を得ろ。他の人には、そういうことはしていないだろうあ?」
「してないしてない! 丹恒相手だけです!!」
 全力で否定しているけれど、ジトッと疑うような瞳。
 そういう表情も素敵です!
 って言ってる場合じゃない。
「お前が非常に変わっているということだけが、わかった」
「本音を言うと、あまり理解してほしくないけどな!」
 本当に理解してもらいたくなかった。でも、文句を言う筋合いは俺にはないのだ。
「それで?」
「えーと……キス、してもいいですか?」
 上目遣いにおねだり。
 今ならイケる気がしたので。
「仕方ない。一度だけだ」
「ありがとうございます!!」
 頭を下げ、いざキス。