白殊皎(しらよし こう)
2025-11-04 20:00:00
1753文字
Public FGO【歳勇/土近】
 

さようなら、いとしいひと

FGO【歳勇/土近/としいさ/ひじこん】
近藤勇の哀しい想い。

勢いで書いたのでいろいろ間違ってます。
フィーリングでお読みください。



 さいごに、としに、あいたかった──



──慶応四年目四月二十五日、近藤勇は中仙道板橋宿近くの板橋刑場で斬首された。

 一刀のもとに首を落とされたのだから苦しむことはなかった。
 覚悟の上にとった道だから心残りはないはずだった。

 近藤が目を覚ましたのは不思議な空間。
 此岸しがんとも彼岸ひがんともつかない場所に立ち尽くしていた。

 突如、頭の中に膨大な知識が流れ込む。

──ここは英雄の座、古今の英雄が英霊サーヴァントとなってその魂を休め、来るべき〝人理の危機〟に立ち向かうためおわす場所だと。

  英雄!? 自分が?

 英雄といえば幼い頃胸を躍らせた、三国志の劉備や関羽などの人々のことではないのか。
 それに答えるように目の前の空間が歪み、ある景色が映し出される。

 見覚えのある商家。
 そこに浅葱の羽織を身に纏った者たちが入ってゆく。
……歳に使いだ、見つけたと急ぎ伝えろ」
 奉公人との問答の後、〝自分〟はそう言った。
 そして、他の隊士の制止も聞かず、中に踏み込んだ。

──池田屋事件。

 後にそう言われる、新選組が勇名を馳せるきっかけとなる出来事。
 頭にたたき込まれるように入ってくる知識は、それが自分を──いや、自分だけでなくかつての新選組の隊士たちもこの座に招かれる要因となったと教えてきた。

──私だけでなく、皆も!?

 再び眼前に見えてきたのは、民家の一室。
 懐かしい幼馴染みが、げっそりと痩せ細って床に伏している。
「近藤さんや土方さんは、どうしているのでしょう……。私も、行かないと……
 次の瞬間、彼女は血を吐く。
 そして、がっくりと頭を垂れたかと思うと、そのまま事切れた。

──……

 次に映し出されたのは洋装の軍人。
 その、全ての戦いの記録・記憶を見させられた。
 狂おしいまでに叫ぶ〝新選組〟という言葉。
 部隊の名が幾度変わろうと、そして死してもなお、彼は叫び、走り続けた。
 俺がいる限り、此処が〝新選組〟だと。


「〝新選組〟一番隊隊長、沖田総司推参! あなたが私のマスターですか? え? 羽織? それがどこかに行ってしまいまして

「〝新選組〟三番隊隊長、斎藤一だ。親愛を込めて一ちゃんとでも呼んでくれ。いや、やっぱだめだ。で、あんたがマスターちゃんなわけね。へぇ、いい面構えじゃないの。あ、そうそう、僕ってば堅苦しいの苦手だから、そんな感じでよろしく」

「〝新選組〟総長、山南敬助、召喚に応じ推参致しました。非才の身ながら、全身全霊を以てマスターにお仕え致しましょう。何卒、よろしくお願い致します」

「儂が永倉新八だ。おうよ、あの〝新選組〟二番隊隊長のな。なに、このなりだが剣の方は錆びついちゃいねぇから心配すんな。おいおい、嘘じゃねぇって。昔は仲間内でもいちにを争う腕前だったんだぜ。クカカカカ! せいぜいわけぇ奴らに教えてやるさ。──本当の斬り合いってもんをな」

 次々と知った顔が現れては消える。
 英霊としての彼ら全ての名乗りに伴うのは──〝新選組〟
 そしてそれは自分にも強い束縛となって道を示してくる。

──いやだ、いやだ、いやだ。

 あぁ、なんと業の深い事だろう。
 あの一つの功名によってその魂に永遠の呪いを刻んでしまった。
 できるなら、今すぐにでもその呪縛を断ち切れるのなら──私はどうなっても、いい。

 頭の中に仄暗い声が語りかけた。
『我を手に取れ、うぬが願い聞き届けよう』

──七柱を以て、力を注げ。
 ならば汝の望みは全て叶う。
〝新選組〟をこの世から消し去ることが……

 それで叶うのならばと震えながら〝ソレ〟に手を伸ばす──

 
 
 

「でもほんとによかったの? もう元の霊基には戻らないわよ」
「かまわん……。死してなおサーヴァントなどという仕組みに縛られている者を解き放つには、この力が必要だ」

 もう、走らなくていい、叫ばなくていい、全てを忘れてどうか安らかな眠りついてほしい。

 


 
 
──そう、わたしが、ぜんぶ、もっていくから

 あぁ、でも、すこし、ほんのすこしだけ……

 わたしを……わすれ……ないで…………