利一
2025-11-03 14:33:08
1635文字
Public レオジャミ(小説)
 

【レオジャミ←モブ】J.V被害者の会

風邪っぴきの働かない頭で書きました。多分大分頭が悪そうなんで素面に戻ったら消すかもです。

以前Xでモブ視点でマウントとるのが流行っていると聞いたのを思い出して書きました。
🐙ちゃんは🦁さんが嫌なだけでべつにLOVEではない。

『J.V被害者の会』
 モストロラウンジのVIPルームの入り口、そう書かれた立看板の前に俺は立っていた。

 こんにちは。あなたもジャミルさんに?ええ、ええ、よく分かりますよ。あの方は魅力的ですから。確かに容姿はぱっと見目立たない色味をされていますから、遠目で見ればご本人の言うように地味と言えなくもありませんからね。でも近づけば当然あの美しさに気付くわけで、そうして「自分だけが彼の魅力を知っている」と勘違いする方が多発するわけです。僕ですか?もちろん彼は魅力的だと思いますよ。なにせウィンターホリデーで注目を集めるよりずっと前から目を付けていたのですから。おっと失礼。我らは同志、マウントの取り合いはやめましょう。

 支配人直々の案内を受けて奥へと進む。四人がけの円卓はすでに一つが埋まっており、俺が座ったことで二つ目も埋まった。
「ここはジャミルさんの思わせぶりな態度に惑わされた被害者たちが集まる場。そして皆で、その彼をトウゾクカモメの如く掻っ攫っていった憎きあの男にささやかな嫌がらせ……もとい我々流の祝福をお送りしようではありませんか!」
 白手袋がホワイトボードを叩く。
 『ジャミルさん祝福計画』と大きく書かれたその下にはアイディアが列挙されている。嫌味混じりの祝辞、縁起の悪い贈り物、ロイヤルソードアカデミーばりの陽気なフラッシュモブ──最悪だ。特に三つ目などらやれた日には、自分ならあまりの不愉快さにその場で別れたくなるかもしれない。
「さあ皆さん!我々の手であの傲慢で悪辣な王子様から〝俺だけがその魅力を知ってるジャミル・バイパー〟を取り返そうではありませんか!」
 アーシェングロットの演説に、思わず椅子から立ち上がり拍手を送る。皆心は一つだった。
 そうだ。よりにもよってあのレオナ・キングスカラーが相手など、到底認められることではない。解釈違いにも程がある。
 俺はミドルスクール時代に好きだった学級委員の少女を思い出す。長い黒髪を三つ編みにした彼女は、華やかさはないものの整った顔立ちが美しかった。それが卒業する頃にはチャラチャラしたイケメン野郎と付き合って、本人もすっかり垢抜けたギャルと化していた。
 バイパーに同じ轍を踏ませてはならない。彼にはもっと穏やかで、平凡な相手が似合うのだ。そう、俺のような──
 コンコン。
「おや、まだ被害者がいらっしゃいましたか」
 アーシェングロットが扉を開けるとそこには話題の中心人物、ジャミル・バイパーが書類の束を片手に立っていた。
「学園長から次の寮長会議の資料を預かったんだが……すまない、取り込み中だったか?」
「い、いえ」
「『ジャミルさん祝福計画』?」
「あ!それは……
 アーシェングロットがどう誤魔化そうかと逡巡したのも束の間、バイパーは頬を掻くとほんのりと頬を染めて恥ずかしそうに目を逸らした。
「俺のためにわざわざ集まってくれたのか?その……ありがとう」
 はにかんだ笑顔でそう言われて、一同は顔面を覆い天を仰いだ。もういい。君がいいというのなら、たとえあの傍若無人で容姿端麗、身分も頭脳も兼ね備えたスーパーハイスペ一般人の敵野郎でも構わない。喜んで祝福してやろう。俺は血の涙を流しながらそう決意した──一瞬だけ。
「どんな風に祝ってくれるのか、楽しみにしてるよ。ね、レオナ先輩」
「ああ」
 微笑むバイパーの肩に腕を回した獅子の獣人が笑みを返す。それでは、と踵を返し際、首だけで振り返ったキングスカラーは勝ち誇ったようにニンマリと笑った。
 パタン。ダン!
 扉が閉じ、アーシェングロットが机を叩く。
「ジャミルさん!男の趣味が悪すぎますっ!!」
 一同がこくこくと頷くのに俺も同調する。
 あの男はいけない。やはりバイパーにはこの俺のような以下略。
 煽られ白熱した我々の議論は、いい加減に仕事に戻れとウツボ兄弟からクレームと締め上げを喰らうまで続いた。

end