ugatuno
2025-11-01 22:53:39
1045文字
Public 二次小説
 

その心臓は世界のかたち 6話


……チッ。どうせまた寝落ちてんだろ、バカが」
 月明かりがほんのり差す部屋。
 ベッドに半身をうつぶせたまま微動だにしないジンペイを見下ろして、
 ミケッティオは舌打ちしながらも、隣にべたんと座った。
 座り方は相変わらずガラが悪い。
 背を丸め、腕を組み、目線は前を向いたまま。
 ……でも、視線の端っこにはずっとジンペイがいる。
「はあ……なんで俺がこんなやつのとこに来なきゃなんねーんだか」
 返事は、ない。
 だからミケッティオはぶつぶつと続ける。
「お前が妖魔界の器になんてならなきゃ、もっと気楽だったんだよ。
 俺様はな……別に“この世界”なんざどうでもよかったってのによ」
……
……だってのに、毎日毎日、お前の脈が鈍くなるたびに……
 なんか胃のあたりが……うっせえんだよ……
…………ふ、ふふっ……なにそれ……お前、心配……
「してねーし!!」
 ミケッティオは即座に立ち上がった。
 振り返ることなく、ジンペイに背を向ける。
「俺様はな、たまたまここに居たかっただけだ! お前がどうとかじゃねー!」
……じゃあなんで逃げねーの?」
……けっ」
 ひときわ深い舌打ち。
 ミケッティオは少しだけ振り返り、
 肩越しにジンペイを見た。けれど、その顔には影が落ちていた。
……お前、本気で、誰にも言わねぇつもりか?」
……
……新生妖魔界のせいだって、わかってんなら……
 もうちょっと、誰かに頼れよ。たとえば……
 言いかけて──飲み込む。
 「……ま、いいけどな。どうせ、俺が口出したって聞きやしねぇ」
 「……なあ、ミケッティオ」
 「なんだよ」
 「お前ってさぁ……なんで俺のこと、見捨てないんだ?」
 しばらく、沈黙。
 ようやく返ってきたのは、
 ひどく素っ気なくて、けれどどこか刺さる声。
 「……ああもううるせえ!! 今ここに居てやるのは、俺様の気まぐれだ!!」
 「……そっか」
 「だから! 誤解すんなよ!? 絆されたとか、思うなよ!?」
 「思ってないよ」
 「そ、そうかよ。なら、いい……
 ミケッティオはまたどさっと座り、黙りこくる。
 それでも──
 その膝に、ジンペイはそっと頭を預けた。
 「お、おいっ!?」
 「気まぐれでも……お前がそばに居てくれるなら、俺は、助かる……
 「…………けっ、……しょーがねぇな……
 月明かりのなか、誰にも見られない時間だけが、
 ジンペイをやわらかく包んでいった。